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【イベントレポート】ユーザー事例から学ぶ「Growwwing Day 2023 Fall Day1 ~データ活用におけるカスタマーサクセス~ 」に密着!

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【イベントレポート】ユーザー事例から学ぶ「Growwwing Day 2023 Fall Day1 ~データ活用におけるカスタマーサクセス~ 」に密着!

2023年9月7日(木)、カスタマーサクセスプラットフォーム「Growwwing(グローウィング)」の開発・提供を手がける株式会社ユニリタがカスタマーサクセスサミット「Growwwing Day」を開催しました。

 

昨今のSaaS / サブスクリプション市場の拡大にともない、カスタマーサクセスの重要性が認識され、市場はますます拡大しています。しかし、理解と実践の間には依然として大きな差があり、一歩を踏み出せているプレーヤーはまだまだ希少な状況です。

 

その溝を埋めるため、同社は「顧客と共に成果を築くカスタマーサクセスの先駆者たちが集まるカスタマーサクセスサミット~Growwwing Day 2023 , fall~」を開催。Growwwingのユーザーが自身のカスタマーサクセスの実践経験をシェアし、その成果や挑戦について語りました。2回目の開催となるGrowwwing Day 2023ではDay1「データ活用におけるカスタマーサクセス」Day2「カスタマーサクセス組織立上の挑戦」という2つのテーマを掲げて各企業におけるカスタマーサクセスの取り組みを紹介しました。

 

本レポートでは、Day1「データ活用におけるカスタマーサクセス」の様子をレポートいたします。

 

 





【主催者基調講演】Opening Keynote


最初のセッションは、カスタマーサクセスプラットフォーム「Growwwing(グローウィング)」の事業責任者 尾上 雄馬による基調講演でした。


登壇者プロフィール

株式会社ユニリタ クラウドサービス事業本部 DXイノベーション部

サービス価値向上グループ Growwwing事業責任者

兼 プロダクトマネージャー 尾上 雄馬(おのうえ ゆうま)

 

 

2007年に株式会社ビーエスピー(現ユニリタ)入社。サービスマネージメントプラットフォーム「LMIS」の開発を初期から担当。開発業務の傍らサポートも兼務していたが、解約率の高まりに危機感を感じ、2017年より同サービスのカスタマーサクセスチームを立ち上げ責任者を担当。カスタマーサクセス管理用のツールを自ら開発し、解約率を半減する。

 

この管理ツールを汎用化し、Salesforce上で稼働するカスタマーサクセスプラットフォーム「Growwwing」として販売開始、2020年7月より事業化し責任者を担当。itSMF JapanにおいてクラウドSLA分科会副座長、サービスカタログ分科会座長も歴任。


講演概要


基調講演には、ITサービス向けヘルプデスクSaaS「LMIS」の顧客に対して、「Growwwing」の原型となるカスタマーサクセス管理ツールを自ら開発してカスタマーサクセスに取り組み、解約率半減を実現した実績を持つ、ユニリタの尾上氏が登壇しました。

 

「不透明性が増すこの世の中で、どうしたらサービスを成長させ事業を伸ばすことができるのでしょうか?」と問いかけ、「その最も重要なファクターはカスタマーサクセスに取り組んでいくことだ」と宣言し、2日間にわたるGrowwwing Dayを歩く道標、皆様のカスタマーサクセスを成長(Grow)させるヒントを紹介しました。

 

講演参加所感



2023年の『カスタマーサクセス実態調査』(※)によると、企業の64.9%が収益継続と将来に不安を感じています。この数字は3年間にわたって一貫しています。一方、サブスクリプション事業に焦点を当てると、不安回答は53.6%と、サブスクリプション事業を持たない企業よりも希望を持つ層が多いことが示されています。サブスクリプションモデルは不況に強いビジネスモデルとされ、一部のサービスを除き、コロナ禍でも成長または現状維持が見受けられます。
しかし、2023年の調査によれば、サブスクリプション事業者の不安回答は前年度比で10%増加し、サブスクリプションビジネス市場の新陳代謝が激化するに伴ってサービスの選別が始まっている可能性が示唆され、ビジネスを見直す必要性を実感しました。

