Growwwth Noteは、SaaS / サブスクリプションの事業成長を目指す、
すべてのビジネスパーソンのためのカスタマーサクセスメディアです。

  1. Growwwth Note
  2. カスタマーサクセス カスタマーサクセス実践
  3. 【応用編】データドリブンにプロアクティブな行動を生み出すカスタマーサクセス戦略

【応用編】データドリブンにプロアクティブな行動を生み出すカスタマーサクセス戦略

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
【応用編】データドリブンにプロアクティブな行動を生み出すカスタマーサクセス戦略


カスタマーサクセスにおいて、顧客データの収集ははじめの一歩です。そして、顧客へ価値を届けるためには収集したデータをいかに活用するかが鍵となります。データを分析して顧客の心理を推測し、情報発信や提案に活用する。その繰り返しによって得られた”再現性が高い成功体験”を戦略と施策に落とし込み、プロアクティブな行動を実現していく。本記事では、データの力を最大限に活用することで、顧客との信頼関係を築き、成果を最大化する方法を解説します。


顧客データ、うまく活用できていますか?



カスタマーサクセスの活動において顧客データを正しく集計、活用することはプロアクティブな行動を効率的かつ効果的におこなう手助けとなります。
顧客データを活用するためには「必要なデータを正しく収集」し「カスタマーサクセスの具体的なアクションに落とし込む」という二段階の対応が必要です。自社のカスタマーサクセス組織においてデータの活用ができていない場合には、「収集」と「アクションへの落とし込み」のどちらに課題があるかを確認し、改善をおこなう必要があります。

この点に関して詳しくは下記の記事をご覧ください。▼
【実践編】プロアクティブな行動を生み出すための組織戦略とプロセス改善の手法




顧客心理を推測するために参考になるデータとは?


顧客データにはサービスの利用状況などの定量データ、 顧客の声(Voice of Customer)などの定性データがあります。定量、定性どちらのデータも重要であり、それぞれの特徴や違いを意識して顧客心理を推測していくことが必要です。この章では3点の具体的な例をあげ、それぞれのデータが表す内容と活用のヒントをまとめます。


顧客の声(Voice of Customer)

「顧客の声(VoC)」は日々のカスタマーサクセス業務の中で得られる重要な定性データです。サービスに満足している、不満があるなど、顧客の生の声を適切に記録、分析することで、問題を事前に察知し先回りした対応、サービスの改善、アップセルやクロスセルにつなげることが可能です。定期フォローで直接コミュニケーションを取る以外にも、アンケートを通して顧客の声を得る方法があります。

VoCを活用する際は、サービスを利用する現場担当者や決済者など、相手の立場による違いや表に出てくる声が本心とは限らないことに注意が必要です。



サービスの利用状況データ

サービスの利用状況データは、利活用度合いや習熟度を判断するのに役立ちます。また、ログイン率の低下から解約の兆候を検知することも可能です。ログイン率の低下を検知した際は、活用フォローを通して解約防止に繋げるなど、取得したデータと具体的な行動をセットで考える必要があります。



マーケティングデータ、商談・契約履歴

自社サイトの閲覧履歴や、ホワイトペーパーのダウンロードなどのデータ、商談・契約履歴と聞くと、マーケティング担当やインサイドセールスが活用するイメージが強い方も多いでしょう。しかし、カスタマーサクセス活動においてもアップセルやクロスセルのチャンスを見つけるデータとして利用可能です。カスタマーマーケティングと呼ばれ、専門の部署を用意してデータ活用をしている企業も存在します。

 



データに意味づけをして、顧客心理を図るためには?


 

活用レベルの分類

活用レベルは顧客のサービス習熟度を表す指標です。取得したデータに基づいて顧客に利活用を促したり、開発にフィードバックすることでUI/UX改善に繋げます。顧客のサービス活用を早期に定着化させ、ビジネス成果を生み出しやすくすることができるため、非常に重要な取組みです。



NPSスコアの収集

NPSスコアは顧客ロイヤリティを数値化した指標で、スコアの定期的な計測を通してサービスの品質改善に役立てることができます。また、カスタマーサクセス活動においてもサービス利活用の満足度を測る際に利用され、提供サービスの利用定着化および継続的な改善に役立ちます。


ヘルススコアの活用

ヘルススコアは利活用データ、NPS、VoCなどさまざまなデータを元に点数をつけて顧客ごとの数値化をしたものです。ヘルススコアの定義と見える化によって具体的な行動を促したり、対応の優先度づけをおこなうことができます。


 


プロアクティブをリアクティブに実現するには?


