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【総集編】SaaSビジネスにおけるロイヤルカスタマーの定義、そして育成法とは?

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【総集編】SaaSビジネスにおけるロイヤルカスタマーの定義、そして育成法とは?

あらゆる企業にとって最もプライオリティの高い顧客は、提供するサービスや製品に愛着を感じ、“他には代えがたいもの”と認識している「ロイヤルカスタマー」です。顧客との継続的な関係が重要視されるいま、特にSaaSビジネスでは、ロイヤルカスタマーとはどういう顧客なのか、また彼らを育成する上で必要なカスタマーサクセスにおける要素とはどういうものなのかを理解しておく必要があります。


実際、ロイヤルカスタマーの重要性は認識しているものの、自社サービスにおけるロイヤルカスタマーの基準やペルソナを明確に定義できていない企業も少なくありません。SaaSビジネスにとってのロイヤルカスタマーの定義や、彼らがサービスにもたらすメリットを解説します。



ロイヤルカスタマー(優良顧客)とは?


ロイヤルカスタマー(優良顧客)とは?


「ロイヤルカスタマー」を定義する

どのような事業にも存在するロイヤルカスタマーですが、提供サービスによってその定義はさまざまです。言いかえればサービスごとに「ロイヤルカスタマーの」基準を決めておく必要があるということです。基準は大きく分けて2つ存在し、一方は「サービスのコアターゲットであるか」であり、他方が「基準を満たす行動をしているか」になります。


例えば、直近1年間の行動が基準を満たしていたり、一定以上の金額が必要なプランで多数のアカウント契約がある企業/担当者だったとしても、サービスの利用方法が限定されており、本来の用途とは違う業務で無理に利用しているような顧客は、「狙ってロイヤルカスタマーにしたい」ターゲットとはいえません。


よって、まず事業・サービスにおけるコアターゲット像を明確化しておかなくてはなりません。指標としては、

・サービスの利用用途・効果が見込める業界/業種/業務の課題があるか
・一定以上の収益規模を持ち、サービスの費用対効果が出せる企業か
・狙いたいペルソナに近い担当者がコアメンバーになっているか

といった要素が挙げられます。


これらは顧客になった時点で把握でき、原則的には不変の要素といえます。よって、カスタマーサクセスによって育成し、継続的に観測すべきは「行動基準」となります。以下より詳しく触れていきましょう。


1.継続的に契約・利用してくれているか

SaaSビジネスにおけるロイヤルカスタマーは、企業やサービス・製品に対して愛着を持ち、競合となる他社ブランドへ離脱せず、長期間にわたって企業に安定的な売り上げをもたらします。


顧客との関係性が「購入・契約まで」だった従来型のビジネスモデルでは大口購入者が売り上げ貢献度が高いとされていましたが、SaaSのような「購入・契約から」顧客との関係が始まるビジネスモデルでは継続利用者がもたらす少額・長期安定的な売り上げが大きな価値を持ちます。


SaaSビジネスにおいて「継続利用」は、ロイヤルカスタマーの定義において必須の要件であり、存在意義の根幹といえます。


2.新規顧客をもたらしているか/もたらそうとしてくれているか

友人や知人による口コミや紹介を「リファラル」と呼びます。採用の分野では求人サイト経由よりも、社員の紹介で採用する「リファラル採用」のほうが、企業文化にマッチした人材に出会え、定着率も高いのです。それと同様にリファラル経由の顧客は、ロイヤルティが高い傾向があります。


周囲の知り合いに対して、企業のサービスを広めてくれる「リファラルの起点」になってくれていることもロイヤルカスタマーの特徴で、SaaSビジネスでは重要です。人には自分が良いと思い、愛着を持っている商品やサービスを親しい人に勧めたいという心理があります。そのためロイヤルカスタマーは、周囲の家族や友人たち、さらにはSNSなどで不特定多数に向けて自らが利用するサービスを推奨してくれる傾向があります。


他人への推奨度を指標とした「NPS®」(Net Promoter Score)では、サービスを0〜10点の11段階で評価し、0〜6点は批判者、7〜8点は中立者、9〜10点は推奨者と分類します。推奨者の割合(%)から批判者の割合(%)を引いた数値がNPS®スコアです。


<ex:>100人の顧客に対し、NPS調査を実施し、批判者(0〜6点)が40人、中立者(7〜8点)が40人、推奨者(9〜10点)が20人だった場合

推奨者20% − 批判者40% = NPSスコア-20

この「NPSスコア-20」という数値が、「良いのか/悪いのか」について触れてみると、「決して悪くない」という評価になると考えられます。マイナス数値ということで、一見「悪い」と思われるかも知れません。しかし、NPSは「積極的に、人に勧めたいと思うかどうか」という指標であり、10段階中6点をつけた人でさえ「マイナス要因」になり、「プラス要因」は9点以上の人のみ、という基準のもと算出される厳しいものです。


「銀行」を例にとってみると、業界最高といわれる企業の数値ですら「-25」程度であり、業界平均に至っては「-45」前後です。アパレルECサイト、動画配信サービスなどの誰もがなじみのあるサービスについても業界平均は「-20から-25」となりますので、「NPSスコア-20」という数値は、自社のサービスが、まずはクリアすべき基準と捉えて差し支えないといえます。


