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【サクセスボイス Vol.5】「大事なのは売った数じゃない」全力で顧客の「体験価値最大化」を目指す“ナチュラルボーンCSM”

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【サクセスボイス Vol.5】「大事なのは売った数じゃない」全力で顧客の「体験価値最大化」を目指す“ナチュラルボーンCSM”

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今回は、リアル企業によるカスタマーサクセスを紹介する【サクセスボイス】第5弾!

SaaS / サブスクリプションビジネスの事業運営における根幹ともいえる「販売・請求管理」領域の業務効率化を実現するScalebase(スケールベース)のCSMである、アルプ株式会社の水谷 亮道(みずたに りょうじ)さんにお話をうかがいました。


前々回のベーシック・桑田さん同様、水谷さんも2021年12月に開催された、日本で初のカスタマーサクセス向けピッチバトルイベント”カスタマーサクセス天下一武闘会2021(第5回)”で大活躍された、正真正銘のCSプロフェッショナル。これまでインタビューした方々全員に共通する”圧倒的な熱意”もさることながら、カスタマーサクセスに対する独自の考えや取り組み方に目からウロコな一本です!





カスタマーサクセスは全員野球。顧客のサクセスに全社でコミット


最初に自己紹介をお願いします

アルプ株式会社、Scalebase事業のカスタマーサクセス担当・水谷 亮道です

 

あ、正式な部署名と役職もお願いします(笑)

失礼しました・・・。部署名でいうと「アカウントマネジメントグループ」になりまして、現在グループマネージャーをしています。

 

組織について、もう少し詳しく教えてください

会社全体の組織の大枠は、プロダクト・エンジニア、コーポレート、ビジネスの3つに分かれています。エンジニアの各チームをPdMがマネジメントしており、ビジネスはいわゆるThe Model(ザ・モデル)でいうところのマーケティング、インサイド / フィールドセールス、そしてカスタマーサクセスまでを担うメンバーが所属しているチームになります


その中でカスタマーサクセスを担う方々の部署名が「アカウントマネジメント」ということですね

その通りです。アカウント、はすなわち契約先である「顧客」を示すわけですが、我々のサービスは顧客の「販売・請求領域」の管理を最大効率化することを目的として導入いただきます。企業 / 事業の「心臓や動脈」的な部分に触れるわけですので、相手の業務の一部だけを切り取って効率化するという考え方では対応できません。Scalebaseを中心に据えつつ、販売・請求管理業務の効率化に向けて必要な機能や不足している役割などを見極め、柔軟に提案し、顧客に理解・納得してもらう必要があります。

 

よって、アカウントマネジメントは、オンボーディングや顧客の自走等のプロセスはもちろん、ハイタッチ〜テックタッチすべてのアプローチに対して幅広い知識があり、どのような状況でも迅速かつ適切に対応できることを目的として活動しています。加えて、契約に至るまでのプリセールスやトライアルのフェーズからコミュニケーションの主体を担っていきます。顧客に対し責任をもって業務全般を推進していくという意味合いで、カスタマーサクセスを担当する役割を「アカウントマネジメント」と呼んでいます


グループ内での役割分担はどのようにしていますか

アカウントマネジメントは、カスタマーサクセスに必要な要素を”すべて提供できる”ようプロジェクトごとにグループ内部でも適切にコラボレーションをしながら「顧客ごと」に担当を割り振っています。顧客のプロセスや、提供機能ごとに部署や人を現状は分けていません


今後体制や役割分担を変更する可能性はありますか?

それはもちろんあります。顧客の数が数百規模になっていけば、業界・業種別に組織を分けることで専門的なノウハウやスキルの共有が進むことも考えられますし、個人で解決できない問題を役割を分けることによって解決していくという方針になる可能性は十分あります。

まだこれからScalebaseのカスタマーサクセスを作り上げていくフェーズであるため、全員がカスタマーサクセスのプロセス全般に関与し、全体を俯瞰して今後の戦略や施策について意見を持ち、議論を行えるようにすることが重要と考えた組織設計にしています。

また、全員がサクセス全般をフォローできるスキルがあれば、お客様へのサポートの柔軟性が高まります。日々変化するお客様の数や性質に関わらず、質を下げること無くお客様に伴走できる強い組織づくりにもつながっています。具体的には、プロジェクトアサインや担当者変更が柔軟にできること、担当者不在時に別のメンバーがクイックレスポンスできることなどですね。


