【基礎編】ChatGPTでカスタマ―サクセス活動を効率的に!活用方法までしっかり解説
SaaSビジネスの成功にはカスタマーサクセスが欠かせません。この記事では、ChatGPTの力を借りて、効果的なカスタマーサクセス活動を展開する方法に焦点を当てます。ChatGPTを活用することで、リアルタイムな対話やタスクの自動化が可能となり、業務の効率化と顧客との関係構築が一層向上します。さらに、ChatGPTは24時間365日稼働可能であり、顧客の問い合わせに対して迅速に対応することができます。これにより、顧客満足度の向上につながり、結果的にビジネスの成長に寄与します。
ChatGPTの概要
ChatGPTの基本的な概要について説明します。
ChatGPTとは?
ChatGPTとは、米国のOpenAI社が開発した大規模言語モデルGPT(Generative Pre-trained Transformer)を搭載した対話型AIです。
2022年の公開以来、その高度な自然言語処理能力で注目を集め、ビジネスシーンから個人利用まで、幅広い分野で活用されています。
2024年には、ChatGPT-3.5が無料公開されている他、さらに高度な性能を誇るChatGPT-4.0が有料公開されています。
ChatGPTの特徴
①自然な対話
大きな特徴としてまるで人間と対話するかのようにAIとコミュニケーションを取ることができます。従来のチャットサービスは言葉遣いが不自然であったり、質問に対して適切ではない返答をされることも少なくありませんでした。
②高度な言語理解
ChatGPTはインターネット上で学習したデータを基に、ユーザーの文脈を理解し、それにあわせた適切な回答を生成することが可能です。そのためユーザーは自然かつ的確な回答を得ることができます。
③多様なタスクに対応
与えられたデータから一定の法則性を見つけ出し、予測・分類・分析などを行うことができます。この学習方法により、ChatGPTは文章生成や翻訳、情報検索、プログラミングなど幅広いタスクに対応することが可能です。
④継続的な学習
Chat-GPTは利用者のフィードバックに基づいての学習も行い、より高度な応答を行えるようになります。
ChatGPTと他のAIとの違い
ChatGPTと他のAIとの大きな違いは、文脈からユーザーの感情や要求を理解し、期待される回答を生成できるところです。
前述の通り、ChatGPTはベースとなるデータの他に、与えられたデータを基に学習し、知識として蓄えられる仕組みになっています。ユーザーからの反応を基に、「こう回答したら喜ばれる」や「このように返すと怒りを買う」などの情報をデータとして取り込むことで、ユーザーが求めている反応を返すことができます。
また、他のAIはベースとなるデータの中から適切と思われる情報を選別してそのまま回答しますが、ChatGPTはさまざまな情報を基に自らが考え、適切と思われる新しい回答を作成できるところも大きな特徴です。
ChatGPT活用のメリットとデメリット
ChatGPTを活用すると、対話するだけで必要な情報を収集したり、文章の作成・要約・翻訳や、要求したプログラミングを作成することができます。情報収集や文章の考案・入力、プログラミングの構築などにかかっていた手間と時間を削減できるため、作業の大幅な効率化につながります。
また、ChatGPTに質問や相談をすれば、自分では考えつかなかった新たなアイデアや視点を得られるところも大きなメリットの一つです。
一方、デメリットとしては情報漏洩のリスクが挙げられます。ChatGPTではユーザーが入力した情報を学習データとして活用しているため、不用意に個人情報などを入力すると情報が漏洩する可能性があります。
加えて、ChatGPTはまだ発展途上のサービスであり、その言い回しや言葉遣いが確実に適切なものとは限りません。ChatGPTが提示した文章をそのまま流用したりすると、不適切発言とみなされて炎上騒動に発展するおそれもあるので注意が必要です。
カスタマーサクセス活動におけるChatGPTの優れた点
カスタマーサクセス活動にChatGPTを利用した場合に期待できる効果は大きく分けて3つあります。
1. 効率化
ChatGPTを利用すれば、顧客の声(VOC)の収集や分析などを自動かつ短時間で行えるため、時間と手間の短縮につながります。
2. 顧客満足度向上
例えば、ヘルプデスクにChatGPTを利用したチャットボットを設置して問い合わせに24時間対応できるようにしたり、問い合わせ履歴をChatGPTに入力してより適切な回答を導き出してもらったりすれば、顧客満足度の向上に役立ちます。
3.コスト削減
業務を効率化すれば一人あたりの労働生産性向上や、ヘルプデスクの人員を減らすことで人件費の削減ができます。
カスタマーサクセス活動におけるChatGPTの具体的な活用方法
カスタマーサクセス活動でChatGPTをどのように活用するか、その具体的な方法を3つご紹介します。
チャットボット
コーポレートサイトや社内サポート部門にChatGPTを導入したヘルプデスクを設置する方法です。自社の製品・サービスに関するデータや、顧客や社員から寄せられるよくある疑問・質問のデータをあらかじめChatGPTに学習させておけば、ヘルプデスクの担当者が対応しなくても、単純な回答であればチャットボットのみで行えるようになります。
