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【実践編】リテンション施策を成功させるためには?事例も3つ紹介

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【実践編】リテンション施策を成功させるためには?事例も3つ紹介

カスタマーサクセスを成功させるにあたり、リテンション施策のコツや、

実際に成功させている企業の事例を知りたいと思われる方も多いと思います。

 

 

とくにSaaSなどのサブスクリプションを代表とするリテンションビジネスにおいて、顧客の継続率を意味するリテンションレートを高めることは重要です。顧客のリテンションレートが高くなるほど、収益も増大していくためです。

 

そこで本記事では、「リテンション」施策を成功させるためのコツと注意点を、実際に施策を実施している3企業の事例とあわせて紹介します。

 

※まずはリテンションについて詳しく知りたい!という方は、こちらの記事からご覧ください。

「【基礎編】リテンションとは?カスタマーサクセスにおける重要性について解説 」

 


リテンションレートが重要である理由

リテンションレートとは、顧客の「定着率」や「継続率」を指します。

 

近年多くのビジネスが、買い切り型のビジネスモデルからサブスクリプションを代表とするリテンションモデルへと転換を図っています。

 

従来の買い切り型ビジネスモデルでは、顧客が商品やサービスを購入して所有した時点でLTV(Life Time Value=顧客生涯価値)が最大化していました。しかし一定期間以上の契約継続を前提とするリテンションモデルにおいては、課金ごとの収益は限定的であるため、顧客が最初に契約した時点では利益がほぼ出ず、CAC(Customer Acquisition Cost=顧客獲得単価)を 回収することもできません。リテンションモデルにおいては、顧客が定着・継続してはじめて利益が出るため、いかにリテンションさせるかは非常に重要です。

 

また、顧客を成功に導くことでLTVの最大化を目指すカスタマーサクセスにおいても、どれくらいの顧客をリテンションできたかは、カスタマーサクセスの取り組み自体の成否を測る指標となります。

 

このように、企業にとってリテンションレートを高めることは、事業が安定的・継続的に成長できるかを判断するためには欠かせない施策であるといえるのです。

 

リテンションの重要性について詳しくは、以下の記事をご覧ください。

「リテンションレートの重要性とLTVへの影響 」

 

 

自社にあうリテンション施策を成功させるためのコツ

自社にあうリテンション施策を成功させるためのコツ

リテンションレートの重要性を理解したところで、カスタマーサクセスにおいてリテンション施策を成功させるためのコツをご紹介していきます。


まずオンボーディングの充実から着手

リテンションレートを高めるためには、まずオンボーディングを充実させることから始めます。

 

カスタマーサクセスにおけるオンボーディングは、顧客がサービスを活用することで価値を感じ、「このまま利用を続けよう」と判断してもらうための重要な施策です。オンボーディングに成功すれば、サービスに対する顧客のロイヤルティを向上させるきっかけにもなり、継続利用へつながる可能性も高まります。

 

具体的には、まずは顧客がどのような課題を抱え、自社プロダクトをとおしてどう解決したいと考えているのかを把握します。顧客の目的とあわない取り組みを行っても、価値を感じてもらえません。そのうえで利用方法をレクチャーし、顧客が基本的な使い方を理解したうえで、自立してサービスを利用できるようになるまで見届けます。

 

オンボーディングに際しては、単に使い方を理解させるだけではなく、オンボーディングをとおして「成功を体験」してもらい、「契約してよかった」と感じてもらうことが大切です。

 

オンボーディングについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。

「【総集編】SaaSにおけるオンボーディングとは何か?徹底解説 」




顧客情報の管理方法とプロセスの確立 

リテンション施策を成功させるためには、顧客情報を適切に管理することも重要です。

 

顧客が自社商品やサービスを導入する目的は、一人ひとり異なります。それぞれの情報を整理し、導入目的である課題解決へどのような伴走支援が必要かを考えることは大切です。そしてその際には、顧客一人ひとりの状況に応じたOne to One対応が基本となります。

