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【基礎編】顧客志向のプロアクティブなアクションを起こすカスタマーサクセスの最適な環境とは?

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【基礎編】顧客志向のプロアクティブなアクションを起こすカスタマーサクセスの最適な環境とは?

カスタマーサクセス活動の初期に行う「オンボーディング」は、顧客満足度を高め、長期的な関係を構築していくための最初のステップです。この記事では、カスタマーサクセスにおけるオンボーディングの重要性や、その実践方法について詳しく解説します。またサービス提供開始時点での顧客サポートやガイドの提供、成功事例の紹介などを通じて、ビジネス成長をプロアクティブに促進する方法をケーススタディに基づいて紹介します。

 

 

 





カスタマーサクセスにおけるオンボーディングとは?


オンボーディングは、元は人事分野で使われていた言葉で、新入社員をスムーズに受け入れるために実施するさまざまな活動を意味します。

近年は、ビジネス分野でもオンボーディングという言葉が使われるようになりました。特にカスタマーサクセス活動の成否を分ける重要なステップとして、認知が高まってきています。

 

まずは復習!オンボーディングの概要を再定義

そもそもオンボーディング(On Boarding)とは、「会社や組織のルール、業務、MVV(ミッション、ビジョン、バリュー)を理解し、企業文化になじむために実施する研修や教育課程・オリエンテーション」を表す人事用語です。

そこから広く一般に、サービス・商品を利用し始めた新規ユーザーに対し、いち早く使い方や機能に慣れてもらうためにサポートするプロセスを「オンボーディング」と呼ぶようになりました。

 

 

カスタマーサクセスにおけるオンボーディングの定義

カスタマーサクセス活動において、オンボーディングはさらに重要な意味を持っています。

カスタマーサクセスにおけるオンボーディングとは、サービスを利用開始したばかりの顧客に伴走し、操作や機能をレクチャーするとともに、サービスが生み出す成功体験にいち早く気づいてもらうためのステップです。

顧客にとって、サービスを初めて利用したときの体験は、「求める成果が得られそうか」「成し遂げたいと思っていることが達成できそうか」を見極める重要な判断材料となります。オンボーディングによって提供した最初の顧客体験が、その後の利用促進や利用者拡大、さらなる追加契約のきっかけになるといっても過言ではありません。


 

オンボーディングの重要性

カスタマーサクセスにおいてオンボーディングが重要とされる理由は2つあります。この章ではその理由について詳しく解説します。


導入初期のユーザーエクスペリエンスの重要性

1つ目の理由は、サービスに初めて触れた顧客にとって、オンボーディングによる顧客体験(ユーザーエクスペリエンス)が与える印象が非常に大きいからです。カスタマーサクセスのサイクルは、大きく「育成・支援フェーズ」と「収穫フェーズ」の2つに分けられます。


育成・支援フェーズ
サービスの継続的な利用を通じて、顧客が成功体験を得られるようにさまざまなサポートを提供するフェーズ

収穫フェーズ
サービスの価値を実感した顧客が、自社に収益(追加契約、顧客単価の上昇、口コミによる拡散など)をもたらすフェーズ

オンボーディングは、「育成・支援フェーズ」における最初のステップとして位置づけられます。オンボーディングの段階でユーザーの心をつかみ、ツールを使いこなしていただくことで、その後の「収穫フェーズ」につながりやすくなります。

 

特にSaaS/サブスクのようなビジネスモデルでは、ユーザーが価値を実感できなくなった時点で簡単にサービスを解約してしまいます。そのため、導入初期のユーザーエクスペリエンスをいかに充実させるかが、カスタマーサクセスにおける重要な課題となっています。



ユーザーのロイヤリティを高めるための重要な活動

2つ目は、顧客ロイヤリティを高める上で、オンボーディングが重要な役割を果たすからです。顧客ロイヤリティとは、特定の企業やサービスに対し、顧客が心理的な愛着や信頼を感じている状態を指す言葉です。顧客ロイヤリティが向上すると、顧客がサービスを継続的に利用するようになり、やがて売上への貢献度が高いロイヤルカスタマーに成長します。そのため、カスタマーサクセス組織において特に重視すべきKPIとされています。

オンボーディングの狙いの一つは、顧客自身でサービスを使いこなせるようになるまできめ細やかに伴走することにより、顧客から信頼(ロイヤリティ)を得ることです。オンボーディングが成功すると、サポートのない状態でも顧客が進んでサービスを利用するようになるため、その後の「収穫フェーズ」への移行が容易になります。




効果的なオンボーディングの流れ

続いては、カスタマーサクセスにおけるオンボーディングの理想の流れや、成功するオンボーディングの特徴を紹介します。

基本的なオンボーディングの構成要素

オンボーディングの基本的な流れは以下のとおりです。

①顧客の状況理解:顧客とのコミュニケーションを通じて、現在の状況や潜在的な課題・ニーズを把握する
②オンボーディングのゴールを定義:「もっとサービスを利用したい」と実感してもらうためのゴールを定義する
③サービス利用方法のレクチャー:サービスの操作や機能をレクチャーし、一通り理解してもらう
④安定運用までの伴走:顧客自身でサービスを安定運用できるようになるまで、伴走型の支援を提供する

サービス導入初期は、サービスに対するさまざまな課題が生じる可能性があります。顧客の現在の状況やデータに基づいて、起こり得る未来の問題を予測し、潜在的な課題・ニーズを先回りして解消する「プロアクティブなオンボーディング」を実施しましょう。