※▽『カスタマーサクセス実態調査 2023』について詳しくはこちら


サブスクリプションモデルに代表されるようなストック型のサービスは、受注は単なる通過点に過ぎず、契約更新を繰り返すことで利益を上げていくモデルです。『The Model』(※)で紹介されているようにカスタマーサクセスは「受注数 × 更新率 = 継続数」をKPIとして持ちます。カスタマーサクセスはプロフィットセンターとして受注後の顧客対応をおこなうことで解約を防止し、顧客のロイヤルティを向上させるという重要な役割を持つと再認識できました。

※▽『The Model』について詳しくはこちら
 The Model(ザ・モデル)とは?売上アップに効果的な理由や運用方法を解説


学びになったポイント

サブスクリプション事業の中で明暗を分ける要因として、以下の3点が挙げられていました。
 ・サービス提供プロセスの検討が不十分
 ・サービスの解約抑止に注力していない
 ・運用設計に盲点がある

カスタマーサクセスの立ち上げ時にプロセス設計や人員配置は重要ですが、全体のプロセスを一度に実装することはリソース的に難しい場合があります。失敗を避けるためには、全方位で計画を練り、リソースを考慮して優先度を設定する必要があり、特に解約抑止に効果的な施策は高い優先度を持つべきだと述べます。

解約抑止に効く活動の判断方法として、品質モデルを用いて考える方法があります。品質保証の界隈で有名な狩野モデルによると、「品質には”魅力的品質”と”当り前品質”がある」と述べました。当り前品質は満たされないと即解約につながるような品質、魅力的品質はあると嬉しい付加価値の品質になります。まず注力すべきは「当たり前品質」の部分が重要ということになり、優先度を上げるべきものだと認識しました。

さらに、品質を高めるためにはフィードバックを用いた”継続的改善”が重要となり、カスタマーサクセスが顧客の声を拾い上げ、サービスに反映させるプロセスがうまく機能することで、解約率を低くするだけでなく事業全体を加速することができると説きました。

 ▽Q&Aページはこちら

 

【事例講演 1 】散在する情報を集約し、攻めのカスタマーサクセス体制を構築~デジタルサービス企業への変革を進めるリコーグループでのカスタマーサクセスへの挑戦~

 

 

登壇者プロフィール

リコージャパン株式会社 デジタルサービス企画本部
EDW企画センター トレードエコシスム企画室 ソリューション企画1グループ
RICOH Contract Workflow Service プロダクトオーナー 稲葉 洋(いなば ひろし)氏

稲葉氏は、2000年に株式会社リコー入社。フィールドSEとしてのお客様対応や、ソリューション事業のグローバル展開の推進担当を経て、RICOH Contract Workflow Serviceのカスタマーサクセスと商品企画を担当。その後、プロダクトオーナーを兼ねる形で、現在もカスタマーサクセスの最前線に立ち続ける。株式会社リコーの新規事業や、6社出資のジョイントベンチャーといった新規事業創出を多数経験。



講演概要

リコージャパン株式会社は株式会社リコーにおける国内の販売会社として1959年に設立されました。オフィス機器の会社としてのイメージが強い同社ですが、昨今は「OA(Office Automation)からデジタルサービスの会社へ」を掲げています。
リコーグループの使命と目指す姿「”はたらく”に歓びを」は、“はたらく”に寄り添い、オフィスだけでなく現場や在宅、企業間取引における業務ワークフローの自動化・省力化により、お客様の“はたらく”を変革していくとのことです。

リコーのデジタルサービス化としては、「コピー機を販売するオフィスプリンティング事業から、オフィスサービス事業へ、事業の変革期にある」と述べます。
リコーのデジタルサービスの一つとして「トレード帳票DXシリーズ」というサービスブランドがあり、これは、法対応(電帳法・インボイス)と業務のデジタル化の同時実現を支援するものです。講演者の稲葉氏はシリーズの一つである契約業務のDX化を支援するRICOH Contract Workflow Service(以下CWS)のプロダクトオーナーを担当されています。

