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【応用編】立ち上げ初期のカスタマーサクセス組織にありがちな落とし穴6選!解決方法までしっかり解説

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【応用編】立ち上げ初期のカスタマーサクセス組織にありがちな落とし穴6選!解決方法までしっかり解説

立ち上げ初期のカスタマーサクセス組織が陥りやすいのが、カスタマーサクセスの6つの落とし穴です。立ち上げ初期は人員が限られるため、カスタマーサクセス担当者(以下CS担当者)がサポートも兼任したり、業務の属人化が進んだりしがちです。これらの落とし穴を回避するためにも、本記事で紹介する6つの対策を実践しましょう。

 



カスタマーサクセス組織の立ち上げ初期には、ついやってしまいがちなNG行動が6つあります。たとえば、CS担当者がサポートも兼任するケースや作業的で機械的なオンボーディングなど、陥りやすい「カスタマーサクセスの落とし穴」に注意しましょう。
本記事では、カスタマーサクセスにおける6つの具体的なNG行動を例示するとともに、適切なKPIの設定やヘルススコアの運用に代表される対処法をわかりやすく解説します。

 


落とし穴①CS担当者がサポートまでやっている場合

カスタマーサクセス組織の立ち上げ初期は、チームメンバーの人数が限られているため、CS担当者がカスタマーサクセス/サポートを兼任しがちです。また、サービスをリリースしたばかりのタイミングほど不備や不足が多いため、立ち上げ初期はサポート部門への問い合わせが集中します。CS担当者がサポート業務に忙殺されるようになると、サクセス活動がままならなくなり、顧客満足度の低下につながります。

落とし穴②「マズい顧客管理」を行っている場合


立ち上げ初期に気をつけたいのが、2つの「マズい顧客管理」です。

  • 顧客情報がセールスと別管理
  • Excel/スプレッドシートによる手動管理

それぞれの顧客管理の何が問題なのか、詳しく解説していきます。

 

顧客情報がセールスと別管理

立ち上げ初期のころは、セールス部門とカスタマーサクセス部門で、顧客情報を連携・共有される仕組み作りができていないことがあります。

セールスが担当する領域は、商談開始から契約までの比較的短期的な業務であり、契約という明確なゴールが存在します。しかし、カスタマーサクセスは、契約以降も続く長く終わりのない業務と言えます。一人ひとりの顧客情報や契約状況、ヘルススコアの数値など、すべての要素を並行して管理しなければなりません。

こうした管理属性の違いから、セールスとカスタマーサクセスで違うツールを使用するケースが見られます。しかし、同一の顧客情報を別々に管理すると、情報の連携ミスやギャップが生じる恐れがあります。そこで営業系顧客管理システム(以下営業系CRM)とCS系CRMが相互に必要なデータを連携し、組織同士においても情報流通のタッチポイントを構築しデータと人で連携しあえる組織作りが重要です。そのためにCSプラットフォームを導入するのも一つの手段です。

 

Excel/スプレッドシートによる手動管理

もうひとつの「マズい顧客管理」は、Excelやスプレッドシートといった汎用ツールによる「手動の顧客管理」です。Excelやスプレッドシートは導入費用が安価で、使い方に習熟したメンバーが多いことから、立ち上げ初期の組織で採用されがちなツールです。

しかし、Excelやスプレッドシートなど、基本的に「手入力」が前提となるツールでは情報のリアルタイム連携や正確性に課題があります。顧客の状況や状態を正確に把握するためには、「必ずしも人がやらなくていい作業」は極限まで自動化された環境が理想的です。

また、Excelやスプレッドシートには、カスタマーサクセス支援システム(CSFA)やCRMのように、記録したデータをもとに次のアクションを促すタスク管理/アラート機能がありません。そのため、顧客の行動を先読みし、積極的なアクションを仕掛けるプロアクティブな顧客対応が生まれにくいという課題もあります。

 

