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<サクセスボイス 番外編>カスタマーサクセスの適正運用で解約率が10%から3%に激減!追加契約の大幅増も実現したCSMが語る成功へのプロセス

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<サクセスボイス 番外編>カスタマーサクセスの適正運用で解約率が10%から3%に激減!追加契約の大幅増も実現したCSMが語る成功へのプロセス

SaaS/サブスクリプション業界において「カスタマーサクセスがなにか?」という問いに答えられる人は今や大勢いると思われますが、実践経験に基づいた「ノウハウ」が語られるケースはそう多くはありません。

 

本記事では、LTV最大化のためのカスタマーサクセスプラットフォームである「Growwwing」の開発者/事業責任者である尾上が、同製品開発のきっかけとなったヘルプデスクサービス「LMIS」のカスタマーサクセス活動における失敗と成功、そこから得たリアルなカスタマーサクセス実践方法を余すことなくお伝えします。

 

*今回の記事は、Growwwingが2022年01月18日に開催したセミナーを文章化したものになります

 

はじめに


ユニリタが開発したヘルプデスクの支援ツール「LMIS」は2007年にリリースをしてから順調に顧客数を伸ばしていたものの、解約率も上昇傾向をたどっていました。LMISはサブスクリプションのSaaSですが、ユニリタで従来提供してきたのは売りきりのサービスです。ビジネスモデルの違いもあり、サブスクリプションで重要となる「契約後」の顧客へのフォロー、要するに「カスタマーサクセス」が当初は十分にできていないことが解約の大きな原因となっていました。そこで、LMISの開発担当者である尾上が新たにカスタマーサクセスチームを立ち上げて、課題解決に乗り出します。まずは、契約や解約の状況を把握するためにサービスを可視化し、可視化された情報を分析して、分析結果を基に計画を立てて顧客へのフォローに努めてきました。カスタマーサクセスの効果は大きく、年次の解約率は10%から3%に減少してネガティブチャーンを実現しました



Growwwing・尾上プロフィール


ユニリタの前身となる、2007年に株式会社ビーエスピー(現ユニリタ)入社。ITサービス向けヘルプデスクSaaS「LMIS」を新規開発から開発を担当。 開発業務の傍らサポートも兼務していたが、解約率の高まりに危機感を感じ、2017年より同サービスのカスタマーサクセスチームを立ち上げ責任者を担当。カスタマーサクセス管理用のツールを社内開発し、解約率の大幅低減に貢献。同ツールを汎用化し、Salesforce上で稼働するカスタマーサクセス管理SaaS「Growwwing」として販売開始、2020年7月より事業化し責任者を 担当。itSMF JapanにおいてクラウドSLA分科会副座長、サービスカタログ分科会座長も歴任。 



 

LMISとは


LMISは、ヘルプデスクの業務を効率化させるためのクラウドサービスです。ITILに準拠したサービスで、単純な問い合わせ対応だけではなくインシデント管理、問題管理などIT部門の方々がよく行っているプロセスの機能を集約したサービスになっています。


LMISのカスタマーサクセスの歩み

2007年にLMISがリリースされ、2011年に現サービスマネジメント部にあたる事業部が発足しました。2011年まではプロダクトを問わずカスタマーサービス部や開発部などが横断的にある状態でしたが、2011年以降はプロダクトを軸にして事業部ごとに機能を分割していきました。2015年以降にLMIS事業では、サポートチーム、開発チーム、営業チームができあがっていきます。2018年にはサービス導入後のサポートを手厚く行うために、カスタマーサクセスグループを立ち上げました

 

体制変更に至った経緯

顧客に対するフォローのスピードをいかに上げていくかが課題となっており、サポートに専念できるようにチームを立ち上げました。サポートチームには、顧客からの問い合わせ対応とLMISを使い始める際のオンボーディングを行うデリバリ業務の2つの役割を与えました。しかし、事業部として売り上げを一番の目標にしていたことで、デリバリ業務のほうが重視されて、顧客のフォローは後回しになっている状態でした。結果として2016年から2017年にかけて、解約率が大きく上昇してしまいました。デリバリ業務とアフターケアを並行して行うのは難しいと判断し、2018年にカスタマーサクセスグループを発足しました。

