Growwwth Noteは、SaaS / サブスクリプションの事業成長を目指す、
すべてのビジネスパーソンのためのカスタマーサクセスメディアです。

  1. Growwwth Note
  2. カスタマーサクセス実践
  3. 【実践編】サブスクリプションビジネスの事例や成功のポイント、6つのKPI指標も一挙解説

【実践編】サブスクリプションビジネスの事例や成功のポイント、6つのKPI指標も一挙解説

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
【実践編】サブスクリプションビジネスの事例や成功のポイント、6つのKPI指標も一挙解説

サブスクリプションとは、ユーザーに製品やサービスを一定期間利用する権利を提供し、対価を得るビジネスです。消費者ニーズが所有から利用へと変化してきたことを受け、多くの企業が取り組み始めています。

今回は、サブスクリプションビジネスについて、基礎編と実践編の2回に分けて詳しく解説しています。この実践編では、サブスクリプションビジネスを成功させるポイントやKPI・KGI、BtoB・BtoCの成功事例などを詳しく説明します。

 

顧客ロイヤルティ向上のための対策

サブスクリプションビジネスを成功させるには、ユーザーの解約を防いで顧客満足度の向上と信頼関係の構築を継続的に行うことが重要です。そのためにも、以下の対策を組むようにしましょう。



適した商材を選ぶ

ユーザーが継続して頻繁に利用する製品やサービスでなければ、このビジネスは成立しません。1年に1回程度しか使わない季節商材などは、サブスクリプションビジネスに向いていないことになります。また、高級ブランドを、サブスクリプションによって安価な料金で提供すると、ブランドイメージを損ないかねません。サブスクリプションビジネスでは、良く使うもので、ブランドイメージに影響がないものを選ぶようにしましょう。



新たな価値を提供する

今まで「所有」できた商材を、サブスクリプションサービスによって「利用」いただくので、利用によってうまれる新たな価値を提供することも重要です。購入よりも安く利用できることのほか、例えば動画視聴サービスなどで、購入では制限がある視聴回数を、サブスクリプションサービスでは無制限にすることで、ユーザーに対してより多くのベネフィットを与えることができます。




競合にはできないCXの提供

利用することでうまれる新たな価値の提供だけではなく、解約防止のためにも、自社ならではのオリジナルコンテンツの提供で、他社ではできない顧客体験を与えることが大切です。サブスクリプションサービスは、気に入らなければすぐに解約されるリスクがあるので、常にユーザーが求める、自社ならではのコンテンツ提供が必要です。



豊富なプランを用意する

サブスクリプションサービスでは、一般的にはユーザーがサービスをカスタマイズできないので、できるだけニーズに対応した、豊富なプランを提供するようにします。ユーザーは、標準装備のベーシックプラン、上質なサービスを楽しめるプレミアムプラン・プロプランなど、自分に合ったプランを選べることで、解約防止につながります。



トライアル期間を設ける

また、無料で利用できるお試し期間などがあると、幅広い層から多数の集客を見込むことができます。サブスクリプションビジネスは、人が集まらないと収益を上げられないので、こうしたトライアルやクーポン配布などで、サービス体験のハードルを下げるようにしましょう。


パーソナライズサービスの提供 

継続期間が長い優良顧客には、その顧客だけに用意した特別サービスを贈るなど、パーソナライズサービスを提供することで、顧客ロイヤルティが向上します。顧客ごとに毎回楽しみな特典を用意することで、特別なCXを与えることになります。



サブスクリプションのKPI測定に適した6つの指標

サブスクリプションのKPI測定に適した6つの指標

続いて、サブスクリプションビジネスのKPI測定によく利用される指標を解説します。


1.MRR(月間経常収益)

MRR(Monthly Recurring Revenue)は、月間経常収益のことで、毎月繰り返し得られる収益(売上)のことです。初期費用や追加購入費用などの、1度しか発生しない売上は除いて計算します。MRR(Monthly Recurring Revenue)は、月間経常収益のことで、毎月繰り返し得られる収益(売上)のことです。初期費用や追加購入費用などの、1度しか発生しない売上は除いて計算します。


