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【基礎編】ヘルススコアとは?その重要性とメリット、主な指標をわかりやすく解説

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【基礎編】ヘルススコアとは?その重要性とメリット、主な指標をわかりやすく解説

「ヘルススコアにはどのようなメリットがあるの?」
「ヘルススコアを測る指標を具体的に知りたい」
このように考えたことはないでしょうか?


ヘルススコアは、カスタマーサクセスを適正に運用するために、避けては通れないものです。ヘルススコアなくして、カスタマーサクセスの成功は困難といえます。


本記事では、ヘルススコアの重要性やメリットを解説したうえで、計測するべき主な指標を具体的にご紹介します。最後まで目を通していただくことで、カスタマーサクセスの運用をより確かなものにすることができるでしょう。

ヘルススコアとは?

ヘルススコア(health score)とは、「顧客が自社のプロダクト利用を継続するかどうかを測る指標」のことで、主にカスタマーサクセスを運用する際に用いられます。

ヘルス(health)が健康、スコア(score)が得点を意味することからわかるように、ヘルススコアでは顧客の健康状態を得点で表します。ヘルススコアがよければ健康であり長生きする、つまり継続が見込めると判断されます。反対に数値が低い不健康な顧客は寿命が短い、つまり解約(チャーン)の確率が高いと考えられるため、適切な対応が必要です。

カスタマーサクセスが適切に機能していればヘルススコアは上昇することから、ヘルススコアはカスタマーサクセス自体の成否をチェックし、改善するのにも役立ちます。

 

ヘルススコアの重要性とメリット


ヘルススコアが、カスタマーサクセスにおいて重要とされる理由は何なのでしょうか。メリットとあわせて解説します。



LTVの最大化を目指す上で欠かせない指標

ヘルススコアは、LTVを最大化させるために欠かせない指標として重視されています。


とくにサブスクリプション型ビジネスモデルでは、顧客の契約が継続するか否かは業績に直結する問題です。そのため顧客に伴走しながら成功へと導き、できるだけ長く継続してもらい、LTVを最大化させることが、カスタマーサクセスの最終目標になります。

 

しかし顧客を成功に導くといっても、彼らが今どのような段階・状況にいるのかわからなければ、何をすればいいのか判断できません。かといってプロダクトをうまく使っているのか、それとも手助けを必要としているのか、毎日顧客に確認するのは現実的ではないでしょう。

 

その点ヘルススコアは、顧客の「声なき声」を聞くのに最適です。顧客がどのような状況にあるのかが数値化・可視化されるので、顧客のわずかな変化を察知して、適切なタイミングでの提案や情報発信が可能になります。

 

ヘルススコアを適切に活用すれば、カスタマーサクセスの活動が最適化され、顧客を成功へと導けます。成功した顧客は継続利用してくれるのはもちろん、アップセル・クロスセルをする可能性も高まり、結果的にLTVが最大化していくのです。






【メリット】顧客に合わせた最短距離のプロダクト活用と成果創出を実現できる


ヘルススコアで顧客の健康状態を数値化すると、それに応じたカスタマーサクセス活動の実行が可能となり、最短距離で成功に導けるようになります。

 

ヘルススコアを算出すると、それぞれの顧客が現在どのような状況にあるか把握できます。しかし顧客の健康診断をすることが、ヘルススコアの目的ではありません。健康状態に応じて投薬や治療をしてこそ、ヘルススコアは価値があります。

 

ヘルススコアを分析し、「このような状態にある顧客には」「このような対策をとると効果的だった」という経験を積み重ね、戦略的なアクションプランを立てることが、ヘルススコアのもっとも効果的な活用方法です。今後顧客にどのような問題が発生するのかを予測して、問題の芽を未然に摘み取れば、顧客はスムーズにプロダクトを活用し、成果を出していくことができるのです。

 

ただ、顧客に対して個別にアクションプランを立てるのは、リソースを考慮すると現実的ではないでしょう。一定のレベルの顧客をまとめて効率的に管理するために、セグメント分けする際にもヘルススコアは役立ちます。




【メリット】解約の兆候を把握し、事前に対策アクションが取れる


顧客の状況を数値化し、兆候をつかむことで解約の危険性を減らせることもヘルススコアのメリットといえます。

 

