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【応用編】失敗は解約に直結😱サブスクビジネスの「オンボーディング」で絶対おさえておくべきポイントを厳選!

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【応用編】失敗は解約に直結😱サブスクビジネスの「オンボーディング」で絶対おさえておくべきポイントを厳選!

オンボーディングは、カスタマーサクセスの最初のアプローチで、顧客の継続利用の有無を左右する重要なステップです。オンボーディングは単なる製品やサービスのレクチャーの場ではなく、顧客の状況や要望に合わせて課題を解決しながら業務を最適化する上で、自社の製品・サービスが有効的であることを本質的に理解・体感してもらうためのキックオフの場です。よって、一方的な使用方法の説明ではなく、顧客ごとにやり方を変える必要があります。

ここでは、オンボーディングの重要性や、これを実践する上で考慮すべき注意点、押さえておきたいポイントなどを解説します。

 

 

 

なぜオンボーディングが重要なのか


オンボーディングは、カスタマーサクセスにおける最初のステップで、顧客の継続利用の成否を決めるほど重要なアプローチとされています。最初にカスタマーサクセスのプロセスと、オンボーディングがなぜ重要なのかを解説します


カスタマーサクセスにおける各フェーズ

カスタマーサクセスのプロセスは、大きく「育成・支援フェーズ」と「収穫フェーズ」に分かれます。育成・支援のフェーズは、顧客の成功のために導入を支援して課題解決を行いながら継続利用につなげる段階です。自社の製品やサービスを定着させるために、満足度や愛着度を100%まで上げる施策を行います。

 

収穫フェーズは、契約拡大や口コミによる拡散、エンゲージメント向上などを図るステージです。顧客が成功体験を実感すると、愛着を抱いた製品やサービスを他者に勧めるリファラルが期待できます。これにより新規顧客が拡大し、カスタマーサクセスに欠かせないグロースの好循環が回り始めます。

 

収穫フェーズを大きく成長させ良質なグロースサイクルを回すには、育成・支援フェーズの成否が大きく影響します。オンボーディングは育成・支援フェーズの最初のステップであるため、非常に重要といえるでしょう。

 

各フェーズのプロセスは以下の3つに整理できます

 

 

育成・支援フェーズ



オンボーディング

オンボーディングは、顧客が自社製品やサービスを購入・契約した後に、社内に導入するフェーズです。顧客と共に、自社の製品・サービスを活用した課題解決などのゴールを共有し、ゴールに向けた導入ステップとスケジュールを決めます。

 

その上で、顧客が充分に使いこなせるようになるまであらゆるサポートを行います。具体的にはマニュアルの配布や説明会・勉強会の実施、チュートリアル動画の配布など、顧客の環境や状況に合わせた支援を提供します。


導入直後は疑問や不満が出てくることが多く、これらを解決しながらも、顧客の成功のために製品やサービスがスムーズに浸透するようにフォローしていきます。 

 

 

アダプション

オンボーディングに続く「アダプション」は、導入後の本格的な運用・活用を支援して定着させ、継続利用につなげていくステップです。顧客に対し製品やサービスに対する満足度や納得感を向上させ、リテンション率を上げるアプローチを行います。

 

アダプション期には、直接訪問やオンライン、メールなどによるヒアリングを継続的に行い、顧客の利用状況を的確に把握します。顧客の状況に合わせて、成功事例や目標達成までの具体的な活用計画を共有することで、細やかなフォローアップを行うとよいでしょう。

 

この段階の緻密な情報収集と、データを活用した細やかなフォローアップが顧客の継続利用を促し、その後のエクスパンション成功にもつながります

 

 

収穫フェーズ



エクスパンション

続く「エクスパンション」とは、顧客の製品やサービスの利用を拡張していくフェーズです。アップセルやクロスセルなどの提案で、顧客単価やLTV向上を狙います。アップセル・クロスセルのアプローチは、アダプションで得た顧客ニーズや情報を活かして、顧客視点に立った提案をすることが重要です。


オンボーディングの重要性

オンボーディングはカスタマーサクセスにおける最初のアプローチで、オンボーディングがうまくいかず顧客が活用方法を理解できていないままだと、その後の支援も空回りとなってしまいます。オンボーディングが失敗すると顧客の成功、すなわちカスタマーサクセスの実現が難しくなるため、全てのカスタマーサクセス活動においてオンボーディングの成功が、重要なカギとなるのです。

 

オンボーディングは顧客に製品やサービスを導入し定着へとつなげるステージですが、単なる「レクチャーの場」ではありません。顧客の状況や環境、ニーズに適切な製品やサービスの活用方法を整理して、顧客の業務を最適化するためのキックオフの場です。またその説明は、顧客ごとに状況が異なるのでやり方を変える必要があります。

 

オンボーディングを効果的に実践する具体的な方法は、次の章から解説しましょう 



 