講演では「散在する情報を集約 攻めのカスタマーサクセス体制の構築」と題し、CWSのカスタマーサクセスのプロセス・体制構築、実際の取り組み内容と成果、Growwwingの活用法までの具体的な取り組みが公開されました。


講演参加所感

カスタマーサクセス立ち上げに当たり、直面していた問題として以下が挙げられていました。
 ・オンボーディング開始時に商談時と同じ話をしていた
 ・運用中のお客様情報が散在、鮮度が古い
 ・担当者が変わられた後のフォロープロセスがまちまち
 ・途中解約されるお客様の背景がつかめていない
 ・ヘルプデスクへの問い合わせ確認は何かあってから
このような問題から、カスタマーサクセスのプロセス・体制の整備が急務であると考えたといいます。

まず、お客様の成長度合いとそのタイミングごとのアクションを定義したカスタマージャーニーマップの作成を実施。契約後から導入期、活用期、安定期とフェーズを分け、「営業とカスタマーサクセス担当者間で商談時の情報とお客様の利用条件の共有」「定期的(最低1か月に1回)に顧客の利用状況をメンバーが確認すること」「営業へ担当者変更の有無の確認」を定期的なアクションとして決めました。
これにより「オンボーディング開始時に商談時と同じ話をしていた」という問題の一つは解決されたものの、「サービス提供側で必要な情報が共有されていない」「潜在的な解約リスクを把握しきれていない」などの残課題があり、データを活用する為の仕組みづくりの重要性を実感しました。


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【スポンサーセッション】カスタマーサクセスにおけるデータ活用のことはじめ

 

登壇者プロフィール

クラウドサーカス株式会社 Fullstar事業部 事業部長 橋口 浩暉(はしぐちこうき)氏

2018年Mtame株式会社(現クラウドサーカス)入社後、MAツール「バウナウ」のオンラインセールス、カスタマーサクセスのマネージャーに従事。
現在はカスタマーサクセスマーケティングツール「Fullstar」の事業部長を務め、BtoB SaaS企業のカスタマーサクセス体制構築支援をおこなう。



講演概要

クラウドサーカス株式会社では、5つの課題解決領域である「情報発信」 「集客」 「顧客体験価値向上」 「見込顧客育成と顧客化」 「解約防止・リピート増」の実現を目指す全12ものSaaSツールを提供しています。その中でも「解約防止・リピート増」の領域に位置する、SaaS向けノーコードチュートリアル作成ツール「Fullstar」の事業部長を務める橋口氏にスポンサーセッションでご登壇いただきました。

橋口氏はBtoB SaaS企業のカスタマーサクセス立ち上げ支援に70社以上携わり、また、2022年頃から全社横断のデータ活用プロジェクトにも取り組まれています。そんな豊富な経験を基に、これからデータ活用を始めるという方や、取り組みが上手くいっていないという方に必見の「カスタマーサクセスにおけるデータ活用のことはじめ」を解説されました。

講演では、同社が実施したアンケート「カスタマーサクセスツール導入状況について」からうかがえる傾向を分析し、データ活用の必要性とデータ分析をおこなうためのステップとアクションが伝えられました。



講演参加所感

カスタマーサクセスにおいてデータ活用が必要な理由は「LTV(Life Time Value)を上げるため」と訴えています。LTVを求める式は「LTV=顧客の平均単価×粗利÷解約率」です。データ活用をおこなう目的である「LTVを上げること」をバックキャストとして念頭におき、アプローチを考える必要があると述べます。

カスタマーサクセスが貢献できるLTV向上の為のアプローチとしては以下が挙げられていました。
 ・顧客の平均単価を上げる・・・アップセル、クロスセルをおこなう
 ・粗利を増やす     ・・・カスタマーサクセス業務の効率性を上げる、開発費用を削減する
 ・解約率を下げる    ・・・オンボーディング・アダプション・リニューアルといったフェーズごとの業務を改善する