計算式は、以下のとおりです。
MRR = 提供している月額利用料 × ユーザー数


利用者の増減に合わせてMRRも増減し、前月比のビジネス成長率や、新規顧客獲得数・解約数がどの様に収益に反映しているかなどの分析に利用できます。毎月の収益、すなわち月単位におけるビジネスの実力を示すものになりますので、事業計画にもとづく次のアクションが具体化できる(orできない判断材料にできる)のも特徴です。



2.ARR(年次経常収益)

ARR(Annual Recurring Revenue)は、年次経常収益のことで、MRRが月次だったのに対し、ARRは年次の動きを知る指標です。アップセルやクロスセル、単発の売上は含めずに計算します。ARR(Annual Recurring Revenue)は、年次経常収益のことで、MRRが月次だったのに対し、ARRは年次の動きを知る指標です。アップセルやクロスセル、単発の売上は含めずに計算します。


計算式は、以下のとおりです。
ARR = MRR × 12(ヶ月)


月契約のサブスクリプションサービスにはなじみづらく、BtoB型SaaSのような、年間契約が主流のビジネスモデルになじみやすい指標です。




3.ChurnRate(解約率)

ChurnRate(解約率)

Churn Rate(チャーンレート)は、解約率のことです。チャーンレートには、解約したユーザーが一定期間内にどのくらい発生したかがわかる「カスタマーチャーンレート」と、収益ベースで算出する「レベニューチャーンレート」があります。Churn Rate(チャーンレート)は、解約率のことです。チャーンレートには、解約したユーザーが一定期間内にどのくらい発生したかがわかる「カスタマーチャーンレート」と、収益ベースで算出する「レベニューチャーンレート」があります。


計算式は、以下のとおりです。
カスタマーチャーンレート = 月間の解約利用者数 ÷ 月初の利用者数(解約前の利用者数)レベニューチャーンレート = その月に解約によって減少したMRR ÷ 前月末のMRR


サブスクリプションビジネスは、継続利用が前提なので、解約率が高くなったら、必ず対策が必要となります。また、チャーンレートを毎月追うことで、ユーザー数の動向予測が可能となり、中長期の売上見込みや資金計画などに重要な指標となります。


チャーンレートについてより詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
【総集編】SaaS/サブスクリプションの重要指標「チャーンレート」徹底解説



4.CAC(顧客獲得コスト)

CAC(Customer Acquisition Cost)は、ユーザー1人ないしは1社を獲得するために必要となるマーケティングや営業コストのことです。


計算式は、以下のとおりです。
CAC = ユーザー獲得にかかった総コスト ÷ 獲得したユーザー数


CACの最小化が経営の健全化につながり、ROI(投資収益率)を評価するのにも役立つため、経営方針と合致するCACの目標値を設定することが重要です。また、CACがLTVを上回ると当該事業の存続が難しくなります。これは、1顧客あたりの生涯利益が5,000円であるのに対し、その獲得費用が5,001円以上になるということなので、顧客を得る度に損失が増えることを意味しています。

CACは、その獲得手法の違いで、以下の3種類に分けられます。

Organic CAC

自然検索からの流入による獲得や、口コミ、既存ユーザーからの紹介など、自然に獲得できた顧客の顧客獲得コストです。後述するPaid CACと違い、広告等の費用ありきでアプローチする施策は対象外とし、SEOをはじめとしたユーザーの方から自社製品・サービスを見つけてもらうための取り組みにかかった費用をもとに算出します。


Organic CAC = 自然増の顧客獲得にかかったコスト ÷ 自然増チャネルからの新規顧客数


Paid CAC

広告やプロモーションなど、費用を支出して獲得した顧客の顧客獲得コストです。顧客獲得におけるチャネルや活動のROI(投資利益率)を確認するときに使われることから、マーケティングやセールス担当者が重視する指標です。


