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【イベントレポート】Growwwing初のユーザー登壇型コンベンション「Growwwing Day」に密着!

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【イベントレポート】Growwwing初のユーザー登壇型コンベンション「Growwwing Day」に密着!

2022年9月8日(木)、カスタマーサクセス管理ツール「Growwwing(グローウィング)」の開発・提供をはじめ、データ活用領域、ITシステム運用管理領域のパッケージソフトウェア開発・販売・サポートおよびソリューション、コンサルティングサービスの提供を手がける株式会社ユニリタがオンライン・コンベンション「Growwwing Day」を開催しました。

 

カスタマーサクセスの認知度が向上し、興味・関心層の増加が肌で感じられるようになっていますが、必要性を感じながらもなかなか実践できなかったり、本気で経営資源を投下できなかったりという話も聞こえてきます。

 

そのような背景から、同社は、顧客の「サクセス」を本気で達成するためには、いかに早く、着実にカスタマーサクセスに取り組むことが重要であるかを訴える目的でコンベンションを開催。実際にGrowwwingを導入して成功しているユーザー企業も登壇しました。

 

今回は、同イベントの様子をレポートいたします。





【基調講演】カスタマーサクセス実態調査からみられる課題と展望


最初のセッションは、カスタマーサクセスプラットフォーム「Growwwing(グローウィング)」の事業責任者である尾上氏による基調講演でした。


【登壇者】プロフィール

 株式会社ユニリタ クラウドサービス事業本部 ビジネスイノベーション部 Growwwingグループ グループリーダー 尾上 雄馬(おのうえ ゆうま)

 

2007年に株式会社ビーエスピー(現ユニリタ)入社。ITサービス向けヘルプデスクSaaS「LMIS」を新規開発から開発を担当。開発業務の傍らサポートも兼務していたが、解約率の高まりに危機感を感じ、2017年より同サービスのカスタマーサクセスチームを立ち上げ責任者を担当。カスタマーサクセス管理用のツールを内製し、解約率半減を実現。

この管理ツールを汎用化し、Salesforce上で稼働するカスタマーサクセス管理SaaS「Growwwing」として販売開始、2020年7月より事業化し責任者を担当。itSMF JapanにおいてクラウドSLA分科会副座長、サービスカタログ分科会座長も歴任。

 

 


講演概要


基調講演には、カスタマーサポートのポータル「LMIS(エルミス)」の顧客に対して、「Growwwing」の原型となるカスタマーサクセス管理ツールを内製してカスタマーサクセスに取り組み、解約率半減を実現した実績を持つ、ユニリタの尾上氏が登壇しました。


Growwwingが2021年から毎年、実施している「カスタマーサクセス実態調査」の2022年度版の結果から主要な項目をピックアップして紹介した上で、これを踏まえた「カスタマーサクセスを成功に導くポイント」が3つ紹介されました。




講演参加所感


ビジネス環境の目まぐるしい変化や昨今のコロナ禍などの影響から、国内企業勤務者3万名を対象とした全体調査では、6割以上が事業継続に不安を感じているのに対し、「SaaS」「サブスクリプション」事業関係者300名を対象とした本調査では、不安を感じているという回答が20%以上も少なく、SaaSやサブスクリプションモデルの強さを実感しました。

 

また、「カスタマーサクセスツールの予算確保意向」では、「売上発生中のSaaS事業者(69.4%)よりも「CS組織設立済み/準備・検討中のSaaS事業者(73.2%)」が、さらに、「CS組織のメンバーが増加傾向にあるSaaS事業者(75.9%)」の方が高く、CS組織の成熟度が高まるごとにツールの検討度が高まる傾向を目の当たりにし、ツールの必然性を感じました。

 

もともとオンプレミス製品だった自社製品をSaaS化し、自作のカスタマーサクセスツールを活用して解約率を半減させた実績を持つ登壇者ならではの説得力の高さが印象的でした。