「カスタマーサクセスの全ての活動がLTV向上に集約される」という言葉が印象的でした。確かに、全てのカスタマーサクセス活動が上記項目に分類されるであろうと考え、LTVを基点に解決したい問題を考え、データを活用しアクションにつなげることの重要性を再確認できました。


学びになったポイント

データ分析の目的である「LTV向上」の為に、まず最初に「解約防止」「解約分析」「プロダクトフィードバック」をおこないましょうと語ります。今回は「解約防止」「解約分析」に着目し、代表的なデータ活用の指標として「ヘルススコア」と「Call to Action(CTA)」が紹介されました。

実際に同社では2018年頃からヘルススコアの取り組みを開始。しかし、1プロダクトあたり80項目と構築コストがかかり、更には新型コロナウイルスの流行など情勢の変化により、一気に解約のロジックが変わるなど、メンテナンスが非常に大変だったといいます。そのような経験から、ヘルススコアは充分なリソースの確保とノウハウの保有がないと機能させるのは難しいと判断し、まずはCall to Actionを実施することを推奨していると説きます。

Call to Actionとは、「解約アラートを検知し、適切なタイミングで適切な行動をおこなう指標条件」のことです。「ログイン日から〇日経過した」「特定の機能を〇日利用していない」などを定め、その条件に合致する顧客がいたら、カスタマーサクセス担当者から顧客の解約防止、活用促進をおこないます。

データ活用のことはじめとしては、まずは主要なデータを取得し、解決したい問題から自社で最適なCall to Actionを設定、データの分析・可視化をおこない、その結果から改善アクションにミニマムにつなげることが重要だと学びを得ました。

 
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【事例講演 2 】CF(Customer Forcus)制の組織変更と運用構築

 

登壇者プロフィール

イタンジ株式会社 執行役員 長谷川 拓也(はせがわ たくや) 氏

関西学院大学を卒業後、三陽商会バーバリー事業部、全保連、野村不動産アーバンネット法人営業部を経て、リクルートで組織統括や営業方針立案に従事。2018年12月、GA technologiesへ入社し、翌年、イタンジ株式会社へ出向。 2020年11月、イタンジ株式会社の執行役員に就任。
また、本イベントのスポンサーでもある「Japan Customer Success」の代表としてもサポート。

 

講演概要

イタンジ株式会社は、ミッションとして「 テクノロジーで不動産取引を滑らかにする」を掲げ、不動産業界向けにバーティカルSaaSを提供しています。

講師の長谷川氏はセールス、カスタマーサクセスの責任者を経て、現在は執行役員として事業部の立ち上げをおこない、推進に取り組んでいます。

セッションでは『The Model』にならった組織体制から脱却し、2023年6月頃から「Customer Focus制」へと組織体制を変更した当時の取り組みの課題感や目的などが語られました。

 

 

講演参加所感

これまでの『The Model』にならった組織体制では、セールスとカスタマーサクセスの職種別とプロダクトカットで部署が分けられていました。そのため、セールスとカスタマーサクセス各々の部署内では定期的なミーティングやSlackでの情報共有をおこなっていたといいますが、部署をまたいだコミュニケーションが難しく、タイムリーな情報共有がおこなえていないという問題が起きていました。また、目標としているKPIが異なるためやりづらさを感じることもあったといいます。

更に、セールスとカスタマーサクセスが分かれていることが原因で、社内のシステム運用でも問題がありました。様々なシステムを活用していた為、データを分散させてしまい「どれを見れば良いのかわからない」「どれが最新のデータがわからない」ということが起きていました。

「今の体制は本当にカスタマーサクセスができる体制なのか?お客様が求めているのか?」と疑問を持ち、Customer Focus制(CF制)による大幅な体制変更という変革を遂げられます。

 

 

学びになったポイント

上記の図はCustomer Focus制(CF制)による大幅な体制変更後の図です。エンタープライズ、SMBの中に、ディビジョンがあり、1つのディビジョンの中にフィールドセールスとカスタマーサクセスがいる体制に統合されました。