Paid CAC = 有料施策にかけたコスト ÷ 有料チャネルからの新規ユーザー数


Blended CAC

Organic CACとPaid CACの2つを合わせた獲得コストで、一般的にただ「CAC」という場合は、このBlended CACを指します。


Blended CAC = ユーザー獲得にかかった総コスト ÷ 獲得したユーザー数




5.APRU(ユーザー平均単価)

ARPU(Average Revenue Per Use)は、複数のプラン全体における、ユーザーごとの平均収益のことです。契約プランがひとつで、オプション等もない状況であれば、ARPUは横ばいとなります。サービスに登録している会員数が多くてもARPUが低いと、ユーザーあたりの利益も限定的となるため、膨大な数の会員を集めねばならないことになります。また、ARPUとアクティブユーザー数を掛け合わせることで、将来的な利益を予測できます。


計算式は、以下のとおりです。
ARPU = MRR ÷ 全ユーザー数


ARPUは、サービス内容や価格設定によって異なるため、自社の適正値を設定して増減を確認するようにしましょう。



6.LTV(顧客生涯価値)

LTV(顧客生涯価値)

LTV(Life Time Value)は、顧客生涯価値のことで、顧客が生涯を通じてもたらしてくれる収益を指します。LTVが高いということは、解約せずに長期にわたってサービスを利用してくれているということなので、顧客ロイヤルティ向上と合わせて重視すべき指標です。


計算式は、以下のとおりです。
LTV= ARPU × 平均利用月数


また、LTVが高い顧客を増やすことでCACを減らすことができ、「LTV÷CAC」で算出できるユーザー1人あたりの採算性を高めることで、健全な経営につなげることができます。

LTVについてより詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
【総集編】「LTV(Life Time Value)とは?」を「算出方法」と「最大化手法」の理解から紐解く 



BtoBサブスクリプションの成功事例

ここからは、BtoBのサブスクリプションビジネスで、成功した事例を紹介します。

 

Microsoft365
Microsoft365

Microsoft社では、サブスクリプションビジネスに注力しており、その代表例が「Microsoft 365(旧Office 365)」です。従来はPCにインストールするためのライセンスをCD-ROMやダウンロード等を通じ、数万円で「買い切る」しか選択肢がなかったWord やExcel、PowerPointなどを、月額数百円の使用料で利用できるようにしました。


価格の安さや導入の手軽さから利用者が増え、大幅な売上増を実現しています。1カ月の無料お試し期間を設けるほか、ダウンロード不要かつWebブラウザで利用できる各種365アプリの他、オンラインストレージやSkypeからの無料通話で対応するカスタマーサポートの提供など、継続を後押しするサービスで、顧客との信頼関係を維持しています。



Adobe Creative Cloud

Adobe Creative Cloud


Adobe社が提供する「Adobe Creative Cloud」は、同社の全ての製品を利用できるサブスクリプションサービスです。当初は社内の反対があったものの、売り切り型では、加速する市場ニーズにタイムリーに対応するアップデートデートができないとの判断で、サブスクリプションサービスを開始しました。

単体価格が10数万円するソフトをサブスクリプションに切り替えて販売したところ、趣味でPhotoshopやIllustratorを使いたい人が増えた追い風もあり、2020年は過去最高の売上を達成しています。その後もデータサイエンティストチームを立ち上げ、あらゆるデータをスピーディーに共有することで、顧客満足度の向上につなげています。




Salesforce

Salesforce
Salesforce社は、売り切り型のシステムが主流であったソフトウェア業界で、1999年にいち早くサブスクリプション型のサービスを始めた、SaaSの先駆け的存在です。同社では、自社が成長するには、顧客を満足させられるように永遠に進化することが求められるとして、自社で機能を付加するだけでなく、顧客自らがシステムにカスタマイズを加えることができる柔軟性を有し、有力と目星をつけたサービスは迅速に買収の上プラットフォーム傘下に置くことで独自の発展を遂げています。自社のマーケットプレイス「AppExchange」アプリを通じて、第三者が開発したサービスを購入するエコシステムにより、顧客ニーズを満たす付加価値を増大させています。