学びになったポイント


同調査結果から、カスタマーサクセスに対する課題感として、管理職層では人材マネジメントやKPI策定などの組織設計の課題や、業務効率化や脱属人化などのプロセス効率化の課題が高く、現場では、部門間の情報共有やデータ連携などの可視化が高めであることが明らかに。また、どの層でも業務改善/効率化/生産性向上に対する課題感が高めでした。

 

こうした結果から、「カスタマーサクセスにマネジメントを」との提言があり、カスタマーサクセスを成功に導くポイントとして、

・可視化

・標準化

・効率化

の3点が挙げられていました。

 

これらをデジタルツールで実現することで、より高い効果が期待できるといいます。より良いカスタマーサクセスを実現するための「3つのP」の一つであるProductの重要性が説かれました。

※ITサービスマネジメントのフレームワークで、Product(業務を効率的に実施したりするために使うサービス)、Process(業務を効率的に確実に実行するための標準化されたプロセス)、People(プロセスを実行するために必要な人材の採用や教育)のこと。


【事例講演1】会計・ERPサービスにおけるカスタマーサクセス部門立上奮闘記 ~CS部門立上から始める「システム導入及びCS活動の見える化」の道のり~



登壇者のプロフィール

株式会社マルチブック カスタマーサクセス部 責任者 取締役 加部 芳紀(かべ よしのり)氏

 

ドイツ系コンサルティング会社並びに当社にて業務改革、内部統制、ERPシステム導入等、多数のプロジェクトに20年以上従事している。会計のプロフェッショナルとして、顧客はメーカーを主体としてサービス業等、幅広い業種に従事し、海外へのグローバル展開など、国内外のプロジェクト経験を有する。顧客の業務全体の効率化、そしてカスタマーファーストを念頭に日々活動中。

 

講演概要


株式会社マルチブックは、海外の現地法人など規模の小さい法人向けに開発されたクラウド型会計システム「multibook(マルチブック)」を提供する企業です。

講師の加部氏は、同社の役員であり、カスタマーサクセス部門の統括責任者を務めています。

 

同社では、2016年の営業開始以降、2021年まではカスタマーサクセス活動をしてこなかったといいます。「解約を未然に防ぐことが重要」との考えに基づき、カスタマーサクセス部門を立ち上げたのが2021年7月。

 

セッションでは、カスタマーサクセス部門の立ち上げ奮闘記から「Growwwing」導入の経緯、「Growwwing」を活用しながら構築した導入方法論「Smart Way」など、同社の経験に基づくノウハウが公開されました。

 

特に、前半の、カスタマーサクセス部門立ち上げ時の具体的な経緯の紹介では、カスタマーサクセス組織の立ち上げにおいて、普段はなかなか聞くことのできないリアルな課題感や細かな手順などが共有され、これからカスタマーサクセス組織を作ろうと考えている企業にとって大いに役立つであろう、具体的な情報が紹介されました。




講演参加所感


カスタマーサクセス組織の立ち上げ後、活動する中で出てくる課題の中には、ツールの必要性に関するものが多く、基調講演で紹介された調査結果にあった通り、カスタマーサクセス活動を本格化する上で、カスタマーサクセスを管理するツールの重要性を改めて認識しました。

 

また、当初は、ERPという商材の特性から、事業撤退などしない限り解約されないと思い込んでいたものの、実際に顧客の契約状況を細かく分析してみると「操作方法がわからない」「活用できていない」を理由にした解約が存在していたことが判明するなど、カスタマーサクセスに取り組み、顧客を知ることの大切さを再確認できました。




学びになったポイント


「multibook」の販売を開始した2016年からの4年間は、社内にカスタマーサクセスの認識もなく、使い方がわからなかったり活用しきれていなかったりしたため解約に気づかなかった同社が、カスタマーサクセスに本格的に取り組むに当たって設置したコンセプトや目標が下記の通りです。

 

【コンセプト】Small start…Big goal with multibook!!