最初はセールスからの“引き継ぎ情報”で顧客を知る

オンボーディングでは、まず顧客とのコミュニケーションを通じて得られる情報を統合して整理し、顧客が置かれている状況を正しく理解することが重要です。顧客を本質的に理解できていなければ、顧客のニーズを満たすオンボーディングは実行できません。定期的なコミュニケーションを行っている営業セクションからの引き継ぎ情報で、顧客をしっかりと理解するところから始めましょう

 

顧客の事業/組織等の基礎的環境・状況を知る

顧客の事業内容や組織、体制、決定者、環境などのほか、自社の製品やサービスを誰が使うのか、何のために使うのか、どのように使用するのか、その際の懸念事項は何かなどの、顧客ごとの事情を把握しておくことが重要です。

 

中でも顧客の事業規模は、それぞれ対応を変える必要がある最も重要な確認事項です。BtoC商材を扱う顧客ならユーザーが数万人以上になるサービスもあり、その事業規模に合わせて向き合い方を変えなくてはなりません。必要であればハイタッチ・ロータッチ・テックタッチのタッチモデルにより対応を分類し、成功させられる顧客を絞り込んで対象とするのもよいでしょう

 

 

解決したい課題を知る

続いて、顧客が自社の製品やサービスによって解決したいと考えている課題を把握します。課題も顧客によって異なり、顧客側が認識できていない問題点があることも想定されます。セールスセクションが集めた情報やヒアリング結果をもとに、課題を全て洗い出すようにしましょう。



実現したい世界を知る

課題を抽出した上で、何が顧客の「成功」なのかを顧客と共有しておきます。また成功までのスケジュールも具体化するようにしましょう。

 

自社製品やサービスの活用で導くことができる顧客の成功を明確にしておくことは、カスタマーサクセスを実践する上で最も大切なことです。ただしここでいう顧客の成功とは、自社製品やサービスがもたらす直接的な効果ではなく、あくまでも顧客の事業にもたらされる成果や業績のことです。一般的には成約率や収益を上げることが、「成功」要件として掲げられるでしょう。BtoCサービスであれば、認知度やフォロワー数増大などが、「成功」の定義となるかもしれません。


顧客の真の成功をしっかりと定義して顧客と共有し、期限内に達成すべき目標として設定することで、オンボーディングの成功率が上がります。顧客側も一緒に関わっていることで製品やサービスへの関心が高まり、期待値や使いこなしたいという意欲が向上します。 

 



顧客の状況と環境と要望の“読み合わせ”による“目線合わせ”

オンボーディングを進めて行くには、常に顧客の理解度や活用状況を把握して、お互いに進捗を「読み合わせ」ながら共有することが重要です。また顧客のレベルに合わせた「目線合わせ」で対応するようにしましょう

 

オンボーディングのとっかかりは顧客情報の確認から

オンボーディングを進めるための、決まった定型フローはありません。顧客によって内情や事業規模が異なり、業界によってもアプローチが異なります。そのなかで顧客に最適なオンボーディングを知るには、顧客が課題と認識している改善点だけではなく、顧客自身がフォーカスできていない、問題自体に気づいていない課題を見つけることから始めるとよいでしょう。

 

カスタマーサクセスは潜在的な問題点を掘り起こし、トラブルを未然に防ぐのも重要な役割の1つです。さまざまな角度から顧客の成功を見据えて、カスタマーサクセスの対応策を立てていきましょう

 

 

顧客に合わせた製品・サービスレクチャーを実施

顧客の課題が明確になったら、それらを解決して成功に導く製品やサービスを提案して定着させていきます。その際にアクションプランやロードマップを作成して、顧客と認識を共有しておくようにしましょう。


アクションプランには、ゴールやアクション内容、使用するツール、実行担当者、スケジュール等を明確にしておきます。これらを共有して目線を合わせておけば、両者で進捗状況を確認でき、顧客側も迷わずに次にすべきことを実行できます。自分が積極的に関わっていることで成功体験の実感度も高まり、製品・サービスの理解向上や継続利用につながります


KGI/KPIなどの数値指標の確認も必須

オンボーディングでは、顧客とKGIやKPIなどの数値目標の認識をすり合わせておくことも重要です。顧客の成功を示す主な指標としては、LTVやチャーンレート、NPSなどが挙げられます。

 

LTV(顧客生涯価値)は、特にサブスクリプションなどSaaS型ビジネスを行っている顧客にとって重要な指標となります。顧客自身のLTVが高まることは利益を長期的にうみ出すことにつながるため、オンボーディングやカスタマーサクセスのKGI・KPIとしても重視される指標です。

 

同じくSaaS型ビジネスを展開している顧客にとって、チャーンレート(解約率)も収益を左右する重要な指標です。チャーンレートをしっかりと管理して高くならないように対策を組むだけではなく、事業成長を加速するネガティブチャーンを目指すために、チャーンレートを下げる対策なども検討するとよいでしょう。

 