落とし穴③属人的な業務が多数の場合

顧客数が少ない立ち上げ初期の組織ほど、業務が属人化するリスクが高くなります。ここでは、カスタマーサクセス業務の属人化を招く2つのNG行動を紹介します。


特定のメンバーしか把握していない顧客情報がある

立ち上げ初期は顧客数が少ないため、顧客ごとに個別のカスタマーサクセスマネージャー(CSM)がつき、ハイタッチ(1対1)で対応するケースがほとんどです。その状況下で、前項で紹介したような情報連携の不足が発生すると、顧客管理がブラックボックス化し、特定の顧客のことは特定のCSMしかわからない状況に陥ります。顧客とのやりとりがCSM個人に依存するため、カスタマーサクセスにおけるトラブル発生のリスクが飛躍的に上がります。



特定のメンバーしかできない業務がある

また、人数が少ない段階から、タスクを細分化する組織も見られます。業務の分断が進むと、以下の例のように特定のメンバーしか対応できないタスクが出てきます。

  • ヘルススコアの計算ロジックは特定のAさんしか編集を行えない
  • 顧客管理システムのレポートはBさんしか作成できない

担当者が急病などで休むと、事業活動そのものも停止するため、運営上のリスクが非常に高くなります。

落とし穴④KGIしかなく中間指標のKPIがない場合

立ち上げ初期はカスタマーサクセスの知識やノウハウが貯まっておらず、組織の目標とそのためのアクションを紐づけるロジックが曖昧です。たとえば、顧客に求めたい平均LTV(顧客生涯価値)などの目標(KGI)は決まっていても、ゴールにたどり着くための中間指標(KPI)や、それを達成するための具体的なアクションが定義されておらず、活動が緩慢になり、結果的にCS活動が滞るケースが見られます。


落とし穴⑤作業的・機械的なオンボーディングをやっている場合

オンボーディングを成功させるには、やるべきことの「型化」を進め、成功する業務フローの再現性を高める必要があります。しかし、「型化」した業務フローを機械的に踏襲し、作業的・機械的なオンボーディングを実施している例が散見されます。

顧客によって、さまざまな要望や課題があります。製品やサービスが持つ機能の中で、どこを重点的に使いたいかは千差万別です。定型のオンボーディングだけで対応していると、顧客の細かなニーズを汲み取れず、サービス利用開始後すぐにロイヤルティが低下しはじめます。。

*顧客ロイヤルティを高める方法やメリットについては、
【総集編】顧客ロイヤルティ完全理解!基礎から実践まで網羅で詳しく解説しています。


落とし穴⑥ヘルススコアの正しい管理方法がわかっていない場合


ヘルススコアは、契約後の顧客の状態を定量的に表す、SaaSやサブスクリプション事業のキー要素です。しかし、計算ロジックの組み立て方や、可視化する際の表現方法、適切な使用ツールなどに関する知識不足から、ヘルススコアを正しく管理できていないケースが多く見られます。

CSの落とし穴の解決方法を大公開!



顧客と長期的な関係を築くには、カスタマーサクセスの落とし穴に気づき、対処することが大切です。ここでは、カスタマーサクセスの落とし穴ごとに解決方法を紹介します。

解決策①サクセス担当者とサポート担当者はそれぞれ別人格を立てる

カスタマーサクセスとサポートは、前者が「能動的提案業務」、後者が「受動的対応業務」であり、業務の属性に違いがあります。カスタマーサクセスとサポートを同一人物が行うと、時間的な制約が生まれるだけでなく、異なる属性の業務を同時に遂行することになり、混乱が生じます。したがって、どれだけ少人数の組織であっても、CS担当者と別にサポート担当者をアサインし、それぞれの業務に専念させることが大切です。

解決策②顧客管理は一元的かつ専門的に実施する

前半で、セールスは「短期/点」、カスタマーサクセスは「中長期/線」の業務だと説明しました。しかし、顧客との関わり方に差異があったとしても、顧客管理システムは統一し、一元的に情報を集約しつつ、それぞれ専門的に必要な項目を参照する形で管理しましょう。
カスタマージャーニーマップを活用し、「ここまではセールス」「ここから先はCS」という線引きを明確化すれば、同じシステムを共用できます。システムの共用化を促進するためには、少なくとも「顧客および顧客担当者に関する情報」を参照・更新する際は、関係者全員が同じ場所を見る習慣をつけることが大切です。

