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SaaSをはじめとするサブスクリプション型ビジネスにおいては、自社のサービスを通じて顧客のビジネスを成功に導くことで長期利用につなげ、LTVを伸長させることが事業の業績に直結します。そのために欠かせない施策が、アップセルとクロスセルです。
「アップセル・クロスセル・ダウンセルとは?違いと3つの成功ポイントを解説」ではアップスセル・クロスセルの違いや成功の秘訣を紹介しましたが、「では具体的にどうすればいいの?」と疑問に思われた方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、アップセル・クロスセル施策の具体例を、実行方法まで含めて詳しく解説します。
具体的な施策を紹介する前に、アップセル・クロスセルの重要性を再度確認しておきましょう。
冒頭で述べたように、SaaSをはじめとするサブスクリプション型ビジネスでは、顧客のサービス長期利用によるLTVの最大化が最優先事項です。そしてLTVが顧客単価と継続期間の掛け合わせであることを考えると、顧客単価が増え、継続期間が延びるほどLTVは向上します。
アップグレードやオプション追加を促すアップセルと、別サービスの追加購入を促すクロスセルは、どちらも顧客単価を増やすことから、LTVを増大させる施策として重要視されているのです。
アップセル・クロスセルの重要性について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
【基礎編】「アップセル・クロスセル・ダウンセルとは?違いと3つの成功ポイントを解説」
ここからは、アップセル・クロスセル施策の具体例と、実施方法を解説します。
顧客が契約しているアカウント数を増やすのは、アップセル施策のひとつです。契約アカウント数を10から15に引き上げられると、単価が向上します。
提案をするためには、顧客の利用状況を調査して、現状の契約アカウントを使いこなしているかをチェックしましょう。
すべての契約アカウントにおいて、
このような利用状況が見られたら、既存契約アカウント全域で利用が定着しており、業務プロセスの中にサービスが浸透している可能性が高いと言えます。こういった場合は、顧客内における利用アカウントの増加によって、組織のより広い範囲におけるさらなる業務改善効果が期待できるため、アカウント数増加の提案が有効であると判断できます。
契約アカウント数を増やす提案をするためには、顧客の利用状況や需要があるかをチェックし、以下のような兆候がないかを確認します。
より高額な上位プランへのアップグレードも、効果的にLTVを向上できるアップセル施策です。
上位プランへのアップグレードを提案するときにも、まずは顧客の利用状況を調査することから始めます。上位プランは通常、より高機能・多機能を擁するものになりますので、ここでは
この点をチェックしましょう。
例えば「CSVデータのダウンロード頻度が上がっていれば、分析業務が増えている」という仮説をたてます。その場合、より高度な分析機能が備わった上位プランに移行すれば、CSVデータを別のアプリケーション等で触ることなく、サービスの上位プランによるダッシュボードで分析・可視化できるという価値を提案出来るため、アップグレードのチャンスです。
また、他の業務システムからのデータ連携を実現させるオプションなどが存在する場合、これも合わせることで、顧客の分析業務の精度をより上げる提案が実現し、結果として契約単価の向上をはかることができます。
顧客はすべてのプランやオプションの内容を把握しているとは限らず、プランを上げることでより充実した体験とビジネス成果を出せることを認識していないケースは少なくありません。顧客のニーズを読み取り、先回りして、よりよい提案をすることが、アップセル成功のポイントです。
クロスセル施策としては、自社の「別サービスの契約」を促す施策が一般的です。
クロスセルを提案するには、顧客の業務プロセスや課題を深く理解することが重要です。ボトルネックとなっているポイントを発見し、それを解消する別機能を業務プロセスに付加することで、より魅力的な顧客体験やビジネス成果が期待できるのであれば、クロスセルに成功しやすくなります。
このように、クロスセルは、あるサービスで一定のニーズを満たされた企業や事業が、次に求めるであろうことをあらかじめ予測し、それにこたえうる社内の別サービスを適切なタイミングで提案できるよう、全体を把握しておくことが重要なのです。