成功するオンボーディングプロセスの特徴

オンボーディングを成功させるためには、以下の2つの要素が必要不可欠です。

・オンボーディングメンバーが顧客のゴールを理解し、双方で認識を共有しているか
・ユーザーの成果やフィードバックを評価し、オンボーディングプロセスを改善しているか

オンボーディングは、顧客が自立し、自分自身でサービスを使いこなせるようになるための伴走型の支援です。オンボーディングメンバーが顧客の実現したいことを理解できているか、一方的なコミュニケーションではなく、互いに意思疎通しながら運用を支援する「伴走」になっているか、といった点が重要です。

またオンボーディングプロセスは、過去の成果やフィードバックに基づいて、繰り返し改善していく必要があります。成功事例が蓄積されたら、オンボーディングの「型化」を進め、オンボーディングプロセスの効率化に取り組むとよいでしょう。




オンボーディングのケーススタディ

ここでは、3つのケーススタディを通じて、オンボーディングを成功させるポイント、失敗しないための注意点を解説します。

 

ケーススタディ①:初回レクチャーだけでオンボーディングを終了した

実際のオンボーディング現場では、初回レクチャーだけで操作や機能を理解できたと判断し、以後はフォローをおこなわないケースが見られます。

しかし、一般的に初回レクチャー後の顧客の理解度は、期待値の20~30%程度と言われています。一度レクチャーしただけでは、その場でわからない点を質問しづらかったり、後で聞いたことを忘れたりして、理解度が低下することも珍しくありません。

初回レクチャーだけでオンボーディングを終了するのではなく、レクチャー後に理解できていない部分や、定着していないノウハウを掘り起こし、定期的にフォローをおこなうことが大切です。

 

ケーススタディ②:オンボーディング後、ログインが減少した(新しいアカウントが追加された)

顧客の状況によっては、再オンボーディングが必要になる場合があります。例えば、オンボーディングプロセスの終了後、ユーザーのログインが減少したケースです。

ログインの減少は、あまりサービスが利用されていないことを示しています。さらに新しいアカウントが追加された場合、担当者の変更が行われ、古いアカウントのログインが減少したなどと予測することが可能です。

担当者の変更をきっかけとして、利用率が低下しサービスの解約につながるケースも多々あります。そういったタイミングをいち早く察知し再オンボーディングを実施することで、業務の引き継ぎをサポートしましょう。


ケーススタディ③:オンボーディング後、サービスの基本機能が利用されていない

またオンボーディング後、サービスの基本機能が利用されていない場合も要注意です。

特に従業員数の多い大企業(エンタープライズ企業)では、導入担当者と現場のユーザーが意思疎通できておらず、サービス導入後に活用が進まないケースが見られます。

オンボーディングの段階で、現場のユーザーも巻き込みながらレクチャーを実施するとよいでしょう。




オンボーディングを行う際の注意点


最後に、オンボーディングを実施する際の注意点を紹介します。



ユーザーのフィードバックを必ず収集する

ユーザーからのフィードバックや、サービスの利用状況などの行動データは必ず収集しましょう。ケーススタディの章で紹介したように、フィードバックや行動データに基づいて、ユーザーが直面する問題を先回りして解決できるからです。


顧客からフィードバックを収集する

オンボーディングは、顧客の状況や潜在的な課題・ニーズに応じて、プロアクティブにカスタマイズしていく必要があります。そのためにも、顧客情報を一元管理し、収集したフィードバックをカスタマーサクセス組織で共有できるツールを導入しましょう。


オンボーディングプログラムを定期的に評価し、改善する

次に顧客からのフィードバックに基づいて、オンボーディングプログラムを定期的に評価し、改善点を探しましょう。例えば、以下のようなプログラムを顧客に合わせてカスタマイズしていきます。

・担当者によるレクチャー
・サービスのQ&A
・チュートリアル
・動画マニュアル



顧客満足度とエンゲージメントを測定する

最後にオンボーディングの効果測定を行います。効果測定に役立つKPIとしては、オンボーディング後の顧客満足度(NPSなど)や、顧客エンゲージメントなどが挙げられます。

オンボーディングの効果が得られていない場合は、ユーザーの行動データなどを分析し、再オンボーディングの必要があるか検討しましょう。





まとめ

カスタマーサクセスでは、顧客がサービスを利用開始したその瞬間から、想定される課題や不満に対して先回りし、プロアクティブに支援を提供していく必要があります。

カスタマーサクセス活動の立ち上げ初期に実施するオンボーディングは、導入初期のレクチャーや、安定運用までの伴走を通じて、その後の顧客の成功をサポートする重要な取り組みです。

オンボーディングのケーススタディに基づいて、正しい実施方法や注意点を確認しておきましょう。



佐々木 一稀

執筆者情報:

佐々木 一稀(ささき かずき)

ユニリタ自社開発のフローチャートツール「Ranabase」にて開発に携わり、カスタマーサポートを担当し2022年に「Growwwing」チームへジョイン。
カスタマーサクセスメンバーとしてオンボーディング支援業務を経験し、現在ではその知見を活かし顧客の求めてる情報を発信するためにマーケティング分野を担当。

幅広い経験からの視点を生かし、カスタマーサクセスを行う方へのヒントとなるような記事を掲載できるよう全力で頑張ります。

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