 

もともと当社は、売り切りのサービスをメインで販売していました。LMISは今でいうサブスクリプションのモデルで販売しており、従来の当社のビジネスモデルとは大きく異なります。今でこそカスタマーサポートよりカスタマーサクセスのほうが「LTVを伸ばす」上では大事だと認識してもらえていますが、当時はカスタマーサクセスはコストセンターであるという風潮が社内にありました。そのため、社内で論文を出したり書籍を基に「こういう考え方がある」と紹介したり、ビジネスモデルの違いを共有してカスタマーサクセスの重要性を認識してもらいながら提案を進めることで、なんとか組織の立ち上げに至りました。

 

人員が限られていたため、若手中心のメンバーでチームを立ち上げることになり、ひとりひとりへの教育から始めなければいけないのが大変でした。顧客の窓口は若手を中心に、その後のフォローに関しては私という形で一応の分担はしていましたが、顧客ごとに起こる課題は千差万別で、結局は大半が私にのしかかるという属人的なものでした

 



カスタマーサクセスグループを立ち上げて実践した7つのこと


カスタマーサクセスグループ立ち上げ後は、次の7つのことを順番に進めていきました


 

1.カスタマーサクセスの実践方法について調査

サブスクリプションやザ・モデル関連の本を通してカスタマーサクセスの重要性は理解したものの、当時はまったく未経験の状態でした。カスタマーサクセスはどういう考え方からくるのか、そもそもサブスクリプションのビジネスはどのような考え方で作られているものなのかなど、基本的なところから勉強をしていきました。そこから、SaaS/サブスクリプションのビジネスモデルに関する知見を深めて、青本や赤本なども使って共通項を押さえていきました。書籍だけでなくネットの記事も参考にしながら、我々のサービスに必要なことを洗い出して、既存リソースで何をするのが一番効率的なのかを考えていきました

 

 

2.契約状況の整理

基礎固めができてからは、契約状況の整理に取りかかりました。ITサービスマネージメントの観点から考えると、まず第一段階として大事になるのが情報の可視化です。最初に現状の契約や解約率が可視化できていなければ、改善活動をしていくことはできません。当社では売上げ管理や営業プロセスの管理にSales Cloudを使っていますが、解約の細かい情報などは入ってこないため我々の事業部ではExcelを使ってARRの管理をしていました。Sales Cloud側に乗っかってこない情報をシステムで可視化するために、Excelで管理していた契約情報を、LMISをカスタマイズしたものに入力した上でレポート/グラフ化していく手順で管理を行っていきました。従来当社は売りきりのビジネスをしていたこともあり、必要となる契約や解約の流れ等の管理がされていなかったため、ここの情報整理には苦労しました。 



3.解約理由分析

解約理由の分析を行ううえで、解約した時期等についてはExcelや解約稟議から情報をもってくることができました。しかし、解約理由については営業の頭の中にしか残っていない状態でしたので、担当者ひとりひとりにヒアリングし、逐一情報を入れていきました。ただ、時間が経つと情報の正確性も落ちてしまいますし、契約や解約の理由を「その場で」しっかり記録して最新の情報を蓄積していくことは大事だと感じました。得られた定性的な情報と解約した時期などの定量的な数値化された情報を入れて、現状の契約状況や解約時期等をすべてグラフ化して傾向を探っていきました。データを整理して可視化することで、今まで感覚的に捉えていた解約理由の裏付けができるようになっていきます。まずは動いてみないと何も始まらないので、情報の整理が終わるまでまったく動かないのではなく顧客への訪問も並行で進めて声(= VoC:Voice of Customer)を収集しながら、こちらもデータとしての可視化も行いました

 

4.全ユーザへの訪問フォローと活用状況の把握

数値的なデータに加えて顧客から聞いた定性的な情報が非常に重要だと考えるようになり、それを「カスタマーカルテ」として情報を整理していきました。立ち上げ当初は私が属人的にカスタマーサクセス活動を行っており、情報を記録として残しておかないと以後の引き継ぎも上手くできない状況にもありました。「私」がカスタマーサクセス活動をしている状況から「企業」としてカスタマーサクセスをしている状況に持っていくためにも、情報を可視化して残そうという思いでこのカルテを作りました。

