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サブスクリプションなどの浸透で、企業にとって既存顧客のロイヤルティやLTVの向上が重要な経営課題となっていることから、カスタマーマーケティングが注目を集めています。顧客獲得後のマーケティング活動であるカスタマーマーケティングは、カスタマーサクセスと共にビジネスをスケールさせる概念ですが、具体的にはどのような効果があるのでしょうか。
今回は、カスタマーマーケティングとカスタマーサクセスの違いや、カスタマーマーケティングの効果、具体的な展開施策などについて解説します。
最初に、カスタマーマーケティングの意味や、他の類似概念との違いを解説します。
カスタマーマーケティングとは、既存顧客に対するマーケティング活動全般のことです。製品の購入やサービスの契約後に、顧客に適切なフォローをして良好な関係を維持することにより継続率や単価を上げ、顧客ロイヤルティやLTV向上につなげます。いわば、顧客のサクセスを後押しするマーケティング活動といえます。
カスタマーマーケティングの具体的な施策には、アップセルやクロスセル、購入・契約後の定着を図るオンボーディング、継続的な利用につなげるリテンションマーケティング、コミュニティへの参加促進などがあります。
一般的なマーケティングは、新規客獲得が主たる目的であるのに対し、カスタマーマーケティングは、購入・契約して既存顧客となったカスタマーの、LTV向上のための活動です。カスタマーマーケティング自体は目新しいことではないものの、顧客ロイヤルティやLTV向上が経営課題として重視されるようになったことから、あらためて注目度が高まっています。
カスタマーマーケティングと同様に語られることの多いカスタマーサクセスは、契約顧客に対し、自社サービスの利活用に向けて能動的にアドバイスやサポートを行い、顧客のビジネス成功を促し、それをもって自社の成功を目指す活動のことです。カスタマーマーケティングは、このカスタマーサクセスに属するものであり、顧客の成功を自社サービスに関するコンテンツの制作や発信、また顧客の利用状況やVoCをテクノロジーを通じて自動収集する仕組みを構築するといった「テックタッチ」によるカスタマーサクセス領域をカバーする活動・役割を指します。
カスタマーマーケティングは、主に以下の理由で注目されるようになりました。
一般的に新規客獲得には、既存顧客維持よりも5倍のコストがかかるといわれています。仮に売上が同じ場合、新規客獲得はコストが大きい分利益率が下がります。一方の既存顧客の維持は、コストが低いので利益率が高くなり、安定した利益を得られることになります。企業の成長には新規客獲得は欠かせないものの、既存顧客の維持が企業の存続にもつながることから、既存顧客との関係を長く継続させるカスタマーマーケティングが重要視されるようになりました。
このほか、サブスクリプションなどのSaaS型ビジネスモデルが普及したことも、カスタマーマーケティングの取り組み増を後押ししています。サブスクリプションは、導入時のコストを下げて、継続利用してもらうことで収益が上がる仕組みです。そのため、安定した売上を獲得するには、カスタマーマーケティングによる対策が必須となります。
カスタマーマーケティングにより期待できる効果のひとつが、顧客ロイヤルティの向上です。顧客が製品やサービスにより成功体験を得ることで、愛着や継続利用意向が高まります。その結果、リピート率向上やチャーンレート低減につながり、アップセルやクロスセルの機会を増やせることになります。
カスタマーマーケティングの手法を取り入れることで、各顧客を、想定されるLTVやポテンシャルによりセグメントして、適切な顧客体験を提供できるようになります。
カスタマーサクセス活動においては、顧客をハイタッチ(見込めるLTVが高い大口顧客)、ロータッチ(ハイタッチとテックタッチの中間的なLTVの顧客)、テックタッチ(LTVが低い顧客)に分類して、それぞれのニーズや適性に合ったアプローチを行います。ターゲットごとに最適な対策を行うので、効率よくマーケティングを推進できます。
ロイヤルティが向上した既存顧客は、製品やサービス、提供している企業の好意的な口コミやレコメンドを発信してくれる可能性が高まります。その拡散により、購買意欲の高い優良な新規客の獲得も期待できるようになります。
また、カスタマーサクセス活動におけるマーケティングを充実させることで、一気通貫の顧客体験の提供を実現でき、質の高い新規リードの獲得につながります。
