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【特別編】現役CSM体験談!CS組織の立ち上げ期~拡大期に『実感』したカスタマージャーニーマップの有効性とは?

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【特別編】現役CSM体験談!CS組織の立ち上げ期~拡大期に『実感』したカスタマージャーニーマップの有効性とは?

目次



今回は特別編!現役のカスタマーサクセスマネージャー(CSM)に、ご自身の体験を通じて実感された、「カスタマージャーニーマップ(CJM)の有効性」を解説していただきます。

著者は、前職では中小企業(SMB)の顧客をメインに担当。テックタッチで顧客の成功に向けた支援をされていました。現職は、同じCS業務ながら、その内容は大きくちがうものに。情報収集/市場分析ツールのCSMとして、エンタープライズ企業向けのハイタッチなCS活動に尽力されています。

本記事では、CS組織の立ち上げ期と拡大時期、双方を経験したからこそ実感できたというCJMの有効性について語り尽くしていただきます。これからCS組織を立ち上げに臨まれる方、今ある組織を拡大されていきたい方、双方に参考にしていただける内容となっておりますので是非最後までご覧ください。



著者経歴


今回特別編としてGrowwwth Noteに寄稿させていただくことになりました。冒頭でご紹介いただいた通り、前職では2年間、SMB企業向けのテックタッチCSを担当していました。現職では、少し方向性を変え、エンタープライズ企業向けにハイタッチなCS活動をおこなっています。同じCSでありながら、業務内容の大きく異なる2つのポジションを経験したことを活かし、皆様のCS活動の参考としていただけるよう全力をつくしましたので、ぜひ最後までご覧ください。


 

まずは定義の再確認『カスタマージャーニーマップ』とは?

カスタマージャーニーマップとは、直訳すると「顧客の旅の地図」ですが、一般的には顧客が製品・サービスと出会ってから購入・契約に至るまでの道筋(心理変容)を可視化したものです。フェーズごとに顧客がどのような思考・感情・行動に至るかを分析することで、そこに対するアプローチを最適化することができます。元々はマーケティングの分野で用いられることが多かったのですが、顧客と深く関わるカスタマーサクセスの領域においても、フェーズごとに顧客の体験を整理することは大きな効果を発揮します。


CS組織の拡大時期に生まれた課題
 

組織拡大に伴い、でてきた課題とは?

カスタマージャーニーマップが必要になったのは、所属するCS組織の拡大に伴い、メンバーや部署の増加によって様々な課題が浮き彫りになったためです。

【課題】

・CSM一人ひとりが重要視している施策がバラバラ
・CS組織が2つのチームに分かれており、相互の動きが見えづらい
・CS組織全体で取り組むべき施策が明確でない
・CS組織全体で課題の目線合わせができていない

CS組織は当時の組織体制の都合上、2つのチームに分かれていました。そのため、CS組織全体での目線合わせをする機会を作ることが難しく、統一したアプローチができていませんでした。結果として、個々のメンバーによって施策やタスクに対して感じている課題感や重要性が異なり、CS組織全体のやるべきことや方向性に「これでいいのか?」という違和感が湧きました。

課題を解決するために必要だったこと

メンバーが少ない時期は、顧客の課題やそれに対する打ち手について共有できる接点が自然と多く生まれましたが、メンバーが増えてくると「あえて接点を設けること」を必要とする場面がでてきました。そのような状況から、メンバー間の目線を統一し、その上で施策の優先度を決めていく必要があるという認識が強くなったためカスタマージャーニーマップを作成することになりました。

拡大時期の課題を解決するためのカスタマージャーニーマップ作成

カスタマージャーニーマップは、フェーズごとに顧客の思考・感情・行動をあきらかにしていきます。普段、顧客と対峙する中で見えてきたことをCSM同士で共有し合うことで、共通する課題感やチームとして取り組まなければいけない施策を見つけることができます。また、カスタマージャーニーマップを「構築するプロセス」を通して、各メンバーの認識を揃えることができるため実際に施策をおこなう際もスムーズに連携が取れるようになります。

経験から考えた"チームとして"強いCS組織を作るために必要なこと

日々、顧客と向き合っているCSメンバーは、一人ひとりが顧客の課題や要望を、高い精度で理解・把握しています。ただ、メンバーの担当している案件や業務領域の違いにより、顧客の理解度にバラつきが出る部分もあります。強いCS組織を作るためには、日々の顧客対応の中でキャッチアップした課題や知見をきちんと記録に残し、チームで共有・連携を深めていくことが大事です。