 

データに対してリアクティブに、顧客に対してプロアクティブに行動せよ

顧客の心理的変化が訪れるポイントを推測することで、いち早く顧客の変化に気づき、適切なアプローチをすることが可能になります。しかし、日々多くの顧客に対応する中で、変化に気づくのは難しい方も多いでしょう。そのため、データの収集からアプローチ対象の顧客を選定する部分を自動化することで、データを元にリアクティブに対応していても、顧客視点ではプロアクティブに対応した印象を与えることができます。このような対応をおこなうことで、顧客に「常に自分たちを気にかけてくれている」という印象を与え、顧客満足度の向上につながります。カスタマーサクセスツールはデータの収集からアプローチ対象顧客の選定する部分を自動化でき、工数を最小限に抑えながら顧客満足度の高い活動をおこなうことに役立ちます。


活動例①:プレイブックの活用

カスタマーサクセスツールでの自動化とセットで考える必要があることとして、状況に応じて「いつ」「誰が」「なにを」するかという行動を定めたプレイブックの作成があります。例えば、サービスの活用に重要な機能の活用度合いに閾値を設定し、値を下回った顧客に対して打ち合わせを打診する。閾値は下回ってはいないものの、徐々に活用度合いが低下している場合は要注意顧客として、重点的に定期的にチェックするというルールを決めるなどが該当します。

また、ホワイトペーパーのダウンロードや他のサービスサイトの閲覧をきっかけにアップセルやクロスセルの提案をおこなうといった行動も該当します。特にカスタマーサクセスマネージャーが不足しており、顧客との接点が少ない場合やSMBクライアントなどコスト的にハイタッチでの対応は難しいといった場合に、プレイブックを定めておくことは非常に効果的です。プレイブックの活用は、成熟していないメンバーでも一定の品質を保ちながら顧客の対応をおこなうことができ、対応漏れや属人的な対応を回避することができます。そのため、顧客満足度の向上やカスタマーサクセス組織全体の成長へとつながります。

一方で、エンタープライズ企業など規模の大きな顧客に対して定例ミーティングを実施しているなど、日々定性の情報が得られている場合はカスタマーサクセスマネージャーの判断で柔軟に対応したほうがよい場合もあります。しかし、そういった場合にも、定性情報を補足する意味合いで定量情報を活用することは重要です。例えば、ミーティングでの会話から関係値は良好だと判断していたが、活用度合いを見ると徐々に低下している場合は、早期に状況と原因を確認して早めに対応することも可能になります。

また、活用度合いに応じた行動を定義する際に注意すべき点があります。それは、活用度合いの向上を意識しすぎた結果、誤った対応をおこなう可能性があることです。活用度合いを測る指標として機能を定義する場合、満足度や活用度合いが高い顧客、過去に解約になった顧客を分析・比較し、継続または解約と相関の高い機能を確認することになるでしょう。ここでは一例として、分析の結果ログイン日数と解約との相関性が高かったため、ログイン日数の向上を目指してプレイブックを作成したという場合を考えます。この場合、プレイブックに沿って行動した結果、顧客満足度の向上や解約率の低下につながるでしょうか?おそらくつながらないでしょう。ログイン数とは、顧客がサービスを活用した結果として、自然に向上するのが自然な流れだからです。

この例は少し極端ですが、指標とする数値の向上を意識しすぎてしまい、本来理想とするサービスの活用方法とは異なる提案やサポートをしてしまう。その結果、目標としていた数値は向上したのに解約率が高くなってしまったという問題が発生することもあります。本来サービスの活用度合いは様々な機能や顧客ごとの状況に応じて複合的に判断し提案すべきです。わかりやすい定量的な指標を作ることは重要ですが、一方で視野が狭くなり柔軟性のない対応にならないよう注意が必要です。




活用例②:タスク自動生成

具体的なアクション(プレイブック)を決めることは重要ですが、決めたことを抜け漏れなく実行することは顧客満足度の向上と仮説評価の観点からさらに重要です。理由としてはしかし、日々の業務に追われる中でつい対応が漏れてしまい、気づいた時にはリカバリーが難しい状態になってしまっていたということも十分考えられます。そうしたことを防ぐために、月に一度など定期的に対象顧客とタスクのリストを作成し、カスタマーサクセスマネージャーごとに対応する方法があります。しかし、個人に任せているとタスクの漏れなどが発生するため、チームリーダーがメンバーのタスクを管理して都度リマインドするといった対応が必要です。本来やるべき行動を漏れなくおこなうために追加で「リマインド」のタスクが発生してしまう状態になります。

カスタマーサクセスツールを導入することで、対象企業のリスト作成、状況に応じたタスク生成までを自動化することが可能です。顧客へ定型文で案内するという内容であればタスク生成にとどまらず、顧客にメールを送信するといった対応も可能になります。また、定期ミーティングなどで自動生成されたタスクの進捗確認をおこなうことで効率的に抜け漏れなく対応することが可能になります。最終的に対応するのが一人ひとりのカスタマーサクセスマネージャーであることに変わりはありませんが、定型業務の自動化、効率化をすることで本来人の手でやるべき作業に集中できる環境を整えることが可能になります。





