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CS組織立ち上げの失敗談9選!実例から導く成功の鉄則

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CS組織立ち上げの失敗談9選!実例から導く成功の鉄則

昨今、サブスクリプション型モデルの普及に伴い、特にB2BのIT/SaaS企業においてカスタマーサクセス(CS)部門の設立は急務となっています。

しかし、十分なノウハウがないまま組織を立ち上げた結果、「担当者が疲弊している」「解約率が下がらない」といった壁にぶつかる企業は少なくありません。

そして、多くのIT企業が陥りやすいわなには共通点があり、実例から学ぶことで致命的な失敗を未然に防ぐことが可能です。

この記事ではCS組織立ち上げにおける典型的な失敗談9選と、それらを乗り越え成功へ導くための鉄則をご紹介いたします。






【失敗談1】営業との兼務による機会損失

CS組織の立ち上げ初期に最も多い失敗の一つが、既存の営業担当者がCS業務を「兼務」することにより、機会損失が生じてしまうケースです。

新規獲得を優先する営業マインドと、既存顧客の活用促進を優先するCSマインドは、求められるスキルや時間軸が根本的に異なります。
このため、兼務体制では、どうしても目先の売り上げにつながる新規商談が優先され、既存顧客へのフォローが「トラブル対応時のみ」の受動的なものになりがちです。

その結果、顧客は活用方法を見いだせず、オンボーディング完了前に解約を検討し始めるという致命的な機会損失を招いてしまうのです。

 

解決策:攻めのCSへの構造改革

この失敗を乗り越えるためには、CS専任の担当者を配置することが大切です。

人的リソースの関係などで、営業と兼任せざるを得ない組織もあるでしょう。
しかし、少なくとも1名はCS専任の担当者を置き、既存顧客のサクセスのみに責任を持つ体制を整えましょう。

その上で、新規受注額ではなく、「解約率(チャーンレート)」や「LTV(顧客生涯価値)」、「プロダクト活用度(ヘルススコア)」をCS独自の評価指標として設定します。

体制を明確に分けることで、顧客の不満を未然に防ぎ、アップセルやクロスセルを戦略的に狙える「攻めのCS組織」へと進化させることが可能です。

【失敗談2】成長に追いつかないExcel管理の崩壊

CS組織の立ち上げ初期、多くの企業が顧客情報の管理にExcelやスプレッドシートを活用するでしょう。
顧客数が数社程度のうちは問題ありませんが、事業が急成長し、顧客数が数十、数百と増えていくにつれて、手動による管理は崩壊へと向かいます。

「最新の対応履歴がどれかわからない」「担当者ごとにフォーマットがバラバラ」「数値を集計するだけで一日が終わる」といった事態に陥り、本来の目的であるはずの顧客への戦略的なアプローチが後回しになってしまうのです。

結果として、解約の予兆を見逃したり、適切なタイミングでのフォローができなくなったりといった実害が発生します。

 

解決策:スケーラビリティを担保するIT基盤の構築

これを防ぐためには、早い段階からスケーラビリティ(拡張性)を考慮したIT基盤を整備する必要があります。

IT基盤を整備したら、顧客基本情報、契約状況、プロダクトの利用ログなどを一つのプラットフォームに集約し、手入力の手間を最小限に抑えましょう。

その上で、顧客の状態をリアルタイムで数値化(スコアリング)し、異変があれば即座にアラートが飛ぶ仕組みを作ります。

これを、セールスや開発部門とも情報をシームレスに共有し、組織全体で顧客体験を支える体制を構築します。

【失敗談3】再現性を失ったオンボーディングの属人化

CS組織の立ち上げ初期、少人数のエース級メンバーが中心となって活動している時期に陥りやすいのが、オンボーディング業務の「属人化」です。
特定の担当者が持つ高いスキルや、長年の経験に基づいた「勘」に頼って顧客対応を進めてしまうため、組織としての再現性が失われてしまいます。

この状態では、担当者によって提供するサービス品質にバラツキが生じるだけでなく、メンバーの増員や急な離脱が発生した際に、顧客が「以前の担当者と対応が違う」「状況が引き継がれていない」といった不満を抱く要因となります。

結果として、プロダクトの初期活用がスムーズに進まず、早期解約を招くことになります。

 

解決策:ツール導入で再現性の高い組織へ

属人化を解消し、誰が担当しても一定以上の成果を出せる「再現性の高い組織」へと進化させるには、業務の標準化とナレッジの共有を仕組み化した上で、ツールを導入することが重要です。
特に有効な手段が、カスタマーサクセス専用ツールの活用です。