 

顧客数が少なければ、エクセルやスプレッドシートでの管理も可能です。しかし、顧客数が多く、人力による管理が難しい場合には、カスタマーサクセスにあった ツールの導入を検討することをおすすめします。また企業によっては、顧客関連のデータが部署ごと・異なるツールなどに別れているケースも少なくないでしょう。そのような場合も、専用ツールは役立ちます。

 

ただ、One to Oneが基本といっても、すべての顧客に個別対応するのは効率的とはいえません。カスタマーサクセスにおいては、以下の3つのセグメントに分け、異なる対応をとるのが一般的です。

 

  • ハイタッチ:
  • 収益貢献度が高い顧客層に対するアプローチ方法。顧客に対してコンサルティングに近い直接支援を行う

  • ロータッチ:
  • ハイタッチほどではないけれども、収益に貢献する顧客層に対するアプローチ方法。ワークショップやメールなどある程度集団的な対応を行う。

  • テックタッチ:
  • 収益貢献度は低いものの、数が多い顧客層に対するアプローチ。テクノロジーを活用してデータに基づいたセルフサービス的対応をする

 

自社の状況に応じて顧客をセグメントで分類したうえで、さらにカスタマージャーニーマップの顧客ライフサイクルに応じてどのような対応を取るのか検討します。このようにプロセスを確立しておくと、効率的にリテンション対策を行えます。

顧客のヘルススコア管理と支援アクションの定義

顧客のヘルススコア管理と支援アクションの定義
リテンションを成功させるためには、顧客のヘルススコアの管理も欠かせません。ヘルススコア(health score)とは、「顧客が自社プロダクトの利用を継続するかどうかを測る指標」を指します。

 

具体的には、以下の3つの要素を掛け合わせてスコア化し、顧客がプロダクトをうまく活用できているか、何か問題が発生していないかをチェックします。

 

  • ●顧客との関わりで得られる情報(契約期間、更新回数など)
  • ●顧客のプロダクト活用情報(ログイン頻度、利用時間など)
  • ●顧客の利用満足度(NPS®、サポートへの問い合わせ回数など)

 

ヘルススコアの数値に応じて、先述したハイタッチ層・ロータッチ層・テックタッチ層に対し、それぞれどのようなアクションを取るかを検討しておきましょう。

 

なお、これらの情報は、顧客数が少ない間はエクセルやスプレッドシートでの管理・クロス集計による分析などもできますが、かける手間と時間を考えると効率的とはいえません。カスタマーサクセスツールなど、ヘルススコアの測定に最適化されたシステムを導入するのがおすすめです。

 

ヘルススコアについて詳しくは、以下の記事をご覧ください 

「【基礎編】ヘルススコアとは?その重要性とメリット、主な指標をわかりやすく解説」

 

顧客のロイヤルティ向上の施策を実施

顧客のヘルススコアに応じてアクションを起こすのは、例えば「ログイン回数が減ったから顧客にヒアリングする」など、基本的にチャーンを防ぐ「守りの施策」になりがちです。リテンションレートを上げるなら、顧客ロイヤルティを上げることを考えるのも効果があります。

 

ロイヤルティが低い顧客はより高機能なプロダクトが他社から発売された、もっと安いサービスを見つけたといった理由で容易に解約してしまいがちです。しかしロイヤルティの高い顧客は自社プロダクトに愛着があるため、そのような場合でも継続する可能性が高くなります。

 

顧客ロイヤルティを向上させるには、NPS®(ネット・プロモーター・スコア)を測定するなどし、まずは現状を把握しましょう。そして顧客のなかでも、LTVが高く売上に貢献しているにもかかわらず、NPS®の数値が低い顧客から優先的にケアします。NPS®の記述回答などから収益性が高いのにロイヤルティが低い理由を考え、改善に取り組むといいでしょう。


