The Model(ザ・モデル)とは?売上アップに効果的な理由や運用方法を解説

The Modelは商品やサービスの売上アップにつながる営業モデルです。営業プロセスを複数の段階に分類し、分業によって専門性を高めます。多くの組織において、 営業担当者が新規顧客獲得活動とともに担っていた「既存顧客のアフターフォロー」を、「カスタマーサクセス」として独立させ、サブスクリプション型のビジネスにおける成長ドライバーとして認知させたことはThe Modelの大きな特徴のひとつです。
1990年代から2010年代中頃にかけて、インターネットを通じてサービスを提供する「SaaS(Software as a Service)」が普及しました。
そのSaaSの成功に欠かせないのが、セールスフォース・ドットコムが提唱した「The Model(ザ・モデル)」と呼ばれる営業モデルです。
この記事では、The Modelの仕組みや運用方法、売上アップのためのポイントを解説します。
The Model(ザ・モデル)とは?
The Modelは、顧客関係管理システム(CRM)などを販売するセールスフォース・ドットコムが提唱した営業モデルです。
The Modelの特徴は、営業プロセスを「マーケティング」「インサイドセールス」「フィールドセールス」「カスタマーサクセス」の4つの段階に分類する点にあります。
The Modelが普及した背景には、1990年代から2010年代中頃にかけてのSaaSの台頭があります。
サービスの利用期間に応じて料金を支払うSaaSの売上を増大させるには、顧客の中途解約を防ぎ、顧客生涯価値(LTV)を最大化する必要があります。
The Modelはサービスを販売するだけでなく、サービスの継続に欠かせないカスタマーサクセスを重視して、各営業部門で協業しながら顧客満足を追求します。
そのため、SaaSとの相性が良く、日本国内でもThe Modelへの関心が高まりました。
The Modelの4つの営業プロセス
The Modelの4つの営業プロセスは次の通りです。
営業プロセス | 目的 | KPI |
---|---|---|
マーケティング | 新規顧客を開拓し、見込み顧客の母数を増やす | 見込み顧客(リード)数 |
インサイドセールス | 見込み顧客をスクリーニング/育成し、 フィールドセールス部門に商談をパスする |
商談獲得数 |
フィールドセールス | 獲得した案件(商談)において 製品のアピールとクロージングを実行し、 受注につなげる |
受注獲得数 |
カスタマーサクセス | 既存顧客の成功をサポートし、中途解約を防ぐ | 継続契約数 |
各段階で設定したKPIを次の段階のKPIとも連動させ、営業活動の全体最適を図るのがThe Modelの狙いです。
マーケティング
マーケティング部門では、見込客(リード)の獲得を担います。オウンドメディアの運営やWeb広告、展示会への出展など、さまざまな手法を用いて、顧客となり得る層にアプローチします。この段階では、まだ個別の営業活動は行わず、広く見込み顧客を集めることに注力しましょう。
インサイドセールス
インサイドセールスは、質の高いリードを次のフィールドセールス部門に引き渡す重要な役割を果たします。インサイドセールスは、マーケティング部門が獲得したリードに対し、電話やメールなどを活用して非対面でコミュニケーションを取る役割を担います。顧客の課題やニーズをヒアリングし、商談につなげるための準備を行います。
フィールドセールス
フィールドセールスは、インサイドセールスから引き継いだリードに対し、直接訪問やオンライン会議を通じて商談を行う役割を担います。具体的な製品やサービスの説明、デモンストレーションなどを実施し、顧客の課題解決を提案し、受注します。
カスタマーサクセス
カスタマーサクセスは、契約後の顧客が製品やサービスを最大限に活用し、成功体験を得られるように支援する役割を担います。カスタマーサクセスは、特にサブスクリプション型のビジネスにおいて、LTV(顧客生涯価値)を最大化するために不可欠な存在です。オンボーディング支援、定期的な利用状況の確認、課題解決のサポートなどを通じて、顧客満足度を高め、契約の継続やアップセル・クロスセルにつなげます。
The Modelの活用が売上アップに効果的な理由
なぜThe Modelが商品やサービスの売上アップにつながるのでしょうか。
The Modelを採用するメリットは4つあります。
● 営業プロセスを4つの段階に分類し、分業することによって、各営業部門の専門性を高められる
● 各営業部門が連動してKPIを追求していくことで、SaaSの利用期間をより長くし、LTVをより大きくさせることができる
● 営業プロセスが標準化されることで属人化が解消され、再現性が高まる
● 未商談・失注・未フォロー既存顧客を継続的にフォローする体制が整うため、新規リードが少ない、または頭打ちしている場合にも営業活動を推進することができる
分業は一般的に、専門性が高まることで効率が上がったり、課題の解決スピードが早まったりする効果があります。一方で、異なる指標を追求する部門が互いに敵対しやすいというデメリットもあります。一見効率的なようでも、「自分たちの仕事の範囲だけ対応していれば良い」「自分たちの指標さえ達成できれば良い」という意識を生んでしまっては、全体最適は図れません。