具体的には、まず、オンボーディングフローを型化する必要があります。
顧客が成功に至るまでのステップを明確に定義し、共通のタスクリストや進捗管理シートを用いて、進捗状況をチーム全員で共有しましょう。

さらに、顧客アクションを可視化していきます。
担当者の主観的な温度感ではなく、ログイン頻度や機能の利用状況といった客観的なデータに基づいて顧客の状態を把握する仕組みを整えるべく、カスタマーサクセス専用ツールを導入しましょう。

【失敗談4】既存のサポートから脱却できない停滞

カスタマーサクセス組織を立ち上げたものの、実態は「問い合わせ対応」に追われるカスタマーサポートの延長線上から抜け出せないケースも多々あります。

顧客からの連絡を待つ「受動的な姿勢」のままでは、解約の予兆に気づくことができず、結果として解約率(チャーンレート)の改善につながりません。

この失敗の主な原因は、組織の役割が明確に定義されていないことにあります。
サポート業務とサクセス業務が混在し、日々発生する不具合対応や操作説明にリソースを奪われることで、顧客の成功を支援するための「戦略的な提案」が後回しになってしまうのです。

 

解決策:能動的なアクションへのマインドセットと指標の変更

この状況を打破し、本来の「カスタマーサクセス」として機能させるためには、組織全体のマインドセットと評価指標を根本から変える必要があります。

まずは、顧客からの連絡を待つ「受動」のマインドではなく、プロダクトの利用ログなどから顧客の状況を先回りして把握し、問題が起きる前にアクションを起こす「能動」マインドへと転換しましょう。

その上で、KPI(重要業績評価指標)を再設定します。
問い合わせ対応件数や満足度だけでなく、解約率、LTV(顧客生涯価値)、さらには「ヘルススコア」といった、顧客の成功状態を直接示す指標を最優先に設定します。

また、カスタマーサポート担当者とカスタマーサクセス担当者の役割を明確に分けるか、あるいは一日の業務の中で「攻めの活動」を行う時間を強制的に確保するなどして、カスタマーサクセス専用の時間を作り出す方法も有効です。

【失敗談5】ツール散在により情報収集だけで終わる1日

CS組織の立ち上げが進むにつれ、扱うデータ量は膨大になります。
「契約情報はSalesforce」「日々のやり取りはSlackやメール」「プロダクトの利用ログは独自のデータベース」「サポート履歴は専用ツール」といったように、情報が各ツールに散在(サイロ化)してしまうと、情報収集だけで1日が終わってしまいます。

このような状況では、顧客の「今」を知るために、複数のツールを渡り歩いて情報をつなぎ合わせる必要があり、準備だけで膨大な時間を費やしてしまうのです。
その結果、肝心の顧客へのアクションが後手に回り、顧客体験の質を著しく低下させてしまいます。

 

解決策:データの自動統合による情報の指揮統制の確立

この失敗から抜け出すには、手動での情報収集をやめ、システムによってデータを自動的に統合する「情報の指揮統制」を確立することが不可欠です。

まず、複数のツールにまたがるデータを一カ所に集約し、誰が見ても最新かつ正確な顧客状況が把握できる環境を整えます。

そして、API連携によってSalesforceなどのCRMツールとCSプラットフォームをシームレスに連携させ、契約変更や利用状況の変化がリアルタイムで反映される仕組みを作りましょう。

さらに 「見るべきデータ」を絞り込むことで、業務効率化につながります。
すべてのデータをやみくもに集めるのではなく、解約予兆やアップセルの兆しとなる重要な指標に絞って可視化し、意思決定のスピードを上げましょう。

【失敗談6】組織の縦割りが招く「期待値の乖離(かいり)」と「引き継ぎミス」

CS組織の立ち上げや拡大フェーズで発生しやすいのが、「組織の縦割り」による弊害です。セールス、導入支援(導入コンサルティング)、CS、カスタマーサポートがそれぞれ独立して動くことで、顧客情報が部門ごとに分断されてしまうケースが少なくありません。

この状態が引き金となり、現場では大きく2つの問題が発生します。

1つ目は、「顧客との期待値の乖離(かいり)」です。
セールスが商談時に合意した導入目的や「導入後に実現したいこと」がCSに十分に共有されないまま支援が始まり、顧客の期待と実際の提供内容にズレが生じます。

2つ目は、「情報の引き継ぎミス」です。
各部門に情報が分散しているため、同じ説明を何度も求められたり、サポートに寄せられた重要な不満が製品改善に活かされなかったりと、一貫性のない対応につながります。

