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【総集編】「アップセル・クロスセル」それぞれの意味と違い、施策例|メリットや成功させるポイントも解説

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【総集編】「アップセル・クロスセル」それぞれの意味と違い、施策例|メリットや成功させるポイントも解説

アップセル・クロスセルとは、既存の顧客を対象として、顧客単価向上を狙う施策や活動を指します。サブスクリプションビジネスなどの浸透で、瞬間的な売上ではなく、中長期的なLTV向上が経営課題となるに従い注目されるようになっています。

 

今回は、アップセル・クロスセルの意味や導入するメリット、具体的な施策例、効果的に行う上でのポイントなど、基礎から実践に至るまでのすべてを解説します。

 

アップセルとは


最初に、アップセルの概要を説明します。

 

アップセルの意味

アップセルとは、顧客が現在利用している製品やサービスにおける上位プラン、または、その製品と組み合わせて使うオプション機能等の購入や利用を促して、契約ごとの収益を増やすセールス手法です。今利用している製品の追加購入を促す、「同一製品のラインナップに関する施策」となります。

 

アップセルに適したタイミング

アップセルは、顧客の活用が進み上位プランの利用にふさわしいと判断されるタイミングや、契約更新などの意思確認時に行うと効果的です。

 

例えば、制限が100ユーザーのプランで、90ユーザーが登録された段階で、101ユーザー以上が利用できる上位プランの期間限定割引などを提案すると、顧客側は、社内で将来的に利用者が増えた場合の予測や、さらなる有効活用を見据えた検討ができるようになります。また、契約更新時も同様で、上位プランの提案に加えてオプションの紹介なども行うと、顧客の新たな課題解決につながることもあります。


アップセルが効果を発揮するケース

アップセルは、サブスクリプションやECサイトなどで有効活用されています。



サブスクリプションのアップセル施策

リピート型の定期購入で製品やサービスを購入している顧客には、アップセルが効果的です。一定以上の期間と規模で利用しているロイヤルティが高い顧客をターゲットに絞ることで、より高額な製品・サービスであっても、受け入れられやすくなります。



ECサイトのアップセル施策

ECサイトでは、顧客の購買履歴やサイト内行動などの顧客情報を分析することで、その顧客が関心を示すであろう、グレードアップした製品やサービスを提案できるようになります。ECサイトでよく見られる「この製品を購入した人はこちらもチェックしています。」などが、アップセルの典型的な例として知られています。




クロスセルとは

 

続いて、クロスセルについて説明します。

 

クロスセルの意味

クロスセルとは、顧客が現在利用している製品やサービスに関連する別の商材など、組み合わせで価値がうまれるものを提案し、購入や利用を促して自社の収益を増やすセールス手法で、提供中の製品ではない別の製品・サービスの購入を促す施策です。アップセルが「同一製品・サービスのラインナップに関する施策」であるのに対し、クロスセルは、「別製品・サービスのラインナップに関する施策」となります。


クロスセルに適したタイミング

クロスセルも「追加購入」を促す施策になりますので、基本的に提案に適したタイミングはアップセルと同様ですが、「別製品・サービス」という異なるコア機能を持つものの提案になるため、既存の製品・サービスの利用に関する顧客の成熟度の進み具合に関係ないタイミングでニーズが発生する可能性もあります。


クロスセルが効果を発揮するケース

 

サブスクリプションのクロスセル施策

動画配信を提供するサブスクリプションサービスにおいて、音楽関連のコンテンツを多く視聴するユーザーに対し、同じ企業が運営する音楽配信のサブスクリプションへの契約を促すといった、BtoCにおけるクロスセルが一般的に想像しやすいものと思われます。

BtoBの世界でいえば、マーケティング担当者が活用するMA(マーケティングオートメーション)と連携性の高いSFA/CRM(セールスフォースオートメーション/クライアントリレーションシップマネジメント)関連ツールをアドオンで導入してもらうことなどが代表例として挙げられます。実際この形式でのクロスセルを大々的に実行すべく、大手SFA/CRM提供企業が、MAベンダーを買収するといった事例も存在します。 

 

ECサイトのクロスセル施策

ECサイトでは、顧客の購買履歴やサイト閲覧履歴などをもとに、別製品をレコメンドする形で実行されています。ECサイト上での「一緒によく購入されている商品」「チェックした商品の関連商品」などの表示が、クロスセルの手法を用いた施策です。