そこでThe Modelでは、「逆の流れ」も作ります。カスタマーサクセスは、既存顧客と接する中で、既存顧客が何に困ることが多いのかを研究し、フィールドセールスの訴求内容に反映させます。また、フィールドセールスは、実際の商談内容をインサイドセールスに共有し、商談獲得のためのトークスクリプトの最適化に貢献します。そして、インサイドセールスは、実際に見込み顧客と会話して、マーケティングが作るコンテンツへの感想をフィードバックし、PDCAやA/Bテストに役立てます。
このように、売上アップという1つの目標に向かって、各営業部門が共同作業を行う仕組みを作ることで、それぞれの高い専門性をより活かすことができるのです。
また、The Modelでは、これまで多くの組織において、いち営業担当者が新規顧客獲得活動とともに担っていた「既存顧客のアフターフォロー」を「カスタマーサクセス」として独立させています。これにより、既存顧客の「ファン化」に向けた活動に集中することができ、クロスセルやアップセルなどの売上アップにつなげやすくなります。
サブスクリプション型のビジネスにおいては、まずはサービスを使い始めてもらい、その後できる限り長く、より使い込んでもらえるよう顧客をサポートしていくことが重要なため、「カスタマーサクセス」を専門的に担う部門が必要となり、The Modelとの相性が良いと言えるのです 。
The Modelの運用方法・ポイント
The Modelの運用方法・ポイントで重要なのは、次の3点です。
KPIを設定する
The Modelを有効活用するには、各営業部門のKPIをどのように設定するかが大切です。ただし、KPIは業種や事業形態によって異なります。
まずは営業活動の棚卸しを実施して「見込み顧客数」「商談獲得数」「受注獲得数」「継続契約数」などの実態を把握しましょう。その後、最終的な売上目標から逆算し、必要な受注数や商談数などを明確化していくことで、営業プロセスのKPIに見当をつけていくことができます。なお、営業活動を可視化するには、営業支援システム(SFA)やマーケティングオートメーション(MA)などのデジタルツールの活用も効果的です 。
ルールを明確にして仕組み化する
TheModelの効果を最大限に引き出すには、分業化されたプロセスを「属人的なノウハウ」ではなく「明文化されたルール」によって統一することが重要です。営業の、どのフェーズで、誰が、どのような基準でアクションを行うのかを事前に決めておくことで、業務の再現性と引き継ぎのスムーズさが格段に向上します。
具体的には、「MQLの定義」や「SQLへの引き渡し条件」「アポイント獲得後の対応フロー」「契約後のオンボーディング手順」といった業務ルールをドキュメント化・標準化し、SFA(営業支援ツール)やCRMなどのシステム上で一元管理することが大切です。こうした仕組み化により、新入社員の早期立ち上げやチームの生産性向上につながります。また、カスタマーサクセス支援ツールを活用すれば、顧客対応のルールを可視化しつつ、対応漏れや属人化を防ぐことも可能です。
データを蓄積・活用する
TheModelの運用において、日々の営業・顧客活動から得られるデータの蓄積と活用は極めて重要です。しかし、部門をまたいだ業務が展開される中で、各部門が独自に情報を管理してしまうと、顧客理解の断絶や施策の重複が発生してしまいます。そこで、CRMやSFAを活用し、顧客情報や商談履歴、行動ログなどを一元管理することが重要です。特に、カスタマーサクセス部門では、サービス利用頻度や問い合わせ履歴などをもとに、解約リスクやアップセルのタイミングを予測するデータ活用が不可欠です。
このような顧客データを蓄積し、可視化・分析することで、チーム全体のパフォーマンス改善や、意思決定のスピード・精度向上が期待できます。
【まとめ】The Modelを活用して商品やサービスの売上を最大化しよう
The ModelはSaaSの台頭によって知名度が高まった営業モデルです。営業プロセスを「マーケティング」「インサイドセールス」「フィールドセールス」「カスタマーサクセス」の4つに分類し、分業によって専門性を高めます。
また、各営業部門でデータを共有し、互いに協力しながら顧客をフォローするのもThe Modelの特徴です。
顧客の中途解約を防ぎ、顧客生涯価値(LTV)を最大化できるため、商品やサービスの売上アップにつながります。

執筆者情報:
渡邉 剛(わたなべ ごう)
ユニリタ自社開発のETLツール「Waha! Transformer」の導入教育/サポート、データ活用システム(ETL/DWH/BI)構築のプロジェクトマネージャーを歴任し、2018年にカスタマーサクセスチームの立上げ責任者を担当。
その経験からカスタマーサクセス専用ツールの必要性を実感し「Growwwing」の事業立上げをおこなう。
2020年7月の事業化からプロダクトマーケティングとカスタマーサクセスの責任者を担当。
カスタマーサクセスコミュニティ「CS KOMMONS」においてハイタッチ部 副部長も歴任。
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