【目的】直近2年で500社サポートできる体制へ。※当時の顧客数は290社ほど

【目標】チャーン:0、横展開導入拠点:45、各国で最低1事業所の会計事務所との連携

 

取り組みを開始した2021年8月から1年間で、事業撤退などの不可避な事由以外の解約率を0に抑えるという成果を出したことから、立ち上げ段階の目的や目標、アクティビティの設計の重要性が伺えます。

 

セッション後の質疑応答でも、アクティビティの定義とそれに合わせた人的リソース確保の大切さについて述べられていました。




【事例講演2】介護現場の進化に伴走するカスタマーサクセス ~リアクティブなサポートからデータを活用したプロアクティブなサポートへ~



登壇者プロフィール

コニカミノルタ株式会社 QOLソリューション事業部 カスタマーエンゲージメント部 プロセス改革グループ グループリーダー 岡田 崇志(おかだ たかし)氏

 

2007年コニカミノルタ入社、光ディスクのピックアップ装置、車載カメラのエレキ開発/設計を担当。

2013年から新規事業の検討を開始した現担当テーマに参画しプロダクト開発を担当、2019年からアフターセールス部門に活動の軸足を移し現在に至る。


講演概要


写真関連商品や、複写機などのオフィス製品などを製造していたコニカミノルタ株式会社は、2006年に、創業事業であった写真フィルムカメラ事業から撤退。2013年に事業子会社7社を吸収合併してからは、「デジタルワークプレイス」「プロフェッショナルプリント」「ヘルスケア」「産業用材料・機器」の4事業を主力事業としているとのこと。

 

講師の岡田氏は、この4事業の枠にとどまらない新規事業として開発した、介護現場の業務負担を軽減する「QOL事業」である「HitomeQ ケアサポート(ヒトメクケアサポート)」に、テーマ探索の段階から参画されたそうです。

システム開発担当を経てアフターセールス部門に所属するという、カスタマーサクセス担当としては少し異色の経歴の持ち主で、Salesforceプラットフォームの開発・運用も担当されています。

 

講演では、少子高齢化が進み、認知症を発症する高齢者数や、介護を理由としてやむを得ず退職する人が増加している日本の現状を背景に生まれた「HitomeQ ケアサポート」の紹介から、カスタマーサクセス組織の立ち上げ、実際の取り組み内容と成果、Growwwingの活用法までの具体的な情報が公開されました。


講演参加所感


「HitomeQ ケアサポート」は、天井に取り付けたセンサーで利用者(高齢者)をモニタリングの上、動きを分析し、スマートフォンに映像で通知することで、介護スタッフの訪室負担を減らすというサービスです。

 

事業を開始した2016年度から2021年度まで、導入施設数は順調に伸び、2020年度からはリピート戦略を開始。この戦略活動がアフターセールスを立て直すきっかけになったといいます。

 

既存にはないオリジナリティの高いサービスであることから、他社に参考になる事例がなく、試行錯誤で独自のカスタマーサクセスの方法論を編み出した同社の軌跡には、カスタマーサクセスに対する意識の高さが感じられました。

 

また、部門最適ではなく事業全体最適になることを意識して取り組まれた点や、必要な共通認識が形成できておらず、トラブルが起きた際にギクシャクすることを避けたかったという説明から、同社のカスタマーサクセスチームが一丸となって取り組んでいる様子が伝わってきました。




学びになったポイント


カスタマーサクセスの取り組みに当たり、アフターセールスの課題分析を行った結果、「営業活動でお客様が契約いただいた経緯・期待がアフターセールス部門に伝わっていないために、お客様の期待に応えるサポートができていない」などが判明したということから、事前の課題分析の重要性が明らかになりました。

 