新規客獲得よりも、コストを抑えて利益を得られる既存顧客に対するマーケティングなので、コストの削減や適正化を図ることができます。また、前述したハイ・ロー・テックにセグメントした既存顧客へのアプローチで、業務が効率化することから、人材などのリソースの最適化にもつながります。
続いて、カスタマーマーケティングの主な施策例と、顧客に対するフォローの具体例を説明します。いずれも、顧客のセグメントや成熟度、ニーズ等に合わせて、適切な施策やフォローを選択するようにしましょう。
カスタマーマーケティングの主な施策としては、以下が挙げられます。
オンボーディングとは、顧客に製品・サービスの機能や活用方法、価値を理解してもらった上で、運用を定着させるための支援策のことです。導入初期の「使い方がよくわからない」「一部の人しか使えない」「自社には限定した機能しか必要ないのでは」などという不満や疑問を解消する対策を行い、早期解約を未然に防ぎます。
直接行う導入・運用支援や定期的なミーティングの実施、セミナー・ウェビナー・勉強会の開催、マニュアルやチュートリアル・FAQページの作成・配信などがこれにあたります。
リテンションマーケティングとは、顧客との関係を維持するための施策のことです。顧客の製品やサービスへの興味・好意を少しでも長く継続させるために、顧客情報に基づいたアプローチを行います。
具体的には、パーソナライズされたキャンペーンの配信やイベントへの招待、継続利用の案内、クレームや要望への対応、顧客ニーズを反映したプロダクトの改良などを行います。
エクスパンションとは、製品やサービスの利用を拡大してもらうことで、アップセルやクロスセルなどがこれにあたります。顧客の状況に合わせて提案するアップセル・クロスセルによる単価の向上や、的確なタイミングで行うアップセル・クロスセルが、LTV向上につながります。
カスタマーマーケティングの中でも、特にコアなファンを育成できるのが、コミュニティマーケティングです。製品やサービスのファンである顧客同士が交流できるコミュニティを運営することで、質疑応答や成功事例などを共有でき、顧客満足度が向上します。
オンラインコミュニティの開設・運営、コミュニティ参加の促進施策、掲示板開設、商品の共同企画、試作品モニター、オフラインイベントの開催などが、主な手法となります。
カスタマーマーケティングにおいて、顧客をフォローする支援策としては、以下が挙げられます。
製品やサービスのトレーニングメニューの企画・作成から実施までを担当します。企業が顧客であれば、対象となる人数や規模、リテラシー、ニーズなどに合わせたトレーニングを設計する必要があります。
顧客や社内メンバーからの要求に応じて、マニュアルやウェブコンテンツ等を作成します。必要であれば、これらを理解いただくためのセミナーや勉強会なども行います。
ファンが集まるコミュニティを大きく育てるために、オンライン・オフラインイベントなども行います。ファン限定の特典付与や、ロイヤルティプログラム実行なども有効です。また、ファンの生の声を集められるので、製品やサービス改善に活かすこともできます。
カスタマーマーケティングは、顧客を獲得した後に行うマーケティングのことです。サブスクリプションの普及や、既存顧客の維持が安定的な経営をもたらすことから、顧客ロイヤルティやLTVの向上を実現するカスタマーサクセスが重視されるようになったことに伴い、あらためて注目されるようになりました。カスタマーマーケティングを行うことで、顧客ロイヤルティの向上やコスト・リソースの最適化などが実現し、効率の良いカスタマーサクセスが可能となります。
カスタマーマーケティングの具体的な施策には、オンボーディングやリテンション、アップセル・クロスセルなどのエクスパンション、コミュニティマーケティングなどがありますが、いずれも顧客の状況やリテラシー、ニーズに合わせた、適切なアプローチを選択することが重要です。
カスタマーマーケティングを理解することは、カスタマーサクセスの成功につながるので、カスタマーサクセス担当者は、ぜひ参考にしてください。
執筆者情報:
2018年にBtoCスタートップ企業に入社後、訪問営業を経験。 2019年にエンジニアリング会社へ転職し、開発・運用保守・サポートの現場を経験。 その後、2022年に株式会社ユニリタに転職し、カスタマーサクセスチームのリーダーとして、オンボーディング支援やセミナー講師を担当するなど日々奮闘中。
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