とくにサブスクリプション型ビジネスモデルにおいては、契約した時点では獲得コストが利益を上回るため、一定期間継続してもらえなければ赤字になります。顧客の解約は、企業にとって死活問題ともいえるでしょう。

 

そのためヘルススコアを日々観察し、顧客の行動のわずかな変化から、解約の兆候をつかむことが重要です。たとえばログイン回数が減少したとわかれば、利用方法が不明なのか、それとも利用の仕方に変化があったのか、理由を探って速やかに対処する必要があるからです。

 

カスタマーサクセスでは、問題が起こる前、つまり顧客すらその「不満に対する」自覚がないうちに、先回りして対策し、躓きの芽を摘むことが求められます。ヘルススコアはその兆候をつかむための、検知器の役割を果たすのです。




【メリット】アップセル、クロスセルのタイミングをつかめる


ヘルススコアを測定すると、アップセル・クロスセルのタイミングをつかめることもメリットです。

 

LTVを最大化させるには、解約を防ぐことだけ考えるのは片手落ちです。解約を防ぐという「守りの戦略」だけではなく、アップセル・クロスセルさせる「攻めの戦略」も、同じぐらい重要です。そのためには、ヘルススコアが高い顧客にも適切にアプローチしなければなりません。

 

ヘルススコアが高い顧客は、カスタマーサクセス組織の期待した流れでグロースできており、ロイヤルティが高く、さらなる課題解決や利用者拡大を期待していることが推察できます。そういったタイミングで顧客に課題ヒアリングをおこない、最適なオプション機能や追加ユーザー、上位プランへのアップグレードを提案すれば、プロダクト利用の拡大と共に顧客の良き理解者として伴走を継続することができます。

 

ヘルススコアは解約防止を未然に防ぐとともに、アップセル・クロスセルのベストタイミングを探るときにも活用しましょう。


ヘルススコアに必要な3つの要素

ヘルススコアに必要な3つの要素

ヘルススコアは、プロダクトの「成功シナリオ」において、“顧客のあるべき姿“と“実際の状態“にズレがないかを察知するために利用される指標です。合計得点やパーセントで示す、5段階で評価するなど、表現方法はさまざまです。

ヘルススコアを算出するために利用する要素(INPUT)は、以下の3種類があります。

1. 顧客との関わりで得られる情報 
2. 顧客のプロダクト活用状況 
3. 顧客の利用満足度


それぞれの要素にどのような指標が含まれるのか、具体的に紹介します。


1.顧客との関わりで得られる情報

顧客と関わっていくなかで得られる情報には、以下のようなものがあります。

■契約情報

 プラン・期間・更新回数・アップセルやクロスセルの回数など

■各種イベントへの参加状況

 操作説明セミナー・サービス利用交流会など

■マーケティング活動への貢献

 口コミ・講演会への登壇・活用事例への協力など

■成功シナリオ

 ベンダーの理想・顧客の現実とのギャップ評価に使う

■商談時のセールス引継情報

 当初の期待・導入背景・ビジネスゴール/目標など

■オンボーディング時の情報

 開始日・終了日・活動実績・顧客の体制・環境情報・設定内容など

■利用開始後のコミュニケーション

 サポート対応時・定例MTG・新機能案内に向けた随時商談など

■利用開始後の顧客行動情報

 メルマガ開封率、HP・コミュニティ内の行動履歴など

 

 

 

これら顧客との関わりを通して得られる情報は、ほかの要素と組み合わせ、相関関係の分析や傾向の調査、戦略の立案などに用いられます。

 

また「成功シナリオ」や「マーケティング活動への貢献」などは、スコア化すると同時に定性的な面から顧客を正しく理解したうえでサポートするのにも役立ちます。


2.顧客のプロダクト活用状況

顧客のプロダクト活用状況をチェックする指標としては、以下のようなものが挙げられます。


■ログイン頻度

■ログイン人数
■利用ライセンス数
■利用時間
■重要な機能の活用頻度

 

顧客のプロダクト活用状況については、解約率との相関性が高いことが特徴です。当然ながら各要素のスコアが高ければ解約率は低く、低ければ解約率は高くなります。

 

スコアの低い顧客には解約を防ぐ「守る」戦略を、スコアが高い顧客にはアップセル・クロスセルを促す「攻め」の戦略を、適切なタイミングで速やかに実行するためには、どれも重要な指標です。