カスタマージャーニーマップ作成のステップ



参加メンバー

今回のカスタマージャーニーマップ作成には、CSチームだけでなくプロダクトチームやデザイナーの方にもご協力をいただきました。

【参加メンバー】

CSチーム:10名程度
プロダクトチーム:2〜3名
UXリサーチャー:1名

どういうメンバー構成で実施するかは、組織によって大きく異なる部分かと思いますが、今回は、CSとプロダクトが連携して動く施策についても検討したいという目的があり、少し多くのメンバーにお集まりいただきました。しかし人数が多くなりすぎると、意見の集約が難しい場面もありますのでご注意ください。

ペルソナを構築する

まずはジャーニーマップの作成に入る前にペルソナを4人構築しました。具体的には、以前マーケティングチームで活用していたペルソナを参照しつつ下記の4象限に区切ってペルソナを構築することを決定しました。

【ペルソナ】

①推進力の高いリーダー
②推進力の低いリーダー
③情報収集ニーズの高いエンドユーザー(弊社サービスが情報収集ツールのため)
④情報収集ニーズの低いエンドユーザー(弊社サービスが情報収集ツールのため)

続いて、推進者とエンドユーザーでは必要なコミュニケーションだけでなくサービスと関わる体験も大きく異なるため、わけて検討を進めることにしました。また、意欲の高い人とそうでない人では思考や行動にも違いがでるため推進者とエンドユーザーの中でもさらに2つの象限に区切りました。4つのペルソナにそれぞれ名前をつけ、どういう特徴があるか、日々どういう課題を抱えているかなどをディスカッションしました。

フェーズを設定する

次に、カスタマージャーニーマップのフェーズの区切り方を決めました。マーケティング・セールスの分野でカスタマージャーニーマップを構築する際は下記の4つのフェーズに区切ることが多いです。
①サービスの認知 ②比較検討 ③購入・契約 ④利用

しかし今回の対象は、契約済みの顧客です。顧客がどのような課題を抱え、定着に向けてどのようなアプローチが必要かを洗い出すという目的を達成するために、どういうフェーズで区切ると良いのかという部分からディスカッションをしました。ディスカッションの中では、具体的に下記の3つの案が出ました。

【フェーズの案】

案①(期間で細かく区切る)
トライアル中/契約開始2週間以内/契約開始1ヶ月以内/契約開始3ヶ月以内/3ヶ月以降
案②(アカウント登録からの期間で区切る)
初期体験(アカウント登録 2週間未満)/継続利用(アカウント登録2週間以降)
案③(状態で区切る)
オンボーディング期/定着期/拡大時期


最終的には、以下の理由から案③に決定しました。

・今回の目的はCS施策の企画立案であるため、トライアル期間(営業からCSにバトンタッチする前)は対象外
・顧客によってオンボーディングの進み具合は異なるため、明確な期間ではなく状態で区切ることで「なぜオンボーディング状態から定着に進まないのか」といった課題が洗い出せる

各フェーズにおけるペルソナの課題とAs-Is To-Beを洗い出す

カスタマージャーニーマップ作成の準備が整い、ペルソナごとに課題を洗い出すためのグループディスカッションを実施しました。10名のCSメンバーを4つのグループに分け、各ペルソナごとの課題や現状の施策をディスカッションしました。

【グループディスカッションの内容】

①ペルソナを構築した際のディスカッション内容を参加者に共有する
②付箋を使い、フェーズごとに顧客がつまづくポイントや考えることを洗い出す
③付箋を使い、フェーズごとに現状のAs Is 施策を洗い出す
④顧客がつまづくポイントと施策を比較後足りない施策を検討し、新たに意見が出た施策は付箋で記録する

グループディスカッションは1.5時間ほどで実施し、完了後全参加者に各グループのディスカッションの内容を共有いただきました。

To-Be 施策の中で優先して取り組むべき施策を検討する

グループディスカッションの中で顧客の課題感について目線合わせができたので、最後に、どう施策に落とし込んでいくかをディスカッションしました。グループディスカッションの中で顧客の課題感について目線合わせができたので、最後に、どう施策に落とし込んでいくかをディスカッションしました。そこで新たに意見があった施策と現状実施している施策を全てリストアップし優先度を検討しました。

【優先度の検討方法】

①施策をAs-Is To-Be全て含めリスト化
②各CSが必要だと思う推進者向け施策/エンドユーザー向け施策をそれぞれ3つずつ選択
③施策をランキング順に並べ、上位の施策から実施するか否かを具体的に検討

今回、施策を選択した基準としてはチャーン抑止とリテンション促進に効くかという点を重視しました。
エクスパンション施策も一部出ていましたが、まずはチャーン抑止に注力するべきというCSチームとしての判断を優先しました。また、ランキングは参考にしつつも、各施策を実際に実施するか否かは、以下の基準にてディスカッションしました。