リテンション施策で注意するポイント

リテンション施策で注意するポイント

リテンション施策を行いリテンションレートが向上すると、事業を安定的・継続的に運営できるようになります。ここではリテンション施策を成功させるために、押さえておきたい注意点を3つ解説します。

 

事業成熟度によって、対応するフェーズを決める

 リテンション施策は、自社の事業成熟度により以下のように対応するフェーズを決めると効率的です。

 

・顧客企業が50社前後

顧客企業が50社前後で事業成熟度がまだ若いうちは、オンボーディングに注力します。1社でも多くの顧客に、導入段階で自社のプロダクトの良さを理解してもらうことを目指しましょう。また、この段階では、まだ個別対応が可能なことが多いはずです。顧客情報管理を活用した個別対応、ヘルススコアに基づいたOne to Oneでていねいなケアを実施します。

・顧客企業が100社超

顧客企業が100社を超えると、完全に個別で伴走支援するのは難しくなります。ハイタッチだけではなく、ロータッチ・テックタッチを含めた複数、多数向けのアプローチを併用しましょう。またこれまでハイタッチ対応していた顧客に関しても、自社の売上に対する貢献度によりロータッチ・テックタッチへの移行を検討します。

 

 

収集するデータは絞らないほうが良い

リテンション施策は、顧客関係管理やカスタマーサクセスツールなどを用いて収集したデータを分析した結果に基づき実施するのが合理的・効率的です。

 

事業成熟度や施策により、必要なデータやスコアのルールは異なります。そのためデータを収集するときには、施策の実行に必要となるものだけではなく、可能な限りあらゆるデータを集積しておくことをおすすめします。また意味づけしたデータはもちろん、集計に使用したもとの明細データも保持しておきましょう。

 

事業が成長したり、PDCAをまわしたりした結果、これまでとはまったく異なる新しいスコアの算出や集計が必要になることは少なくありません。すでに過去のデータが蓄積されていれば、新たにデータを収集することから始めることなくすぐに集計と分析を行えます。




まずはハイタッチから始める

リテンション施策をこれから新たに導入するときには、可能であればまずはハイタッチから開始します。

 

ハイタッチでは、対面を含めたコンサル的な対応で伴走支援するのが基本です。まずハイタッチでていねいにリテンション施策を行い、顧客の反応を見て、意見を取り入れながらリテンションの「型」を作り、それをロータッチ・テックタッチでどのように実現できるかを考えると良いでしょう。



カスタマーサクセスのリテンション施策事例


それでは最後に、カスタマーサクセスのリテンション施策を実施し成功している3社の事例を紹介します。

 

Salesforce社:ハイタッチ→テックへと顧客ロイヤルティ向上施策を進めた事例 

Salesforce社:ハイタッチ→テックへと顧客ロイヤルティ向上施策を進めた事例

 

まずは、ハイタッチからロータッチ・テックタッチへと顧客ロイヤルティ向上施策を進めた事例として、Salesforceをご紹介します。

 

カスタマーサクセスの「生みの親」でもあるSalesforceには、「トレイルブラザーコミュニティー(Trailblazer Community)」と呼ばれるオンラインコミュニティーがあります。トレイルブラザーとは「先駆者」を指す言葉です。

 

Salesforceでは創業当時から、既存顧客の声をマーケティングに活用していました。利用顧客のなかで積極的に登壇したり、交流に参加したりしていた顧客をトレイルブラザーと呼び、カスタマーコミュニティーを作ったのが「トレイルブラザーコミュニティー」の始まりといわれています。

 

つまりまずはハイタッチでSalesforceのファンとなるロイヤル顧客を育成し、そこからロータッチ・テックタッチの顧客へと広げ、ロイヤリティを高めていったのです。


引用元:Salesforce社


GDO:顧客情報管理によるリテンション施策を成功させた事例

GDO:顧客情報管理によるリテンション施策を成功させた事例

 

続けて顧客情報管理によるリテンション施策の成功例として、GDOを紹介します。

 