組織に関して、他に特徴的なことがあれば教えてください

先に申し上げた通り、我々がソリューションを提供するのは顧客の「ビジネス成否」に関わる領域になるので、「使えてなんぼ」を実現するCSのシビアさが他領域のサービスと比較してより重いものであるととらえています。よって、マーケティングやセールスの担当者たちも売るときからそこを十二分に意識していますし、エンジニアサイドも我々からのフィードバックは、一秒でも早くプロダクトに反映させることを念頭に動いてくれています。そういうことを踏まえると、Scalebaseでは「全社でカスタマーサクセスをやっています」といえることがひとつの特徴かもしれません。


水谷さんの経歴を教えてください

冒頭から盛り上がってしまいましたが、普通ここからですよね(笑)

 

2010年3月に大学を卒業後、BtoB向けソフトウェアを提供している会社に新卒として入社しました。主に大手企業に対し、ERPパッケージを販売するセールスとして活動し、2016年から管理職として12名のメンバーマネジメントを担当するようになり、その後部門長まで経験しました。アルプは2社目になります


アルプ社ジョインのきっかけを教えてください

先にジョインしていた前職時代の上司がいたことがきっかけでアルプのことを知り、転職を考えていたタイミングで話を聞きました。入社を決めた理由としては、「私の思想・志向」が体現できる事業であり、組織であると判断できたからです


水谷さんの「思想・志向」について詳しく教えてください

従来型思想のビジネス全般に言えることだと思うのですが、前職の「セールス」では、とにかく「売る」ことにフォーカスして活動することを求められていました。評価も「どれくらい売れたか」に基づくものでした。「セールス」である限り、もちろんそれが重要であることは間違いないのですが、全体的に「新規受注」にフォーカスしていたように思います。あ、当時の話ですよ、念の為(笑)

 

ただ、たくさん売っても、解約されたら意味がないのがストック型の商材であり、その代表格がSaaS / サブスクリプションです。大事なのは売ったあとに、顧客が期待していた機能が提供できていること、そこに価値を感じた上で使い続けてもらうこと、という考えをずっと持っています。極端に言えば、「売った数」よりも、顧客が感じる「価値の総量」の方が大事、というのが私の思想であり志向です。

 

ただ、いざ転職活動してみると、興味を持ってもらえるのは「10年間のエンタープライズセールス」の経験と、それに伴っているであろう「セールススキル」の方ばかりでした。まぁ、当然そうなると思ってはいましたが…。

 

そんな中、代表の伊藤と出会い、彼のSaaSビジネス・お客様・社員と真摯に向き合っていく姿勢、開発メンバーのビジネス部門に寄り添ってくれる雰囲気、各役割の間で行われるフラットで活発なコミュニケーションやカスタマーサクセスを大切にしているカルチャーに触れ、自身が望む「顧客伴走型の事業運営」を体現しているチームだと実感できたため、入社することを決めました


Scalebaseについて教えてください

SaaS / サブスクリプションをはじめとした、継続課金ビジネスをされている事業者向けの「販売・請求」管理プラットフォームです。

 

「プライシング設計・商品管理・顧客管理・契約管理・請求管理・指標分析・仕訳作成」といった、販売・請求に関する業務の一元管理を実現します。活用がうまくまわりはじめると、内部コストが極限まで低減されますので、リソースをより「攻め」に寄せることができ、継続課金型ビジネスの「稼ぐ力」を高めることにつながります


サービスが生まれた背景について教えてください

当社代表の伊藤を始めとした創業経営陣の原体験がもともとの起源になります。

 

伊藤は以前、ピクシブ(イラストコミュニケーションサービスを提供する会員制ウェブサイト「pixiv」とその関連サービスを運営)の代表をやっていたのですが、そこで彼自身がSaaS / サブスクリプションの決済やオペレーション、要するに「契約・販売・請求」に関わる業務課題にドップリはまっていたんですよね。そして、これは決して自分たちだけが直面しているものではなく、継続課金型のビジネスを推進する企業・事業に共通する課題であるはず、と思ったそうです。とはいえ起業間もない組織が多い業界であることを考えると、バックオフィスに高額投資できるケースもそうそうないだろう、と。そんな事前予測を携えながら少し市場調査してみたところ、まだデファクトスタンダードといえるほどの先行プレーヤーもいない状況だったので、その課題を解決できるサービスを提供しよう、という発想をもとに生まれたのがScalebaseです