解決策③すべての業務と顧客情報をチームで共有・標準化する

前述のとおり、顧客情報の一元管理を進めるとともに、業務の標準化を進めましょう。ここでも、役に立つのがカスタマージャーニーマップです。カスタマージャーニーマップを「オンボーディング期」「定着期」「拡大期」に分け、それぞれの業務を定義しておくことで、チームメンバーの役割分担が明確になります。


解決策④KGIに至るプロセスをKPIでしっかりと管理する

KGIとして設定されることが多いのは、顧客平均LTVのほか、ARR(年間経常収益)やMRR(月次経常収益)などの「収益指標」です。しかし、収益指標だけを設定しても、メンバー一人ひとりの活動を定義していくことはできません。
顧客単価、継続利用期間、チャーン(リテンション)率など、収益指標を構成するさまざまな数字を中間指標(KPI)として設定し、メンバー一人ひとりの目標と紐づけながら、行動を管理していくことが大切です。

解決策⑤オンボーディングは顧客にあわせてカスタマイズする

オンボーディングは、顧客の状況や状態にあわせて、対応をカスタマイズしていく必要があります。オンボーディングにおけるレクチャーや、Q&Aの内容を蓄積・分析し、業務フローの「型化」を進めることは重要です。

しかし、実際にオンボーディングを提供する際は、顧客の要望に先回りして、「型化」されたフローの順番を変えたり、レクチャー内容を調整したりといったカスタマイズが必要です。サービスをただ知ってもらうだけでなく、顧客に腹落ちして使ってもらうことをゴールに設定しましょう。

解決策⑥最初は手動管理でもOK。ヘルススコアは必ずつける!

先述した通りヘルススコアはSaaSやサブスクリプション事業において重要な指標です。最初は担当者の主観で手入力する形でも良いです。ただし、並行してヘルススコアを手動計測でも良いので仮説検証を進めましょう。ヘルススコアを管理するうえで大切なポイント・流れは以下の通りです。

  • ヘルススコア計測の対象とする指標を決める(ログイン頻度、使用時間、使用機能数など)
  • 指標の重要度に基づいて、優先順位付けをする(最重要、重要、普通など)
  • サンプル顧客を用いて、実際に数値を計測してみる
  • 計測結果に対し、必要なアクションを定義する(再オンボーディング、VoCのヒアリング、アップセルの提案など)
  • ヘルススコアの実運用をスタートする
  • 運用していくうえでヘルススコアロジックをブラッシュアップし、改善サイクルを回して精度を高めていく

まとめ

立ち上げ初期のカスタマーサクセス組織が陥りやすい落とし穴とその効果的な解決策について解説しました。
立ち上げ初期は人員が少なく、できることが限られるため、CS担当者がサポートを兼任したり、過度に「型化」されたオンボーディングを提供する傾向があります。また、顧客の平均LTV・ARR・MRRなどの収益指標をKGIとして設定する一方で、中間指標のKPIを疎かにしているケースもよく見られます。KGIというゴールに至るプロセスをKPIとして設定し、メンバー一人ひとりの目標と紐づけながら、カスタマーサクセスチームの行動を管理していくことが大切です。また、ヘルススコアの正しい運用方法を知り、再オンボーディングやアップセルなどのアクションにつなげることも重要です。これらの点に注意し、適切で効率的なカスタマーサクセス活動を目指しましょう。

尾上 雄馬

執筆者情報:

尾上 雄馬(おのうえ ゆうま)

2007年に株式会社ビーエスピー(現ユニリタ)入社。
ITサービス向けヘルプデスクSaaS「LMIS」を新規開発から開発を担当。
開発業務の傍らサポートも兼務していたが、解約率の高まりに危機感を感じ、2017年より同サービスのカスタマーサクセスチームを立ち上げ責任者を担当。
カスタマーサクセス管理用のツールを内製し、解約率半減を実現。
この管理ツールを汎用化し、Salesforce上で稼働するカスタマーサクセス管理SaaS「Growwwing」として販売開始、2020年7月より事業化し責任者を担当。
itSMF JapanにおいてクラウドSLA分科会副座長、サービスカタログ分科会座長も歴任。


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