ヘルプデスク担当者の負担を軽減できるのはもちろん、人員そのものを削減すればコスト節約にもなります。
チャットボットは24時間365日対応できるため、顧客満足度の向上につながるだけでなく、問い合わせが営業時間帯に集中しづらくなるのも利点です。
顧客に合わせたアップセル・クロスセルの提案
自社の製品・サービスの使用状況と、過去の顧客情報をChatGPTに取り込むことで、収集したデータの分析結果に基づき、ChatGPTが顧客に合わせた機能や製品の提案を行えるようになります。顧客ニーズに適したアップセル・クロスセルを実施することで、LTV(顧客生涯価値)の向上や、売上・業績アップが期待できます。
LTVの向上には本来、顧客や市場ニーズ把握のためのリサーチと分析、度重なるヒアリングなどが必須です。そのため、かなりの時間と手間がかかります。しかし、ChatGPTを利用してリサーチや分析、顧客とのやり取りといった工程を自動化することで、少ない労力とコストでLTV向上を狙うことが可能となります。
サービスの学習素材提供
自社の製品・サービスをより幅広いターゲットに提供するには、さまざまな用途・ニーズに対応できる製品・サービスであることをアピールする必要があります。
問い合わせ履歴などを基に、ChatGPTにユーザーの知りたい情報を学習させることで、ユーザーそれぞれのニーズに合った適切なケーススタディの提供を行うことが可能です。ユーザーのニーズを満たす製品・サービスであることを理解してもらえれば購入・継続の意欲が高まり、売上・業績アップに直結します。
また、ChatGPTにサービスの学習素材提供を代行してもらえれば、人的な支援・サポートをある程度省略することが可能です。カスタマーサポートの負担が減れば、労働環境の改善やコスト削減といった効果も期待できます。
ChatGPTを導入する際の注意点と課題
ChatGPTは便利ですが、カスタマーサクセス業務の全てに導入できるわけではありません。人の手が介入しなければならない部分も少なくないので、ChatGPTを導入する際は以下のような課題と注意点について理解しておきましょう。
ChatGPTは発展途上
ChatGPTはインターネットから情報を収集して学習し、成長していくサービスです。使われれば使われるほど発展を遂げていくところが特徴ですが、2022年に公開されたばかりのサービスでいまだ発展途上にあり、提供する情報や提案が全て正しいとは限りません。
そのため、カスタマーサクセス業務にChatGPTを導入する際は、その進化に応じて、ChatGPTを取り入れる機能や担当業務をアップデートしていく必要があります。
ChatGPTの進化スピードは非常に速いので、定期的に業務や機能の見直しを行い、修正や改善を加えていきましょう。
カスタマーサクセス業務は顧客との信頼関係構築がカギ
ChatGPTは情報の収集や分析、その結果に基づいた課題やニーズの洗い出しを得意とする一方、2024年2月時点の最新言語モデル(GPT-4Turbo)でも、2023年4月までの知識しか学習していないため、トレンド性のある質問への対応を苦手としています。
また、一般的な情報や知識を提供することはできても、パーソナライズされた質問について対応することは難しいといえます。。例えば、インターネット上で公開されていない自社の製品・サービスに関する専門的な知識・情報に関しては、ChatGPTに質問しても必要十分な回答を得られないため、カスタマーサポートが対応する必要があります。
そもそも、顧客対応をほとんどをChatGPT任せにしていると、顧客との間に信頼関係を築くことができず、カスタマーサクセスの目的を達成できないおそれがあります。
カスタマーサクセス業務にChatGPTを導入する際は、ChatGPTで効率化できる部分とできない部分を明確化し、ChatGPTと人の棲み分けを行うことが効率的かつ適切な顧客対応を実現する第一歩です。
まとめ
ChatGPTは情報の収集・分析・要約・自然なコミュニケーションなど、さまざまな特徴を持っています。カスタマーサクセス業務に活用すれば、顧客の声を収集・分析して課題やニーズを洗い出したり、チャットボットで顧客への自動対応を行ったりと、複数の効果を期待できます。
ただし、ChatGPTはいまだ発展途上のサービスであり、カスタマーサクセス業務の全てを一任できるわけではありません。特に顧客との信頼関係構築に関する部分は人の手の介在が必要となりますので、ChatGPTで効率化できる部分と、人がサポートしなければならない部分をしっかり棲み分けすることが大切です。
また、ChatGPTを導入した機能や業務については、ChatGPTの進化に応じて定期的にアップデートし、時代に即した状態を保つことを心掛けましょう。
執筆者情報:
佐々木 一稀(ささき かずき)
ユニリタ自社開発のフローチャートツール「Ranabase」にて開発に携わり、カスタマーサポートを担当し2022年に「Growwwing」チームへジョイン。
カスタマーサクセスメンバーとしてオンボーディング支援業務を経験し、現在ではその知見を活かし顧客の求めてる情報を発信するためにマーケティング分野を担当。
幅広い経験からの視点を生かし、カスタマーサクセスを行う方へのヒントとなるような記事を掲載できるよう全力で頑張ります。