ミッションは「あらゆる企業にフルスイングを。」。“SaaS”と“人”と“信念”のフルパッケージで顧客のサクセスに全力コミット


Scalebaseのカスタマーサクセス活動について教えてください

前述した私を含むアカウントマネジメントのメンバーが、それぞれ担当する顧客に対し、ハイタッチでコミュニケーションをとっていくのが現段階におけるCS活動の主軸です。オンボーディングはもちろん、問い合わせ対応等のサポートについても当面はハイタッチメインで進めていくことになります。なので、プリセールスからオンボーディング完了までのプロセスに絞ってWBSを引いて、顧客と綿密に会話しながら進めていきます。その中でも、オンボーディングにはかなり力を入れています。

 

オンボーディングの詳細を教えてください

繰り返しになりますが、Scalebaseがカバーするのは企業・事業運営の源泉ともいえる「販売・請求」業務です。相当センシティブな領域なので、細心の注意をもって顧客とコミュニケーションをとる必要があります。一方、そんな重要な領域ですが、蓋を開けてみると、かなり属人的な運用をしているケースが少なくありません。いわゆる組織として業務運用するための「型」がないんです。少数精鋭のスタートアップの方々は想像できると思うのですが、例えば、金融機関出身で、事業コンセプトに感銘を受けてジョインした「プロ」が、独自のノウハウをもとにひとりで全部まわしている、みたいなパターンです。

 

よって「Scalebaseをどう使うか」の前に、当該業務をどう「型化」していくか、という考え方や役割決めから伴走することになるので、必然的にハイタッチで濃く、深くやりとりしていくことになるわけです


大変な作業だと思われます・・・

確かに立ち上げの初期は苦労しました。ただ、現在では100社を超えるオンボーディング経験が蓄積されてきていますので、契約顧客数が250社ぐらいまでの規模であれば、こうやってください、といえる「型」を提供することができるようになりました


「型」はスムーズに受け入れられるのでしょうか?

よくいただく質問ですが「受け入れてくださいます」が答えです。大半が立ち上げて間もないスタートアップなので、そもそも新しいものに対する受け入れ体制と、高い順応性があります。それに「型がない」状況なので、むしろ喜んで対応してくださるケースが多いといえます。また、現状はIT / 通信業界をメインターゲットにしており、デジタルリテラシーの高い方が多いことでスムーズに導入していただける大きな要因だとも感じております

 

大企業相手の場合は別の苦労がある、ということでしょうか?

おっしゃる通りです。企業規模が大きくて、ビジネスがSaaS / サブスクリプションという場合、運営しているのは企業内ベンチャーや企業内新規事業部といったケースが少なくありません。こうなると、事業は新しいものの、管理は出自企業のものをそのまま使っているというパターンが多くあります。長年培ってこられたノウハウや、それに基づく「型」も一定以上ある状況です。そこに新しいツールを導入してもらうわけですから、先方の流儀やお作法もしっかりと理解した上で、一部は残し、一部は新しくするといったことに納得してもらいながら進める必要があります。よって、かなりの時間・エネルギー・スキルが必要になってきます。

 

具体的には、精緻な業務フロー整理や、課題管理表の策定など、業務プロセスの理解に向けた基本かつ肝要なプロセスを余すことなく実行し、領域のプロとして牽引していく姿勢をしっかりと見せること、Scalebase導入のビフォーアフターを可視化し、全体像を把握してもらうこと等です。ポイントは「業務を変える」「これまでとは違うやり方で行う」ということを、しっかり認識してもらうことだと考えています。また、Scalebaseではできないこと、現状ではカバーしていないことを正直に伝えることも大事な要素ですね


サポート領域についてはいかがでしょうか?