アップセル、クロスセルが重視される理由

 

アップセル・クロスセルは、ビジネス環境の変化などにより注目されるようになりました。

 

人口減少・競合激化により新規客獲得が困難に

日本は少子高齢化に伴って労働人口の減少が続き、購買者の奪い合いという競争が激化していることから、新規顧客の獲得が困難になっています。そのため、既存顧客を大切にして、契約ごとの単価を上げることが売上増につながることから、アップセル・クロスセルが重視されるようになりました。



新規客獲得にはコストがかかる

また、「1:5の法則」でいわれるように、新規客獲得には既存客維持の5倍コストがかかることから、既存顧客との接点を保ちながら継続利用を促す方が高い利益を得られることになります。コストをかけずに収益を伸ばすために、多くの企業が既存顧客を重視するようになり、アップセル・クロスセルを取り入れるようになりました。


サブスクリプションの浸透

このほか、SaaSをはじめとするサブスクリプション型ビジネスの浸透・拡大も影響しています。サブスクリプションサービスは、顧客の長期利用によるLTVの最大化が最優先事項で、LTV=顧客単価×購入回数×継続時間であることから、顧客単価を向上させる対策であるアップセル・クロスセルが重要となります。 

 



アップセル・クロスセルのメリット

 

アップセル・クロスセルを行うと、どのようなメリットを得られるのでしょうか。

 

顧客単価・LTVの効向上

アップセルやクロスセルにより契約ごとの収益を上げることができれば、LTVの向上につながります。また、上位機能・プランの活用と利用の長期化が進めば、さらにアップセル・クロスセルの提案ができるチャンスが拡がり、一層の単価向上を見込むこともできます。


 

リソースの最適化

アップセル・クロスセルを効率よく進められると、新規客獲得よりも既存客対応に営業を集中させられるなど、人的リソースやコストの最適配分が可能となります。人材配置が適切になると、既存顧客のタッチモデルによるアプローチも可能となり、より顧客ロイヤルティを向上させる対策もできるようになります。

 

アップセルの具体的な施策


ここからは、アップセルの具体的な施策例を、目的別に紹介します。

 

【無料プランから有料プランへの移行】



トライアルを用意

1週間無料やトライアル価格の提供など、顧客が気軽に試しやすいプランやサービスを用意して、一定期間後に正規製品・サービスを勧める施策です。有料製品・サービスの導入はなかなか難しいので、トライアル期間を設けてその良さや利便性を実感いただき、営業フォローなどにより導入を促します。また、導入後に利用できるクーポンなどの特典提供も効果的です。



【上位プランへの変更】



バージョンアップ優待      

期間中にバージョンアップすると特典を得られるなどのキャンペーンを行い、より高いグレードの製品・サービスへの乗り換えを促す施策です。


保証・サポートの延長

グレードの高い製品に、保証やサポート期間の延長などを付加することで、乗り換えを促します。現状の3ヵ月更新のプランから、1年契約のプランに変更させるなどのアップセルにも有効な対策です。

 

複数価格帯のプランを用意

同様の製品やサービスで、価格帯が違うプランが複数あると、一般的に中央のランクの製品を選ぶ傾向があります。この顧客心理を利用して、売りたいアップセル製品と、価格差があまり大きくない上下ランクの製品を用意すると、結果売りたいアップセル製品の契約につながる可能性が高まります。



【契約カウントを増やす】



ボリュームディスカウントの提示    

契約カウントを増やすには、製品やサービスを一定数購入・契約すると、特別な割引を得られるボリュームディスカウントを提示すると、契約に結びつきやすくなります。単価がアップすることは、社内的に稟議を通しづらくなることから、ボリュームディスカウントなどのメリットが顧客側にもあると、窓口である担当者も社内で説得しやすくなります。



【その他】



特別キャンペーンの実施     

顧客ロイヤルティやLTVが上位の顧客に対して、特別感のあるキャンペーンを提供することで、さらに高いグレードへの乗り換えを狙う施策です。他と違う特別な存在として、顧客側が優越感を感じられるような特典などを用意することで、成功率が上がります。


顧客の声、成功事例の提示

このほか、アップセル製品を実際に利用している顧客の声や、ポジティブな口コミなどを提示することで、顧客の心理的障壁を下げることができます。また、顧客と同業のほかの会社が、アップセル製品を使って自社の活動に成功した事例などもあると、顧客は自社で利用するイメージをつかみやすく、契約につながりやすくなります。