ここまで紹介したいずれの施策も、適切な顧客管理とタイミングの見極めが重要である点が共通しています。そのためアップセル・クロスセル施策を成功させるには、顧客情報を継続的に収集して蓄積・管理し、分析することが重要です。
顧客数が少ないうちは、エクセルやGoogleスプレッドシートなどの表計算アプリケーションでの管理も可能です。しかし顧客が増えてくると、汎用的なツールでおこなうのは困難です。手作業によるデータ入力・集計および分析、そこからの可視化にリソースをとられ、実際にアップセル・クロスセル施策を検討する時間がなくなったり、タイミングを逃してしまったりしては元も子もありません。
そのような事態を避けるためには、「この状況になった顧客には、この提案をする」と一定の型を決めておき、該当するケースが発生した場合に、担当者にアラートが届く仕組みを作っておくことをおすすめします。カスタマーサクセスツールなどのテクノロジーの活用を通じてデータまわりの中間作業から解放された環境を構築し、効率的にアップセル・クロスセル対策を進めましょう。
カスタマーサクセスにおける、アップセル・クロスセルの成功事例として、SansanとDropboxの2社を紹介します。
Sansanはクラウド型の名刺管理システムを提供している会社です。
Sansanは顧客の利用データごとにヘルススコアを算定し、「極めて良好」「概ね健全」「注意が必要」「対応が必要」の4つに分類しています。このうち「注意が必要」「対応が必要」の層は50%がやがて解約に至るのに対し、「極めて良好」「概ね健全」の層は、70%もの割合で、その後アップセル・クロスセルにつながっているそうです。
アップセル・クロスセルを促進するための対策として、Sansanではユーザーの契約データや利用データで以下のような変化があったときに、通知が来るように設定しています。
Sansanでは、このような「顧客の利用が促進している」と感じられる兆候を適切にキャッチすることで、アップセル・クロスセルに成功しているのです。
引用元:SanSan
Dropboxは、オンラインストレージサービスを提供している企業です。
Dropboxは、個人ユーザー向けに、まず2GBまで無料で使える基本プランを提供し、より大きな容量や高い機能を求める層を有料の上位プランに誘導するフリーミアモデルを採用しています。個人ユーザーを引きつけるのに最適な容量として2GBを戦略的に設定し、残容量が少なくなってきたタイミングで上位プランへのアップグレードをすすめるわけです。
上位プラン加入者に対しては、ユーザーの行動パターンを分析し、さらに適切なプランへの移行を促しています。たとえばほかのDropboxユーザーとコラボしている個人ユーザーに対しては、コラボワークの生産性が向上するStandardやAdvancedプランを案内します。一方企業ユーザーに対しては、セキュリティ機能が優れたEnterpriseプランなどへ誘導するのです。
またDropboxでは、リファラル促進の施策として、ユーザーがほかの人を招待すると容量が増えるキャンペーンも実施しています。既存ユーザーが新規ユーザーを招待することで利用者が増えれば、上位のビジネスプランへアップグレードしてもらえる可能性を持つ対象も増加することになるため、全体的にアップグレードの実現可能性が高まるという仕組みです。
引用元:zuora
執筆者情報:
ユニリタ自社開発のETLツール「Waha! Transformer」の導入教育/サポート、データ活用システム(ETL/DWH/BI)構築のプロジェクトマネージャーを歴任し、2018年にカスタマーサクセスチームの立上げ責任者を担当。
その経験からカスタマーサクセス専用ツールの必要性を実感し「Growwwing」の事業立上げをおこなう。
2020年7月の事業化からプロダクトマーケティングとカスタマーサクセスの責任者を担当。
カスタマーサクセスコミュニティ「CS KOMMONS」においてハイタッチ部 副部長も歴任。
LTV最大化のためのカスタマーサクセスプラットフォーム『Growwwing グローウィング』のサービス資料を無料でダウンロードいただけます。
『Growwwing グローウィング 』は、解約防止とネガティブチャーンを達成する顧客管理が実現。Salesforceとの相性は全ツールNo.1です。