カスタマーサクセスへの取り組みの成果として、顧客全体の12.5%に占める「安定期」に当たるのは、すべてカスタマーサクセス活動後のお客様だったこと、2021年度のNPSスコア測定結果が、対前年比で+26だったことが紹介されました。

 

現場の介護者の立場に立ち、説得力を持たせるために、お客様へ提供する研修を行うメンバーが「社会福祉士」や「介護初任者研修」「スマート介護士(エキスパート)」などの資格を取得し、対応に当たったという取り組みに同社の本気度が表れており、中途半端な取り組みではこのような結果が出なかったことが推測されます。



【パートナーセッション】LTV向上を着実に推し進める顧客体験(CX)の把握と改善活動とは!?


登壇者プロフィール

クリエイティブサーベイ株式会社 Sales&Marketing Div 取締役 菊地 孝行(きくち たかゆき)氏

 

2005年に株式会社ワークスアプリケーションズに入社。

大企業向けにアカウントセールスを担当し、2012年よりセールス部門VPに就任。

2019年にクリエイティブサーベイに参画し、ビジネス領域全般を管掌。

 

講演概要


顧客体験(CX)の改善とLTV向上を支援するアンケート・コミュニケーション・プラットフォーム「CREATIVE SURVEY(クリエイティブサーベイ)」を提供するクリエイティブサーベイ株式会社の取締役である菊地氏が登壇した協賛パートナーによるセッション。

CXの定義に始まり、CX改善によるLTV向上のためには、顧客が自らなかなか教えてくれないCXを積極的に得るためにアンケートが効果的であることが、実際のCREATIVE SURVEYのデモンストレーションを交えながら解説されました。

 

後半では、CREATIVE SURVEYとGrowwwingとの連携も紹介され、Growwwingのタスク管理機能、プレイブック機能がフィーチャーされました。


講演参加所感


冒頭で、顧客は不満を持っても、実際にクレームを入れてくれる層は全体の3割にも満たず、無言のまま解約してしまうだけでなく、悪い口コミを書き込むこともあるため、新規顧客獲得のコスト増大まで招くという主張に、目から鱗が落ちる思いでした。

 

一方で、クレームを寄せた顧客に対して適切に対応できれば、それが解決に結び付かなかったとしても、クレームのない顧客よりもLTVが上がる現象があるといい、カスタマーサクセスの取り組みの中で、適切なクレーム対応が重要であることが伝わってきました。

 

学びになったポイント


最後の質疑応答では、「営業担当による商談ヒアリングと比較して、アンケートによるVoCの精度は高いと感じられますか?また、高めるためにプロダクト設計上、工夫しているポイントや、アンケート設計で意識しているポイントがあれば、教えてください」という質問に対し、「精度を高めるためにはまず、お声をいただかないと始まらない」と回答した菊地氏。

 

ただし、いざアンケートを実施しようとすると「膨大な設問のアンケートを作成してしまう」という失敗が起きがちだと指摘しました。設問数の多いアンケートは、顧客が面倒になってしまい、そもそも回答してくれなかったり、途中から適当な回答になってしまったりするといいます。そこで、もし、ボリュームの多いアンケートを実施したい場合は、その設問を実施すべき適切なタイミングで最小限の質問数で、高頻度で実施した方が良いとアドバイスしました。

 

とはいえ、「回答してくれなかった」という事実も非常に重要なシグナルで、解約のトリガーの一つにもなるため、見逃せない重要ポイントだといいます。




【パネルディスカッション】変化する企業と顧客の関係性 ~カスタマーサクセスで進化する顧客との「向き合い方」~



【ファシリテーター プロフィール】


レクシエス株式会社 代表取締役社長 丸田 絃心(まるた げんしん)氏

 

外資系投資銀行、広告代理店、人事コンサルを経て、AIベンチャーでカスタマーサクセス(CS)の責任者を歴任。CSの講演や外部顧問など行いつつ、約3,500人のCSコミュニティ「CSカレッジ」を主宰。慶應義塾大学卒業。UCバークレーESEC修了。


パネルディスカッション概要


最後に、基調講演で登壇した尾上と、事例講演で登壇した加部氏、岡田氏に加え、国内カスタマーサクセスの第一人者であるレクシエス株式会社の代表取締役社長である丸田氏を迎えてパネルディスカッションが行われました。

 

テーマは、事前アンケートの結果から投票数の多かった次の3点。

1位 KPIって具体的にどう設定しているの?