ディビジョンのマネージャーはセールスとカスタマーサクセス両方のKPIを確認しているとのことです。例えば、セールスのKPIである契約社数は達成しているが、カスタマーサクセスのKPIであるオンボーディング社数は足りていない状況であれば、セールスは何ができるのかを考えるなど、チームとして協力体制ができたと言います。

体制変更後メンバーからは「情報共有がスムーズになり、顧客の最新情報がわかるようになった」「席が近くなったので話しかけやすく、コミュニケーション量が増えた」と好評の意見が挙がっており、変更して良かったと語ります。

最後に学びとして以下3点が挙げられていました。
 1.顧客起点/基点で考える
 2.顧客情報を可視化するシステムの統一
 3.マネジメントレイヤーがコミットする
体制変更をおこなう上で、上記3点を考えることが非常に重要であると述べます。セッションの随所で「それはお客様の為になっているのか」「その体制はカスタマーサクセスができるのか」と話されており、「顧客起点/基点で考える」を最重要視されていることが伝わってきました。前年比成長率70%という驚異の数字にはこの「顧客基点で考える」というところに秘訣があるのではないでしょうか。


▽もっと知りたいという方は長谷川様へのインタビュー記事がおすすめ!
 【サクセスボイス Vol.9】バーティカルSaaSのグロースに必要な「考え方」がここに!不動産業界のDXを力強く推進する、CS統括責任者の戦略大公開


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【事例講演 3 】ヘルススコアの舞台裏~使われないスコアから、メンバーが使いたくなるスコアへ(道半ば)~

 

登壇者プロフィール

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ HRM統括部 HRMサービス開発部 INSIDESマーケティングG 鈴木 萌々子氏

2010年にリクルートマネジメントソリューションズに入社し、適性検査SPIのプロモーション企画・実行などを担当。2019年にリリースした1on1支援ツール「INSIDES」のカスタマーサクセスチームの立ち上げを行い、現在もカスタマーサクセスチームのリーダーとしてご自身もCSMとして20社程度の顧客を担当しながらCSOpsとして7名のメンバーをサポート。

 

講演概要

株式会社リクルートマネジメントソリューションズは1960年に創業し、60年近く人事領域(人材採用、人材開発、組織開発、制度構築)のサービスを提供しています。代表的なサービスとして採用で使われる適性検査「SPI」があり、現在15,500社(2023年3月期実績)ものお客様に利用いただいています。

講師の鈴木氏は心理アンケートを活用したマネジャーのための、1on1実践支援ツール「INSIDES(インサイズ)」のカスタマーサクセスチームのリーダーを担当されています。

講演では「ヘルススコアの舞台裏 〜使われないスコアから、メンバーが使いたくなるスコアへ(道半ば)~」と題し、ヘルススコア設計の生々しい失敗談とそこから気づいた改善の取り組みについて赤裸々に語っていただきました。


 

講演参加所感

INSIDESのカスタマーサクセスチームは2020年4月に立ち上がり、その時期は「顧客解像度を高め、成功事例をつくる」ということに注力。その後、2021年4月からは型化期として立ち上げ期で明らかになった「こう使えば、成功する」メソッドを顧客に提供することで解約率を下げることができたといいます。2022年4月から現在は、効率化フェーズとして社数が増えたことと、成功のメソッドとしてやることが決まる中でタスクが増えたことから、効果的なタスクの見極めと適切なリソース配分の為にヘルススコアの導入を決めました。

ヘルススコアの設計に向けて「形骸化させたくない!」という鈴木氏の想いから、「納得感」「楽(考えなくていい)」を大事にし、メンバー全員でどういう状況で解約になるのかなどを時間をかけディスカッションを実施。また、スコアの関連項目が悪化した場合、リカバリーするためのタスクを自動生成し、メンバーが考えなくても行動できるようにしました。この当時、鈴木氏は強く「いける!」と思ったといいます。