GDO(ゴルフダイジェスト・オンライン)は、ゴルフ場の予約やゴルフショップ、ゴルフニュースなど、ゴルフに関するサービスを総合的に展開する日本最大級のゴルフポータルサイトです。

 

GDOでは、早期にDMP(Data Management Platform)を導入し、インターネット上に蓄積されるさまざまな顧客データの一元管理を開始しました。自社で保有する会員データやゴルフ場の予約実績、サイトの閲覧履歴などをもとにして、顧客一人ひとりのニーズにあわせたアプローチを実現しています。

 

例えば顧客の行動履歴に基づきシナリオを作成し、顧客ごとに異なる内容のメールを配信する、閲覧履歴に応じてレコメンドを表示する、特定の顧客にだけバナーを出すなど、顧客のニーズに最適化したOne to One対応をすることで、リテンションに成功しているのです。


引用元:MOLTS MEDIA



SanSan:ハイタッチによるオンボーディングをテックタッチに流用して成功した事例

SanSan:ハイタッチによるオンボーディングをテックタッチに流用して成功した事例


最後にリテンション施策として、ハイタッチによるオンボーディングをテックタッチに流用して成功した事例としてSansanを紹介します。

 

Sansanは、法人向け名刺管理サービスを提供している企業です。Sansanではオンボーディングを①サービス開始&ID登録、②社内周知&名刺取込み、③「利用定着」の3ステップで進め、すべて完了すればオンボーディグ成功とみなしています。

 

Sananでは、当初オンボーディングはCSM(Customer Success Manager)によるハイタッチで実施していました。しかし顧客数が増え、CMS1人当たりが担当できる案件数の限界を感じ始めました。そこですでにノウハウが構築されていたオンボーディングのプロセスを定量指標に落とし込み、テックタッチでも対応できるようにしたのです。

 

うまくいっていない顧客に関しては、CTA(Call to Action)でアラートを飛ばすことでCSMが支援する流れを構築し、オンボーディングの効率化に成功しています。

引用元:エムタメ!


 

まとめ

カスタマーサクセスでリテンション施策に取り組むことでリテンションレートを上げられると、自社の収益の拡大につながります。

 

  • ●リテンション施策はまずオンボーディングを成功させることから始める
  • ●顧客を適切に管理し、基本的にはOne to One対応を意識する
  • ●顧客のヘルススコアを管理し、顧客セグメントやフェーズに応じた対応プロセスを検討する

 

リテンションを成功させるには、One to One対応を意識し、オンボーディングの段階から「成功体験」を与えることが重要です。リテンション施策を顧客データに基づき効率的に行うなら、ツールの活用が効果的です。

 

弊社では、オンボーディングやヘルススコアの計測に活用できるカスタマーサクセスツール「Growwwing」を提供しております。サービス資料は以下からダウンロードが可能ですので、ご興味のある方はぜひご検討ください。

 

※ネット・プロモーター、ネット・プロモーター・システム、NPS、そしてNPS関連で使用されている顔文字は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標またはサービスマークです。

 

 


尾上 雄馬

執筆者情報:

尾上 雄馬(おのうえ ゆうま)

2007年に株式会社ビーエスピー(現ユニリタ)入社。
ITサービス向けヘルプデスクSaaS「LMIS」を新規開発から開発を担当。
開発業務の傍らサポートも兼務していたが、解約率の高まりに危機感を感じ、2017年より同サービスのカスタマーサクセスチームを立ち上げ責任者を担当。
カスタマーサクセス管理用のツールを内製し、解約率半減を実現。
この管理ツールを汎用化し、Salesforce上で稼働するカスタマーサクセス管理SaaS「Growwwing」として販売開始、2020年7月より事業化し責任者を担当。
itSMF JapanにおいてクラウドSLA分科会副座長、サービスカタログ分科会座長も歴任。


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『Growwwing グローウィング 』は、解約防止とネガティブチャーンを達成する顧客管理が実現。Salesforceとの相性は全ツールNo.1です。



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