解約理由を分析した結果2年以内の解約が7割もあり、契約から2年以内の顧客をリストアップして重点的なフォローを行っていきました。また定着状況に応じてカルテを作りラベル分けし、優先順位の高い顧客からフォローしていくようにしました

 

 

5.カスタマージャーニーマップをもとに施策を洗い出し


カスタマーサクセスを始めたときにLMIS販売後のマップがない状態でしたので、ステージを作成していきました。一般的なオンボーディングがあり、長くても3ヵ月ほどでデリバリ業務が終わり、CSの方にパスがきて、運用が定着しているのか活用が広がっているのかといったフォローを行うのが大枠です。そこから、顧客の状況に合わせて細分化を行いました。運用を開始後の部分に関しては、契約の更新のタイミングやアップセル、クロスセルのタイミングはどうなのかなど、どのようにお客さんの心理が変遷していくのかをステージとして策定しました。

 

6.カスタマーサクセスグループ内の機能を定義し割り当て

担当の割り当てについては、メンバーの特性に応じて行いました。LMISがどう使われているのか、顧客はどのようなことで困るのかといったノウハウを身に付けてもらうために、最初はみんな共通で「カスタマーサポート」業務に入ってもらいました。そこから先は、コミュニケーションスキルに応じてテクニカルを極めるのか、顧客と接点を持って橋渡し役をするのか決めていきました。

 

カスタマーサポートは従来からあり回答率や回答速度はもともと指標として組み込んで行っていましたが、カスタマーサクセスチームになり解約率やLTVも指標として測定するようになりました。施策ごとにデーターを計測できるようにしておくことで、解約率を下げるためにどのような施策を打っていくのかといったことをブレイクダウンして設計できるようになっています

 

 

7.メンバーの教育

メンバーの教育においては、ビジネスモデルを理解してもらうことが一番大事だと考えています。売りきりのサービスを提供していたときは、そもそも顧客から問い合わせが来ないのが望ましい状況でした。しかし、サブスクリプションのサービスを提供するうえでは、お客さんと接点を長く持って課題を解決し価値を提供していくことが重要になります。このビジネスモデルにとって、カスタマーサクセスはいかに大事なのか、顧客とどのように関わりながら活動していかなければならないのかについて、毎月の部会や毎週のチーム会で何度も話をしました。 

 

 

 

カスタマーサクセスで得られた効果

LMISのカスタマーサクセスではサービスを可視化して分析を行い、分析結果を基に計画を作成して顧客への適切なフォローを行ってきました。また、カスタマーサクセスの土台となる、文化の醸成にも努めてきました。結果、カスタマーサクセスを開始した2018年度と比較して、2019年度における2年以内の解約率は0件を達成することができました。また、追加契約は1.5倍となり、非常に大きな成果を出すことができました



社内の成功事例・ノウハウを広く世の中へ

 

LMISで培った知見/スキル/ノウハウは、カスタマーサクセスを「成功」させるために「必要な要素そのもの」と確信できるものでした。これらを汎用化してリリースすれば、カスタマーサクセスでつまづく人たちを救えるものになるんじゃないか、SaaS/サブスクリプション市場の成長に貢献できるのではないか。そんな思いで、LMISをカスタマイズしつつ開発したのが、「LTV最大化のためのカスタマーサクセスプラットフォーム“Growwwing”です。



篠原 正憲(しのはら まさのり)

執筆者情報:

篠原 正憲(しのはら まさのり)

株式会社ユニリタ
クラウドサービス事業本部
Growwwingグループ
プロダクトマーケティング

ソフトバンクグループ、CDG(セールスプロモーション事業)などのBtoBソリューション企業にてセールス/マーケティング職を歴任。2016年以降数社のスタートアップにて新規事業開発を担当し、組織の立上げからデジタルマーケティングによるリード獲得、セールス、カスタマーサポート/サクセスまでを統合的にマネジメント。新期事業の立上げ経験を成長著しい領域で活かすべく2020年からGrowwwing事業にジョイン。


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