NPS®スコアが高い企業のサービスは、リファラルを生み出すロイヤルカスタマーの予備軍も多いと考えられます。

 

3.適切なレビューやフィードバックを伝えてくれるか

ロイヤルカスタマーは企業やサービスに愛着を感じているからこそ、適切なレビューやフィードバックを企業にもたらします。その理由は仕事や義務感からではなく、「自分の好きな企業の発展に寄与したい」「好きな商品やサービスをもっとよくしたい」というマインドが自発的・自律的な行動を生むからです。


その視点からは企業側にとっては想像もしていなかったような発想を得られ、新商品や新サービスを生み出すきっかけになることもあるのです。ロイヤルカスタマーの意見は、常にアップデートを必要とするSaaSビジネスの改善には欠かせないものなのです。

 

4.事業・サービスに対する収益貢献度が高いか

長期にわたって利用し、リファラルもあり、頻繁なフィードバックも行ってはいるものの、「契約アカウント数が極端に少ない」「最安プランのみの契約」というユーザーは、収益貢献度の観点においてはまだロイヤルカスタマーとはいえません。 事業・サービスとして厚遇すべき対象であるロイヤルカスタマーは、やはり多くの収益をもたらす顧客であることが必要です。


以上のように、ロイヤルカスタマーは多くの基準をクリアする稀有な存在で、突然現れることも自発的に育つこともまずあり得ません。しかしひとたびロイヤルカスタマーとなれば、事業やサービスにとって代え難いパートナーになります。だからこそカスタマーサクセス活動を通じて、確実に育成する必要があるのです。

  

ロイヤルカスタマー育成のポイント

ロイヤルカスタマー育成のポイント
冒頭でも触れた通り、ロイヤルカスタマーを増やす上でカスタマーサクセス活動は欠かせません。サービス自体の品質や機能を高めるだけでなく、カスタマーサクセス活動を通じて顧客へ積極的に歩み寄り、働きかけを行う必要があります。


顧客ロイヤルティ向上により既存顧客の定着率を高め、他社への乗り換えによる減収を防ぎ、さらにアップセルによって新規顧客を増やさずとも売上を底上げできるでしょう。SaaSビジネスに恩恵をもたらすロイヤルカスタマーを増やすために必要なポイントがいくつかあります。それぞれの指標を詳しく見ていきましょう。


顧客情報を一元管理し社内で共有する

SaaSビジネスにおいて、顧客との関係を目指していくことになります。同じ顧客に長期間契約してもらいロイヤルカスタマー化するためには、契約状況やカスタマーサクセス施策の効果、利用状況など顧客情報を一元管理してニーズをくみ取ることが重要になります。


現在ではOffice系ソフトのクラウド化が進み、オペレーションログや、問合せ情報などの手入力 データを共有するだけなら、オンラインのスプレッドシートやグラフツールで事足りる時代になりました。


しかし、データ連携の自動化、SaaS利用状況や他のデータベースとの連携等までも含めた全方位的な一元管理を目指すならば、やはり情報を一箇所に集約でき、顧客の動きも含めてリアルタイムに可視化され、情報を即座に改善活動へつなげられる、クラウド型の専用ツール導入を検討すべきかもしれません。


再現性のある成功体験を提供する

顧客のカスタマーサクセス体験を蓄積し、再現性を持つことが大切です。顧客データやサービス利用状況等を分析することで、類似顧客に対して仮説を立てながらアプローチでき、繰り返し成功体験を提供できるようになります。


再現性のある成功体験を与える仕組みは、ロイヤルカスタマーを生むだけでなく、リファラルを生み出す仕組みとなり、ロイヤルティの高い新規顧客を獲得するサイクルが構築されるのです。



SaaSビジネスを成功へと導くために、ロイヤルカスタマーを育成しよう


SaaSビジネスを成功へと導くために、ロイヤルカスタマーを育成しよう

「継続的に契約・利用」「新規顧客をもたらす」「適切なレビューやフィードバックをもたらす」「事業・サービスに対する収益貢献度が高い」というロイヤルカスタマーの行動基準における4つの定義と、「顧客情報を一元管理し社内で共有する」「成功体験を継続する」という2つのロイヤルカスタマー育成のポイントを紹介しました。


ロイヤルカスタマーの割合を高める取り組みは、SaaSビジネスの継続に欠かせません。カスタマーサクセス活動を通じて、顧客のロイヤルティを高め、ロイヤルカスタマーとともにSaaSビジネスを成功へと導きましょう。
渡邉 剛

執筆者情報:

渡邉 剛(わたなべ ごう)

ユニリタ自社開発のETLツール「Waha! Transformer」の導入教育/サポート、データ活用システム(ETL/DWH/BI)構築のプロジェクトマネージャーを歴任し、2018年にカスタマーサクセスチームの立上げ責任者を担当。
その経験からカスタマーサクセス専用ツールの必要性を実感し「Growwwing」の事業立上げをおこなう。
2020年7月の事業化からプロダクトマーケティングとカスタマーサクセスの責任者を担当。
カスタマーサクセスコミュニティ「CS KOMMONS」においてハイタッチ部 副部長も歴任。


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