顧客心理の推測を最適化させるために



顧客心理を真に理解するためにはアクションを行った後の行動が重要です。活動を始めた時はある程度顧客心理を推測してアクションプランを立てるため、運用を行う中でより実際の顧客心理へ近いものに最適化する必要があります。この章ではアクションプランを最適化するために必要なプロセスを解説します。


アクション結果を必ず記録しておく

データ収集、具体的な行動を定めたプレイブックの作成、対象顧客へのアプローチといった仕組みを作り、運用をおこなうことと同じくらい重要なのがアクション結果の記録です。プレイブックの作成をおこなう場合、過去のデータを参考に仮説を立て、指標とするデータやその閾値、状況に応じたアプローチを決めることになると解説しました。特にサービス立ち上げ初期は元となるデータがないため、仮説が占める割合も多くなります。そのため、仮説検証を繰り返し閾値の精度を向上させることが必要であり、そのためには結果の記録が不可欠です。

また、どんな情報を、どんなタイミングで記録するかを事前に決めてチームとして共通の認識を持っておくことも重要です。そのうえで、カスタマーサクセスマネージャーの印象といった定性情報、機能活用度合いの変化といった定量情報のそれぞれを記録するようにしましょう。



PDCAサイクルを継続させるためのプロセスを定着化させる

上記のとおり、最初から完璧なプレイブックを作成することは難しく、仮説検証を繰り返しながら精度を向上させる必要があります。継続的な改善をおこなうには、組織としてプロジェクト化し、適切なリソースを割り振って活動することが重要です。組織として対応し仕組み化をすることで経験が浅くスキルが不足しているメンバーでも迷わず適切な行動が取れるようになる、対応品質が安定化するといった効果もあります。

仮説検証や分析においてはカスタマーサクセスマネージャーとは別にCS Opsが担当している企業もあるでしょう。人的リソースの課題もありますが、組織としてしっかりとプロジェクト化する、客観的に分析をおこなうことができるというメリットがあります。また、PDの繰り返しにならないように、CAまでのサイクルを意識して取り組みましょう。現状のプロセスや顧客からのフィードバック・評価から改善点を洗い出し、優先順位をつけて改善計画を作成することで、顧客のニーズに合った改善をおこなうことができます。



まとめ

カスタマーサクセスの業務において、顧客データを活用することはとても重要です。一方で、どのようなデータを取得するか決める、データを取得する環境を整える、指標や閾値を決めて具体的な行動を定めたプレイブックを作成する、決められた行動を抜け漏れなく実施する、などさまざまなハードルがあります。さらに、行動した結果を元に継続的にPDCAをおこない改善することも必要です。これらの対応は多くのリソースを必要とする上にすぐに結果がでないこともあるでしょう。しかし、時間をかけて繰り返し改善をおこなうことで顧客の満足度向上に繋がり、結果として解約率の低下といった成果を得られる重要な取り組みです。また、対象顧客の選定やタスク生成など一部の対応については、カスタマーサクセスツールを適切に活用することで効率化・自動化することが可能です。

組織として対応するプロジェクトとして、時間をかけて取り組む価値があるため優先度高く対応していくことが他社との差別化にも繋がるでしょう。







 

渡邉 剛

監修者情報:

渡邉 剛(わたなべ ごう)

ユニリタ自社開発のETLツール「Waha! Transformer」の導入教育/サポート、データ活用システム(ETL/DWH/BI)構築のプロジェクトマネージャーを歴任し、2018年にカスタマーサクセスチームの立上げ責任者を担当。
その経験からカスタマーサクセス専用ツールの必要性を実感し「Growwwing」の事業立上げをおこなう。
2020年7月の事業化からプロダクトマーケティングとカスタマーサクセスの責任者を担当。
カスタマーサクセスコミュニティ「CS KOMMONS」においてハイタッチ部 副部長も歴任。


『Growwwing 』サービス資料を無料でダウンロード

『Growwwing 』サービス資料を無料でダウンロード

LTV最大化のためのカスタマーサクセスプラットフォーム『Growwwing グローウィング』のサービス資料を無料でダウンロードいただけます。
『Growwwing グローウィング 』は、解約防止とネガティブチャーンを達成する顧客管理が実現。Salesforceとの相性は全ツールNo.1です。

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

お役立ち情報

“取材・記事掲載
無料キャンペーン”中

“貴社のカスタマーサクセス実践体験を無料でPRしてみませんか?
これからカスタマーサクセスを始める方へのヒントになり、
勇気を与える貴社の物語を聞かせてください”