こちらもハイタッチで対応していますが、テックに負けないスピードで対応できるよう、顧客ごとにチャットツールを利用し、リアルタイムレスポンスできる環境を構築しています。ここで受けた疑問や質問を蓄積し、FAQ化していく活動も進めています


改善に向かっている、という部分を詳しく教えてください

まず、FAQが日々充実してきている、ということがひとつです。次に、マニュアルのパッケージング化も進めています。ヘルプセンターと称したWebサイト上で、顧客のプロセスごとにやるべきことをウィザード的に把握してもらえるようなものを想像いただければいいと思います。

 

ただ、一番大きいのは、Scalebaseの画面上でできることがここ数ヶ月でかなり増えてきていることですね。チャットで届く依頼や要望のうち、一定数以上の顧客から同様の声が届いているものを中心に、開発を行うエンジニアに「機能追加依頼」という形でフィードバックするようにしています。

 

冒頭申し上げた通り、弊社のエンジニアはかなりカスタマードリブンな考えを持ってくれていますので、スピーディに対応しています。直近の(Scalebaseの)技術的進化でアカウントマネジメントの工数がかなり削減されると共に顧客の体験価値を上げることができている点が大きな改善につながっています


では、ズバリ、水谷さんにとって「カスタマーサクセス」とはなんでしょう?

難しい質問ですね・・・。

これは弊社のミッションでもありますが、「あらゆる企業にフルスイングを。」でしょうか

 

(しっかりと伝わってます!)

 

ありがとうございます(笑)

顧客の業務効率化を通じた事業成長に、同じ方向を一緒に見て、フルコミットする、ということですね。それが我々にとってのカスタマーサクセスだと思います。自分の持つスキルとエネルギーを全部投下してやりきる前提ですが、無論、私個人で解決できない課題があれば、そこはアルプ全社で対応する。全顧客に対し「それを絶対やる」という覚悟を全員が持って、Scalebaseを担いでいる、とご理解いただければと思います!


最後に、読者に何か伝えたいことがあればお願いします

市場消費の中心が所有から利用へ、我々のScalebaseも属するSaaS / サブスクリプションに移行する動きが日々加速していることはもはや周知の事実だと思いますが、とりわけBtoBの領域ではそのスピードが特に速く、また複雑化していることを実感しています。

 

Scalebaseはどんな企業・事業、またサービスであってもやらないところはないという「販売・請求業務」を支援しています。よって、サービスの提供を通じて、さまざまなSaaS / サブスクリプションに触れ、多くのカスタマーサクセス活動や、それに勤しむ担当者の方々と出会うことができます。だからこそ、高速化 / 複雑化もリアルタイムに把握することができると思っています。トレンドを掴むことは、市場の中心でビジネスがやれているという実感につながりますし、これはアルプ / Scalebaseでカスタマーサクセスをやることの大きな価値だと感じています。

 

こういった体験をしたいと思う方は大歓迎ですので、いつでもお声掛けください!

あと最後にもう1点だけ告知させてください。来る12月14日の水曜日に開催される『カスタマーサクセス天下一武道会2022』に、弊社のCSメンバーが出場することになりました。契約後半年~1年のお客様に対してどのような思いを持ってどのような施策を実施しているか、より具体的に知っていただける機会になると思います。よろしければぜひご参加ください。

 


インタビューを終えて

今回5人目となるサクセスボイスのインタビューでしたが、みなに共通するクレバーさ、情熱は勿論のこと、とりわけ水谷さんからは「顧客のためにやりきる」という覚悟が伝わってきました。カスタマーサクセスはまだまだ新しい概念・役割・活動であって、それに必要なスキルやナレッジを体得するのは簡単なことではありません。しかし、水谷さんはそもそもの思想がSaaS / サブスクリプション時代の前から「顧客伴走型」のナチュラルボーンCSM。飛び出す専門用語や取り組みの具体性に、レベルの高さを感じざるを得ませんでしたが、そんなものは「当然持っているべき前提条件」というご自身への厳しい姿勢と、顧客のサクセスのために全身全霊で取り組むという信念が、WEB会議の画面上から溢れ出るようでした。筆者もSaaS / サブスクリプション事業の現場に身を置く立場ですが、自身の関わるサービスにおいても、ぜひ水谷さんに伴走をお願いしたいと、心から思わせてもらえたインタビューでした。


篠原 正憲(しのはら まさのり)

執筆者情報:

篠原 正憲(しのはら まさのり)

株式会社ユニリタ
クラウドサービス事業本部
Growwwingグループ
プロダクトマーケティング

ソフトバンクグループ、CDG(セールスプロモーション事業)などのBtoBソリューション企業にてセールス/マーケティング職を歴任。2016年以降数社のスタートアップにて新規事業開発を担当し、組織の立上げからデジタルマーケティングによるリード獲得、セールス、カスタマーサポート/サクセスまでを統合的にマネジメント。新期事業の立上げ経験を成長著しい領域で活かすべく2020年からGrowwwing事業にジョイン。


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