BtoCサブスクリプションの成功事例

ここからは、BtoCのサブスクリプションビジネスで、成功した事例を紹介します。



Spotify

Spotify

Spotify(スポティファイ)が日本でサービスを開始した2016年頃は、音楽はダウンロードサービスが全盛期でしたが、そのときに先陣を切ってストリーミング配信サービスを開始しました。無料でも充分に楽しめるコンテンツを配信しており、「Spotifyのプレミアムプランが3ヶ月100円」など、ユーザーニーズを捉えたキャンペーンや、ポッドキャストを重視したコンテンツラインナップ、徹底したローカライズ戦略で新興市場を開拓していること、他業界との積極的なコラボなどが成功要因とされています。




Oisix

Oisix

安心安全な野菜の定期宅配サービス「Oisix(オイシックス)」は、新鮮な野菜や果物、オリジナルの無添加加工食品、料理キットなど、付加価値の高い製品をユーザーに届けています。会員が「Oisixを使っている自分を好きになる」という、利用することで得られる新たな価値も提供しており、顧客ニーズを常に満たしていることが、成功の秘訣となっています。顧客の「熱狂度」という指標に注目したデータの分析で、細かなサービス改善も行っています。




KINTO

KINTO

「KINTO(キント)」は、トヨタが2019年から始めた、個人向けの愛車サブスクリプションサービスです。車を購入・所有する際に必要なイニシャルコストとランニングコスト、任意保険などをすべてひっくるめた月額定額プランを提供しており、3年・5年・7年の契約プランから選ぶことができます。


プランの明瞭さと、Webで申し込みから契約までが可能という気軽さが、若年層を中心に申込みが増えている理由となっています。契約途中でも一定期間経過後は乗り換えも可能で、高齢者ならば、免許返納のタイミングで解約もできます。



 

まとめ:サブスクリプションで成功するポイントを知って効果的なビジネスのスタートを


サブスクリプションビジネスを成功させるには、組織をあげて共有や連携ができる体制づくりや、ユーザーの解約を抑制するための顧客ロイヤルティ向上を実現する施策、定期的なPDCAを回すことなどが必要となります。


そのためにも、自社の経営方針にあったKPIを立て、ここで紹介した6つの指標を用いて、結果を分析し、都度改善していくようにしましょう。



尾上 雄馬

執筆者情報:

尾上 雄馬(おのうえ ゆうま)

2007年に株式会社ビーエスピー(現ユニリタ)入社。
ITサービス向けヘルプデスクSaaS「LMIS」を新規開発から開発を担当。
開発業務の傍らサポートも兼務していたが、解約率の高まりに危機感を感じ、2017年より同サービスのカスタマーサクセスチームを立ち上げ責任者を担当。
カスタマーサクセス管理用のツールを内製し、解約率半減を実現。
この管理ツールを汎用化し、Salesforce上で稼働するカスタマーサクセス管理SaaS「Growwwing」として販売開始、2020年7月より事業化し責任者を担当。
itSMF JapanにおいてクラウドSLA分科会副座長、サービスカタログ分科会座長も歴任。


『Growwwing 』サービス資料を無料でダウンロード

『Growwwing 』サービス資料を無料でダウンロード

LTV最大化のためのカスタマーサクセスプラットフォーム『Growwwing グローウィング』のサービス資料を無料でダウンロードいただけます。
『Growwwing グローウィング 』は、解約防止とネガティブチャーンを達成する顧客管理が実現。Salesforceとの相性は全ツールNo.1です。

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連キーワード

お役立ち情報

“取材・記事掲載
無料キャンペーン”中

“貴社のカスタマーサクセス実践体験を無料でPRしてみませんか?
これからカスタマーサクセスを始める方へのヒントになり、
勇気を与える貴社の物語を聞かせてください”