クロスセルの具体的な施策

続いて、クロスセルの具体的な施策を紹介します。

 

関連商材のレコメンド

顧客が現在利用している製品と組み合わせることで相乗効果が出る製品を追加購入・契約に結びつけるには、ECサイトなどでは、関連商材に関するレコメンドを強化することで、購入の可能性が高まります。

実際の営業活動でも、単に製品やサービスを紹介するのではなく、それを利用することで顧客の利便性がどれだけ高まるか、顧客の課題が簡単に解決できるなど、その製品・サービスを利用することで得られる、顧客側のベネフィットを提示することが重要です。そのためにも、日頃から顧客の悩みや現状を把握しておくことが望まれます。


セット購入特典の提供

契約した製品やサービスと関連する商材を一緒に購入・契約することで、セット割引が得られるなどの特典を提供することで、クロスセルの成功率を高めることができます。顧客には、セットで利用することで高まる利便性や、メリットが増えることなどを紹介します。



アップセル、クロスセルを効果的に行うポイント

 

アップセル・クロスセルを効果的に行う注意点を紹介します。

 

顧客視点で提案をする

アップセル・クロスセルは、顧客ニーズに合った提案をすることが重要です。自社の利益を優先して、顧客が必要としていないアップグレードやオプションを勧めると、信頼を失ってしまう恐れがあります。

 

顧客ニーズを常に正確に把握できるようにするためにも、営業だけではなく、マーケティングやコールセンターなど各部署で得た情報を一元管理して、アップデートしたデータを共有できるようにしておきましょう。


顧客データを活かした施策を行う

自社の顧客は、それぞれLTVや製品の活用度、将来的なポテンシャルなどが異なるので、これらの要素でセグメントした顧客別にアプローチを変える、カスタマーサクセスの「タッチモデル」を活用すると、より効果的で適切なタイミングでのアプローチが可能となります。顧客の重要度ごとに対応を変えるので、アップセル・クロスセルの成功率向上につながります。


顧客ロイヤルティ向上施策も併行して行う

アップセル・クロスセルは、製品やサービスに対する信頼や愛着などの顧客ロイヤルティが高いほど成功しやすいので、顧客ロイヤルティを向上させる対策も併行して行うと、相乗効果が高まります。

 

カスタマージャーニーマップにおける顧客との接点ごとに、顧客体験を高める対策を行い、問題点があれば改善を講じます。顧客ロイヤルティを把握するには、NPS調査などで数値化できるので、活用するようにしましょう。 


ナーチャリングで顧客を優良化する

ロイヤルティの低い顧客は、満足度や信頼度が低い分、アップセルやクロスセルの受容度が低く、むやみに提案するのは非効率です。このような顧客には、まずはしっかりとナーチャリングを行って、優良顧客に育成してから仕掛けるようにしましょう。 



 

まとめ:アップセル・クロスセルの効果的な活用が収益増・LTV向上につながる

 

アップセル・クロスセルは、顧客数を増やさずに自社の収益を増大させ、LTVの向上やリソースの最適化などにもつながります。実践するにはさまざまな施策がありますが、顧客が望む顧客視点の提案を行うことが重要です。そのためにも日頃から顧客情報のデータを正確に把握しておく必要があり、顧客のLTVや活用度などの違いに合わせたアプローチをするようにしましょう。また、アップセル・クロスセルは顧客ロイヤルティが高いほど成功率が高まることから、顧客ロイヤルティ向上の対策も併行して行うことをおすすめします。

 

 



渡邉 剛

執筆者情報:

渡邉 剛(わたなべ ごう)

ユニリタ自社開発のETLツール「Waha! Transformer」の導入教育/サポート、データ活用システム(ETL/DWH/BI)構築のプロジェクトマネージャーを歴任し、2018年にカスタマーサクセスチームの立上げ責任者を担当。
その経験からカスタマーサクセス専用ツールの必要性を実感し「Growwwing」の事業立上げをおこなう。
2020年7月の事業化からプロダクトマーケティングとカスタマーサクセスの責任者を担当。
カスタマーサクセスコミュニティ「CS KOMMONS」においてハイタッチ部 副部長も歴任。


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