その結果、顧客からは「同じ会社なのに毎回同じ説明をさせられる」と認識され、体験の低下を招きます。
特に情報通信業やSaaSのように要件が複雑な領域では、オンボーディングの遅延や、最悪の場合サイレントチャーンに発展するリスクも高まります。

 

解決策:セールスとCSの「共通言語」を作る

  • 引き継ぎ項目の標準化とCRM活用
    「なぜ契約したのか(期待値)」「誰が意思決定者か」「何に不安を感じているか」など、CSが動くために最低限必要な項目を5つ程度に絞り、セールスが入力しやすいフォーマットをCRM(Salesforce等)上に固定します。

  • 受注前ミーティング(プレ・オンボーディング)の実施
    大型案件や複雑な案件については、商談の最終段階でCSが同席するか、5分程度の口頭補足の場を設けます。CRMのデータだけでは見えない「顧客の温度感」を共有することで、スムーズなバトンタッチを実現します。
  • 「理想の顧客像(ターゲット)」の再定義
    どのような顧客であれば自社プロダクトで成功させられるのかを、セールスとCSで定期的にすり合わせます。「売って終わり」ではなく「使い続けてもらう」ための共通KPI(例:チャーンレートの共有など)を設けることも有効です。

【失敗談7】火消しに追われて解約分析が後回しに

カスタマーサクセス組織の立ち上げ期は、プロダクトの不備やオンボーディングの不備により、顧客からのクレームや急な解約打診が相次ぐことがあります。
担当者がその「火消し」対応に忙殺されると、なぜ解約が起きたのか、どのプロセスに問題があったのかを振り返る「解約分析」が完全に後回しになってしまいます。

原因が特定されないままでは、同じ理由での解約が繰り返される負のループから抜け出せません。
データ集計を手動で行っている場合、分析に必要な「複数のデータの統合・整形」に時間がかかりすぎ、気づいた時にはすでに手遅れの状態になっている…というのは、多くのカスタマーサクセス組織が経験する痛い失敗談です。

 

解決策:まずは「時間の捻出」から始める

解約を未然に防ぐための理想的な解決策は、システムによる「予兆検知体制」の構築です。しかし、現場が日々の火消し対応に忙殺されている状況では、新しいシステムを企画・構築するための工数すら確保できないのが現実でしょう。

そこで、いきなり大きな仕組み作りを目指すのではなく、以下のステップで「負のループを断ち切るための時間作り」から着手します。

  1. 一次対応の標準化・テンプレ化(時間の捻出)
    頻出する問い合わせやトラブルへの回答を徹底的に言語化・共通化し、現場が「考え込む時間」を減らします。まずは現在の対応工数を1割削減し、余裕を作ることを最初の目標に置きます。

  2. テックタッチ・ロータッチ施策への一部移行
    個別のメール対応をヘルプセンター記事の拡充や自動応答に置き換えるなど、人手を介さない対応を優先し、分析や仕組み化のための時間を「無理やり」作り出します。

  3. 捻出した時間での「予兆検知」の仕組み化
    こうして生み出した時間を使って、ようやく「解約予見指標」の策定に入ります。ログイン頻度の低下や特定機能の利用停止など、解約に直結する動きをシステムが自動で検知し、ダッシュボード化する体制を整えていきます。

「高度なシステムを作るために、まずは火消し作業を効率化する」。
この順序を守ることが、CS立ち上げ期における現実的かつ最短のルートです。


【失敗談8】一元管理しているのに数字が読めないわな

CS組織の立ち上げ期において、CRMやスプレッドシートへの「データ集約」に成功した企業が次に直面するのが、「数字は並んでいるが、意思決定に使える状態ではない」というわなです。

一元管理はできているはずなのに、「現在の正確なチャーンレートが算出できない」「アップセルの兆しが見えない」といった事態に陥るケースが後を絶ちません。
特にB2BのSaaSやITサービスでは、「契約期間がバラバラ」「追加ライセンスの購入時期が異なる」「月額と年額が混在している」といった複雑な契約構造を持つことが一般的です。

これらを正しく整理・集計できなければ、集まったデータはただの「数字の羅列」となり、経営層への報告や現場の戦略立案には役立たないという失敗を招いてしまいます。

 

解決策:複雑な契約構造に対応できる高度な分析基盤

このわなを回避し、データを「資産」に変えるためには、複雑なビジネスモデルを前提とした高度な分析基盤を構築することが不可欠です。

解約率(チャーンレート)やLTV、MRR(月次経常収益)など、SaaS特有の重要指標(KPI)を、手動集計ではなくシステム上で自動算出する仕組みを整えましょう。
そして、「いつ、どのような理由で、いくら増減したか」という履歴を時系列で追えるようにしましょう。