しかし、結果は大失敗。ヘルススコアに納得感はあったものの、使えなかったと語ります。失敗要因として以下の3点が挙げられていました。
 ・複雑すぎた
 ・自動化しすぎた
 ・使い方をメンバー任せにした
このように綿密に設計しても上手くいかない、ヘルススコアの難しさがひしひしと伝わってきました。失敗を乗り越えた方法をご紹介します。



学びになったポイント

失敗をクリアする為に以下3つの変更を実施しました。
 ・独自 → 一般
 ・完璧 → 適度
 ・答え → ヒント

まず、「独自 → 一般」はヘルススコアの設計を独自で考えていた複雑なものから、Gainsight社が提唱するヘルススコアのフレームワークD(Deployment)・E(Engagement)・A(Adoption)・R(ROI)での設計に変更。その結果、考え方がシンプルになることで、忘れず、わからなくならず「大事だと思い続けられる」ようになったといいます。

次の「完璧 → 適度」は複雑すぎたロジックを「イレギュラーなケースは、多少スコアがおかしくてもしょうがない」と理解し、セグメントとステージだけで重みづけをして、条件分岐する方法に変更。入力に関しても、あらゆる行動を定量で入力してほしいと求めていたのを最低限に項目を減らし、定性情報でも振り返ることが出来ればそれでよしとしました。その結果、精度は下がらずに負担なく入力できるようになったといいます。

最後、「答え→ヒント」はヘルススコアのこの項目が悪いので「このタスクをしましょう」と定型化していたのを、ヘルススコアがレッドなので「どうするか考えましょう」と、メンバーが考える余地を作りました。

鈴木氏は、メンバーは「考えなくてよい状態=楽」だとは思っておらず、「考えたいことが考えやすくなる状態=楽」であると思っているのだと、気づきを得たといいます。そのため、同社においてのヘルススコアは「考えるためのガイドライン」として活用するのが良いと述べます。

視聴者から「想いやあきらめない事が凄くて応援コメントしたくなりました。とても勉強になりました。(一部抜粋)」と応援コメントが寄せられるなど、ヘルススコアの生々しい失敗から改善までの取り組みには、視聴者から多くの共感を得て、ヘルススコアの関心度の高さがうかがえました。

▽Q&Aページはこちら
 

まとめ

本記事では「Growwwing Day 2023 Fall Day1 ~データ活用におけるカスタマーサクセス~」の概要を簡単にご紹介しました。

イベントでは「データ活用におけるカスタマーサクセス」というテーマで、カスタマーサクセス体制を構築するためのデータ集約、データを活用したカスタマーサクセスのアクション、組織体制と散在していた情報の改革、ヘルススコアなど各社様々な視点から語っていただきました。

講演を通じて明らかになった共通の課題は、データの蓄積まではおこなえていたが、データを「活用」するための適切なシステムや、活用方法、組織体制が整っていないという点でした。データドリブンなカスタマーサクセスを実現するためには、まずはデータを集約し、それを実際の業務に活かす方法を考える必要があり、データはあくまで補助的な役割を果たすことが鍵であることが明らかになりました。

また、データ活用にはデータがあることが前提であるため、最初はとにかく最小工数で主要なデータを取得しておくことの重要性にも触れられていました。


今回様々な挑戦や取り組み事例をご紹介しましたが、詳しく知りたい方は是非、アーカイブ動画をご視聴いただけますと幸いです。



 
 
渡邉 剛

執筆者情報:

渡邉 剛(わたなべ ごう)

ユニリタ自社開発のETLツール「Waha! Transformer」の導入教育/サポート、データ活用システム(ETL/DWH/BI)構築のプロジェクトマネージャーを歴任し、2018年にカスタマーサクセスチームの立上げ責任者を担当。
その経験からカスタマーサクセス専用ツールの必要性を実感し「Growwwing」の事業立上げをおこなう。
2020年7月の事業化からプロダクトマーケティングとカスタマーサクセスの責任者を担当。
カスタマーサクセスコミュニティ「CS KOMMONS」においてハイタッチ部 副部長も歴任。


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