・チャーン抑止に効果的で・・・
 すぐに着手できる :担当を決めてすぐに着手
 着手が難しい :担当を決めて動き方を引き続き検討する

・チャーン抑止に直結するわけではないが・・・
 すぐに着手できる :余力がある人がいれば着手
 着手が難しい :ひとまず先送り

※着手が難しい=プロダクトのアップデートが必要、コストがかかる等の理由ですぐには実現が難しい施策

カスタマージャーニーマップを作成する上で難航したポイント

顧客がどのような課題を抱え、定着に向けてどのようなアプローチが必要かを洗い出すかを検討するという目的でスタートしたカスタマージャーニーマップ作成ですが、参加人数が増えすぎると議論が収束せず、なかなか目線合わせが進まないという難しさがありました。 ある程度、アイデアを発散するフェーズでは人を募りつつ、ペルソナやカスタマージャーニーマップ、グループディスカッションの進め方においての設計は2〜3名のメンバーで実施した方がスムーズに進めやすいかもしれません。
また、アイデアが次から次へと出てくるディスカッションは、中々収束させるのが難しく事前にゴールを設定し、しっかり目線合わせをしておくことが重要だと感じました。アイデア豊富なCSメンバーだからこそ、少し本筋からずれたところで議論が進むこともあり、話を本筋に戻すために、ゴールを再確認するという作業も必要な場面があります。

今回は”施策の優先度を決定する”というゴールを事前に設定していました。

実感したカスタマージャーニーマップ作成の効果とは?



各CSから日々共有される顧客事例から、共通する課題を発見できた

カスタマージャーニーマップを作成したことによる効果はいくつかありますが、1つは顧客に共通する課題を改めて発見することができた点です。各CSから日々の顧客事例や顧客折衝の中で感じていることが共有される中で他のメンバーからも似たようなエピソードがでてくるという場面がありました。自身の案件だけでなく、多くの顧客の共通課題というものをあらためて言語化することができました。

優先度を検討することで、注力すべき施策の目線合わせができた

以前は、複数の施策が同時に実施されているものの、施策間の優先順位があいまいになっている部分がありました。今回のグループディスカッションを通し、顧客の課題から施策を検討することで、顧客課題に効く”今、取り組むべき施策”を目線合わせすることができました。
また、施策の担当者も同時に決定することで、スムーズに施策を実行に移すことができた点もグループディスカッションを実施してよかったポイントです。担当者については、施策遂行にかかる工数や担当者のかかえている業務量などを鑑みてなるべく平等なバランスになるように設定をしました。各メンバーが抱えている業務負荷のバランスを取るという意味でも一度施策を洗い出す機会を設けることができたのはよかったと思っています。


立ち上げ期にカスタマージャーニーマップを作成するなら

今回は、CS組織が拡大していくフェーズでのカスタマージャーニーマップ作成でしたが、この記事を読まれている方の中には、これからまさにCS組織を立ち上げていくというフェーズに取り組まれている方も多いのではないでしょうか?立ち上げ期においては、PDCAを回しながらどんどん新しい施策を試し、CSの型を作成していく必要があるかと思います。そういう場面でも、カスタマージャーニーマップを一度メンバーで考え、顧客課題の精度を高めることで、新しいアイデアや施策の企画立案につながります。
また、プロダクトのアップデートや顧客の理解度向上などもあり、サービスやCS組織も少しずつ変化していくものだと思います。定期的にカスタマージャーニーマップをアップデートする機会を設けることをお勧めします。

まとめ


カスタマージャーニーマップを作成したのは今年のはじめ(2023年1月)頃ですが、本記事を執筆しながら中々骨の折れる作業であったとしみじみ思い出しました。「カスタマージャーニーマップ、作りたいですね」という自分の一言でスタートしたグループディスカッション。アイデアマンや知見を持つ経験豊かなメンバーが多いからこそ議論が収束せず、迂闊なことを言うんじゃなかったと思った瞬間も正直ありましたが、顧客の課題をあらためて見つめ直すことができました。
また、顧客課題から優先度を検討したことで取り組む施策への納得感もあり、良い機会でした。本記事が、少しでもみなさんの参考になれば幸いです!

 

渡邉 剛

監修者情報:

渡邉 剛(わたなべ ごう)

ユニリタ自社開発のETLツール「Waha! Transformer」の導入教育/サポート、データ活用システム(ETL/DWH/BI)構築のプロジェクトマネージャーを歴任し、2018年にカスタマーサクセスチームの立上げ責任者を担当。
その経験からカスタマーサクセス専用ツールの必要性を実感し「Growwwing」の事業立上げをおこなう。
2020年7月の事業化からプロダクトマーケティングとカスタマーサクセスの責任者を担当。
カスタマーサクセスコミュニティ「CS KOMMONS」においてハイタッチ部 副部長も歴任。


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