【失敗談9】解約が顕在化してから慌てる有事の失敗

CS組織の立ち上げ期に陥りがち、かつ、最も「手遅れ」になりやすい失敗が、解約の意思が顕在化(有事)してから慌てて対応に走るケースです。

顧客から「来月で解約したい」という連絡が入った時点では、すでに代替サービスの選定が終わっていたり、社内での解約決裁が通っていたりすることが多く、そこからどれほど手厚いフォローを行っても覆すことは困難なものです。

こうした失敗の背景には、顧客の「声なき声」を無視し、表面的なやり取りだけで安心してしまう組織の体質があります。
解約は突発的に起きるものではなく、必ずその前に「利用頻度の低下」や「特定機能の不使用」といった予兆が存在します。
その予兆を捉えられない体制こそが、最大の失敗要因です。

 

解決策:ユーザー行動ログの可視化による早期警戒システムの構築

この失敗を回避するには、顧客の主観的な言葉に頼らず、客観的な「行動データ」に基づいて異変を察知するシステムが必要です。

システムを導入したら、顧客ごとのヘルススコアを注視しましょう。
ログイン回数、重要機能の活用状況、契約更新までの残り日数などのヘルススコアを自動化し、顧客のコンディションをリアルタイムで把握します。
そして、スコアが一定基準を下回った顧客を自動で抽出し、担当者に通知する仕組みを作ります。

これにより、解約が検討される前の「活用が停滞している段階」で先回りした提案が可能になります。


CS立ち上げの失敗に関するよくある質問(FAQ)

CS組織の立ち上げ期には、多くの疑問や不安がつきものです。
ここでは、特によくある3つの質問に対して、失敗を回避するための視点で回答します。

 

Q1.立ち上げにはどんな人を採用すべきですか?

A1.「0から1」を動かせる、プロダクト愛と顧客理解の深い人材が理想です。

立ち上げ初期はマニュアルや型がないため、自ら課題を見つけ、仮説を立てて実行できる「自走型」のスキルが求められます。
特に、単なるサポート力だけでなく、顧客のビジネスゴールを理解し、自社製品をどう活用すればそのゴールに到達できるかを逆算して提案できるコンサルティング能力が必要です。

 

Q2.立ち上げ初期にツールは必要ですか?

A2.顧客数が増え、管理が属人化し始めたタイミングでの導入がベストです。A2.顧客数が増え、管理が属人化し始めたタイミングでの導入がベストです。

数社~10社程度の管理であればExcelやスプレッドシートでも対応可能ですが、以下のような兆候が出たらツールを検討しましょう。

  • 商談履歴がSalesforce、利用状況が独自のログ、やり取りがメールやSlackなど、情報がバラバラで状況把握に時間がかかる。
  • 「解約の申し出があって初めて異変に気付く」という状態が起きている。
  • 特定の担当者しか顧客の温度感を把握しておらず、引き継ぎや共有が困難。

 

Q3.失敗した組織を立て直すには何から手をつけるべきですか?

A3.まずは「顧客の状態(ヘルススコア)」を正しく可視化し、共通言語を作ることです。

組織が迷走している場合の多くは「誰が、どのような状態で、次に何をすべきか」がチーム内で定義されていません。

まずは、顧客基本情報、契約内容、活用状況を一つの場所に集約しましょう。
次に、自社製品における「顧客の成功(サクセス)」とは何かを改めて定義し、そこに至るための中間指標(KPI)を設定します。

サポート業務に追われている場合は、サクセス活動に専念できる時間を強制的に確保できるよう、体制やフローを見直しましょう。

まとめ

CS組織の立ち上げ期は、リソースの不足やデータの分散、属人化といった多くの課題に直面します。
しかし、それらの失敗例の多くは「顧客情報の可視化」と「業務の標準化」を早期に実現することで回避可能です。

重要なのは、単なる「受け身のサポート」で終わらせず、データに基づいた「攻めのサクセス活動」を展開できる体制を整えることです。
失敗を恐れず、実例から学んだ鉄則を活かして、顧客と共に成長できる理想的なCS組織を築いていきましょう。




佐々木 一稀

執筆者情報:

佐々木 一稀(ささき かずき)

ユニリタ自社開発のフローチャートツール「Ranabase」にて開発に携わり、カスタマーサポートを担当し2022年に「Growwwing」チームへジョイン。
カスタマーサクセスメンバーとしてオンボーディング支援業務を経験し、現在ではその知見を活かし顧客の求めてる情報を発信するためにマーケティング分野を担当。

幅広い経験からの視点を生かし、カスタマーサクセスを行う方へのヒントとなるような記事を掲載できるよう全力で頑張ります。

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