2位 オンボーディングで何をしているの?

3位 属人化にどう向き合っているの?

 

丸田氏をファシリテーターに、各パネリストの実体験に基づく、興味深い話が繰り広げられました。




パネルディスカッション参加所感

ファシリテーター、パネリストの全員が、実際にカスタマーサクセスに携わった経験を持つ中で、自身の経験に基づく独自の論理を持っているという点が興味深く、話に引き込まれました。

 

商材が変われば、KPIなどの目標も、オンボーディングの方法や期間も大きく異なり、画一的に「こうすればカスタマーサクセスに成功する」という方法はないのだということがよくわかりました。

 

また、属人化の捉え方や、型化すべき範囲については、各人の考え方が如実に現れており、マネジメントの方針に寄ってくるものだと感じました。ここは、商材というよりも社風やマネージャーの個性などに寄る部分が大きくなってくると思います。

 

事例セッションに登壇した2社については、自社のカスタマーサクセスにのみ関わっているということもあり、自身の意見を述べつつ、ディスカッションを通して学び合っている姿勢が感じられました。カスタマーサクセスに対する熱量の高さが強く印象に残りました。




学びになったポイント

1つ目のテーマ「KPIって具体的にどう設定しているの?」では、ファシリテーターの丸田氏からKPIの例として「解約率」「NRR」「エクスパンションレート」が挙げられた後、各パネリストからのKPIの設定方法が紹介されました。

 

尾上氏は、事業に直結する指標は必ず取った上で、+αでNPSなどを取っていると述べました。

 

岡田氏は、自社サービスのサブスクリプション化が昨年度(2021年度)からであるため、短期で見た解約率などは測りにくいと断った上で、基本的な考え方としてサービスを利用してくれているかどうかを押さえることが、まず大事だと考えているといいます。

 

加部氏は、自社サービスの特性から「システムを使う・使わない」が大きなポイントになるとして、NPSの推移と解約数の推移をウォッチしつつ、最終的な財務指標としてMRRやARRがどれだけ伸びているかを意識していると延べました。

 

丸田氏の「『何を』ではなく『どう』設定しているかを問う設問なのがとても良い」というコメントから、一般的なKPIを参考にしながら、自社が扱う商材の特性を見極め、適切なKPI設定を行うことが重要であることが理解できました。

 

2つ目のテーマ「オンボーディングで何をしているの?」では、まず、尾上氏が「お客様のカスタマージャーニーマップを整理し、これを踏まえて今何が足りないのか、何をしなければならないのかをディスカッションした上で、ツールとして実装すべきものは何かを明らかにして対応することが重要」と自身の考えを紹介しました。さらに、マルチブックの導入方法論「Smart Way」を称賛。

 

これを受けて加部氏は、「Smart Way」策定の際のポイントとして、いかに納期を短縮して効率的にわかりやすく導入できるかを意識していると紹介しました。策定のきっかけは、これからカスタマーサクセス部門に社員が入ってくる中で、導入作業についてまとめたドキュメントの必要性を感じたためだと述べました。

 

一方、岡田氏は、HitomeQがシステムを設置するところから数ヵ月をかけて利用できる状態になる商材のため、オンボーディング期間が長いことに触れ、導入の1~1.5ヵ月前から、顧客側の推進者をリーダーとして、現場で導入の理由や事前学習を進めてもらっていることを紹介。

 