NPS(ネットプロモータースコア)は顧客ロイヤルティを知る方法で、カスタマーサクセスのKGI・KPIとしても利用できる指標です。競合他社のスコアと比較ができ、顧客の現状のポジションを確認できます。また将来性をふまえた質問をするので、未来の収益性や顧客のLTV向上などの可能性を探ることができます。経営判断に活かしやすいことから、NPSを活用するのもおすすめです

 



初回レクチャー直後のケアが超重要

 

オンボーディングでは、最初のレクチャー後のケアが最も重要といえます。ここではオンボーディングの現場でやってしまいがちなミスや盲点と、解決策を紹介します

 

顧客の理解度は期待値の30%ととらえる

オンボーディングの目的は顧客がカスタマーサクセスの価値を認識し、製品やサービスの機能をしっかりと理解することです。また目標達成に向け、充分に活用できる環境整備も必要です。ただし全ての機能や効果を誰もがすぐに理解できるわけではなく、一般的に初回レクチャー後の顧客の理解は20〜30%程度と思うようにすべきでしょう。

 

オンボーディングを確実に成功させるには、最初の理解度は極めて低いと認識して、理解や定着ができていない要素を掘り起こしながら何度もフォローすることが重要です

 

 

忙しい/訊きづらい/聞いたこと忘れた、が大前提

顧客は、忙しく、それがゆえに不明点があっても訊く時間がとれない、さらにはせっかく聞いたことも忘れてしまうものです。こちらからのアプローチに対して前向きなリアクションがなかったからといって、諦めるのではなく、何度も接触することが大切です。その際には顧客のリアクションの背後にある本音や理解の実態を正確に把握して、フォローを続けるようにしましょう。 




“オーダーメイド”を繰り返すことで「型化」は進む

 

顧客ごとの環境や事情に合った「オーダーメイド型」のオンボーディングを繰り返すことで、自社の製品・サービスが取るべきアクションの基本型ができあがります。自社のノウハウを組み込んだ「型化」ができれば、バリエーションの展開でさまざまな顧客に対応できるようになり、カスタマーサクセス活動が効率化します。

 

顧客ごとのオンボーディングの繰り返しで「最大公約数」を見出す

顧客ごとのオンボーディングは、ヘルススコアや各種指標で顧客の活用や定着状況を確認しながら進めていきます。PDCAを繰り返し、数ある手法の中から成功に導ける最大公約数を絞り込んでいきます。これにより、顧客ごとの最適なアプローチ方法が明確になります。

 

また、この最大公約数に絞り込む作業を繰り返すことで自社の「型化」が進み、基本モデルとなるアプローチ方法ができあがります


ベースの型から、業種/事業・活動年数/規模などでバリエーションを出す

オンボーディングの基本モデルができたら、それをベースにさまざまなバリエーションを展開することができます。顧客の業種や事業内容、活動年数、規模などに応じた展開案を作り、それをまたPDCAを回して最大公約数を確立できれば、さらに新しい「型化」ができます。こうした型をたくさん作ることで、自社のカスタマーサクセス活動の効率化が進むことでしょう。



まとめ

 

カスタマーサクセスにおけるオンボーディングは、顧客のその後の活動を有意義なものにして継続利用を長期化させるための重要なアプローチとなります。特にSaaSなどのサブスクリプション型ビジネスでは事業の収益を左右するため、最も慎重にきめ細やかに対応したいステージです。

 

オンボーディングは顧客に製品やサービスを単にレクチャーすればよいわけではなく、それぞれの環境や事業規模、理解度、活用度などによって、各顧客に適切なアプローチをして定着させなければなりません。ゴールとなる顧客の成功とは何かを両者で共有し、KGIやKPIを明確にして期限内に目標達成をできるように仕向けると、顧客も積極的に関わってくるようになり満足度も向上します。

 

また、初期段階における顧客の理解度は想定以上に低く、なかなか定着しないと心得て、アプローチをする度に理解度が低いポイントを抽出してフォローをしていく必要があります。これを繰り返すことで成功パターンで組み立てた「型化」が進み、自社のノウハウが詰まったさまざまな業種向けの基本モデルをうむことができるのです。

 

 

 

 



尾上 雄馬

執筆者情報:

尾上 雄馬(おのうえ ゆうま)

2007年に株式会社ビーエスピー(現ユニリタ)入社。
ITサービス向けヘルプデスクSaaS「LMIS」を新規開発から開発を担当。
開発業務の傍らサポートも兼務していたが、解約率の高まりに危機感を感じ、2017年より同サービスのカスタマーサクセスチームを立ち上げ責任者を担当。
カスタマーサクセス管理用のツールを内製し、解約率半減を実現。
この管理ツールを汎用化し、Salesforce上で稼働するカスタマーサクセス管理SaaS「Growwwing」として販売開始、2020年7月より事業化し責任者を担当。
itSMF JapanにおいてクラウドSLA分科会副座長、サービスカタログ分科会座長も歴任。


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