3.顧客の利用満足度

顧客の健康状態を知るには、表に現れる症状だけではなく心理面も加味する必要があります。そのためプロダクト活用状況だけではなく、利用満足度もあわせて顧客の状態を評価することは、ヘルススコアではとても大切です。

 

顧客の利用満足度を評価するには、以下の数値を測定します。


■ネットプロモータースコア(NPS®)
■サポートチームへの問い合わせ回数
■顧客努力指標 (CES)
■顧客満足度 (CAST)
■目標達成率(GCR)

 

ネットプロモータースコアとは、顧客に「プロダクトを他者に推奨する度合い」を0〜10の11段階で回答してもらうものです。顧客の「未来の行動」を問うため、業績との相関性が高いとされています。NPS®は、数値化しにくい「顧客ロイヤリティ」を測るのに最適です。

 

サポートチームへの問い合わせ回数も、利用満足度を測る指標となります。ただし問い合わせ回数が多い顧客の満足度が必ずしも低いとは限らない点には注意が必要です。問い合わせ内容が「詳しい利用方法を知りたい」といったポジティブなものなのか、「故障が多い」といったネガティブなものなのかも含めて評価しましょう。




ヘルススコアの導入・運用における5つの手順

ヘルススコアの導入・運用における5つの手順

それでは最後に、ヘルススコアを導入・運用する手順を、5つのステップに分けてご紹介します。


1.顧客の健康状態を定義する

まずは、顧客がどういう状態であれば「健康」といえるのか、自社プロダクトに合わせて定義づけを行います。「ログイン回数が減っている」など、解約に近づく「不健康な状態」から逆説的に考えると、定義しやすくなります。


2.指標を決める

ヘルススコアを算出するために測定する指標を決めます。必要となる指標は、業種や業態、またヘルススコアを測定する目標によっても異なります。


3.ヘルススコアの算出方法を決める

ログイン回数が何回なら何点とするのか、どの指標をどの割合で組み合わせるのかなど、ヘルススコアを算出する方法を決めます。ヘルススコアの採点方法に決まりはないため、自社で運用しやすい方法を考えましょう。


4.検知条件と実行する施策を決める

スコアが何点になったら検知し、どのような施策を実行するのかを考えます。すべての顧客に同じように対応するのは非効率であるため、収益への貢献度に応じて顧客をハイタッチ・ロータッチ・テックタッチの3つのセグメントに分けてそれぞれに適したアプローチを行います。

5.運用と改善を実施する

ヘルススコアに基づいて施策を講じたあとは、それがうまくいったのか結果を検証します。うまくいったならそれに再現性があるのかを別の顧客で確かめる、うまくいかなかったなら何が問題だったのかを考え改善するなどし、PDCAを回しましょう。

ヘルススコアのさらに詳しい導入手順と運用方法については、以下の記事をご覧ください。
「ヘルススコアの作り方は?導入手順から運用後の課題解決策までを解説 」



 

まとめ

カスタマーサクセスを適切に運用して顧客を成功に導くためには、継続的なヘルススコアの観測が欠かせません。顧客の健康状態を常に監視し、顧客さえ気がつかないうちに解約の芽を摘み取りましょう。それが結果的にLTVを最大化させ、自社の収益拡大につながります。


ヘルススコアを適切に運用するには、顧客の健康状態を定義することから始め、指標や算出方法を決めたうえでアクションプランまで立てることが大切です。今回、簡単に導入手順を紹介しましたが、「ヘルススコアの作り方は?導入手順から運用後の課題解決策までを解説 」ではより詳細に解説しています。ヘルススコアについてさらに深く知りたい方は、ぜひ参考にしてください。


※ネット・プロモーター、ネット・プロモーター・システム、NPS、そしてNPS関連で使用されている顔文字は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標またはサービスマークです。



松本 隼陽

執筆者情報:

松本 隼陽(まつもと じゅんや)

2018年にBtoCスタートップ企業に入社後、訪問営業を経験。
2019年にエンジニアリング会社へ転職し、開発・運用保守・サポートの現場を経験。
その後、2022年に株式会社ユニリタに転職し、カスタマーサクセスチームのリーダーとして、オンボーディング支援やセミナー講師を担当するなど日々奮闘中。


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