丸太氏は、オンボーディングを行う上では「3S(スターター・セッティング、サービス・インストラクション、スモール・サクセス)」が大事だと考えていると述べ、特に初期の段階でサービスの価値を実感してもらうことの重要性を説きました。

 

オンボーディングを行う上でも、やはり、自社商材の特性を掴んだ上で設計することが重要で、そこから目標や手段を詰めていくことで、解約されにくいオンボーディングを実施できるのだという学びを得ました。

 

3つ目のテーマ「属人化にどう向き合っているの?」では、まず、岡田氏が「属人化を善とするか悪とするかは、担当されているビジネスによって変わるのではないか」との持論を展開し、ディスカッションの方向性に大きな影響を与えました。

 

加部氏は、先に紹介した「Smart Way」を策定した理由の一つとして、案件ごとに属人化が進んでしまったことを挙げ、導入するときから標準化された方法論で対応を行うことの重要性に触れました。

 

尾上氏は、「最初はどうしても属人化するもの」と主張。暗黙知が生まれてきて、それが型化されていくため、あまり最初のうちから正解を求めない方が良いと警告しました。さらに、最初にガチガチに固めてあまり作り過ぎてしまうと、そこからの進化もなければ、間違ったことを繰り返してしまう可能性もあると指摘。自社では当たり前に実施しなければならない部分のみを型化し、各メンバーの個性はその上で発揮してもらう+αになると述ベました。

 

岡田氏は、型化について今まさに悩んでいる最中だといい、カスタマーサクセス職を志望する人は、お客様と接することが好きな人が多く、その時間を減らしてまでルールを押し付けるのは避けたいとの考えを主張しました。

 

加部氏は、最低限こなすべき業務の型化に加え、各人に求められるビジネス素養についても触れました。その例として、自社の会計知識や物流知識を挙げました。

 

属人化には、良い面と悪い面の両面があり、外せない基本的な要素は型化してカスタマーサクセスの全員に浸透させておき、その上で各人の裁量を持たせることで、より良い活動ができるのだということを認識しました。



まとめ

今回のコンベンションでは、自社のビジネスモデルや商材などに合ったKPIを立て、オンボーディングやアップセル、クロスセルといった活動内容を、タイミング・期間とともに適切に決定することの重要性が強調されました。

 

また、そのためには、具体的どのようにすれば良いのかを考えるためのヒントになる、貴重な体験談が数多く紹介されました。

 

コンベンションを通して、カスタマーサクセスの在り方を考えさせられるとともに、単にカスタマーサクセスを成功させることを考えるのではなく、事業が成功するために、各部門で連携して、一貫した顧客対応を行う必要があることが伝わってきました。

 

そして、全社的に一貫性のある顧客対応を行うためには、カスタマーサクセス部門を中心に、全社で顧客情報やカスタマーサクセスメンバーのタスク状況などを俯瞰できるデータの蓄積・活用が重要であることも理解できました。

 

カスタマーサクセスにまつわるデータを効率的に管理・活用するためには、専用のデジタルツールが有用だといいます。これからカスタマーサクセス部門を立ち上げる予定の企業の方は、メンバーの選定や予算の確保といった準備の中に、カスタマーサクセス専用ツールの選定を加える必要があるかもしれません。


新堀明日香(にいぼり あすか)

執筆者情報:

新堀明日香(にいぼり あすか)

クラウドサーカス株式会社
DPO事業部
グロース・マーケティング・グループ
ライター

Webサイト制作部門にて、顧客のWebサイトに掲載するコンテンツやキャッチコピーのライティングのほか、自社メディア「エムタメ!」向けに「お客様の声」の取材・ライティング、コラム記事作成などを経て現グループへ。マーケティング、セールス、IT(情報セキュリティ)などのテーマを中心とするコラム記事やコンテンツライティングを担当。
ライター業の傍ら、株式会社ブログラボにて編集担当としてライターの取りまとめやクライアント折衝なども行う。


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